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タッチパネル搭載の「RICOH THETA X」、国内で5月発売。11万円
ビジネス向け「RICOH360」プラットフォーム事業の強化を発表
2022年3月30日 17:00
リコーは3月30日、デジタルサービスの拡大に向けた取り組みとして、360度カメラ「RICOH THETA」とソフトウェア、クラウドサービスを組み合わせたビジネス市場向けの「RICOH360」プラットフォーム事業を強化すると発表した。それにあわせて、360度カメラの新モデル「RICOH THETA X」の国内向け販売を5月中旬に開始する。価格はオープン。店頭予想価格は11万円前後。
「RICOH THETA」シリーズではじめてタッチパネルを搭載し、使いやすさを追求したというモデル。海外市場向けに発表・発売済みの製品だが、このほど日本国内での発売時期が決まった。同社が5月中旬に立ち上げを予定している新規ECサイトでも取り扱う。
2.25型タッチパネルモニターの搭載により、カメラ本体で撮影前のプレビュー表示や、撮影設定、撮影画像の閲覧などが可能になった。タッチシャッター機能も搭載している。従来モデルでは各種操作にスマートフォンを介する必要があったが、RICOH THETA Xではカメラ本体のみで対応できるため、現場での撮影効率が大幅に向上すると訴求している。
センサーは約4,800万画素の1/2型CMOS×2基。出力画素で最大約6,000万画素(11K)の静止画撮影に対応する。動画は5.7K(5,760×2,880)/30fps記録、4K(3,840×1,920)/60fps記録に対応。ライブストリーミングでは4K(3,840×1,920)/30fps出力が可能。
動画撮影時は、カメラ内で天頂補正などのリアルタイム処理に対応。MIMO無線通信を利用したスマートフォンへの高速データ転送も可能としており、時間が限られたビジネスの現場でも活用できるとしている。
カメラ本体のバッテリー交換に対応する。バッテリーはレンズ一体型カメラ「RICOH GR」シリーズと同じ「DB-110」が使用できる。USB給電(Type-C)にも対応する。また、記録メディア(microSDXC)の使用も可能としている。内蔵メモリーは約46GB。従来モデルはバッテリー・メモリーともに本体内蔵のみだった。
カメラ本体から直接無線LANルーターに接続できるようになった。これにより、PCやスマートフォンを介さずにファームウェアアップデートやプラグインのインストールが可能になった。このほか、GPS機能(A-GPS対応)も内蔵した。
サードパーティによるプラグイン開発も従来モデルから継続。大型モニター搭載によりUIの自由度が上がるため、開発できるプラグインの幅も広がるとしている。
外外形寸法は51.7×136.2×29.0mm(レンズ除く21.5mm)。重量は約170g(バッテリー、記録メディア含む)、約144g(本体のみ)。
ビジネス向けに浸透するTHETA。「RICOH360」プラットフォーム事業強化の背景
同社が事業を強化すると発表した「RICOH360」プラットフォームは、360度の画像・映像に関連するデバイスやソフトウェア、クラウドサービスの連携により、撮影からデータ活用までのワークフロー全体を効率化するソリューションを提供するというもの。情報共有やデータの収集・活用を容易にすることで、不動産や建設・建築など、さまざまな業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させて業務の効率化と生産性の向上を実現するとしている。
今後の取り組みとして、デバイスとクラウドサービスの一括販売や、各業種特有のプラグイン提供の強化、新規デバイスの開発に注力する。
同社によると、2013年にコンシューマ向けとして発売した「RICOH THETA」シリーズだが、2019年頃からはビジネス向けに活用されるケースが増えてきたという。直近では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済活動の両立が求められる中、不動産物件や自動車販売における事前のリモート閲覧や、建築・建設現場での記録撮影・進捗管理などの目的に同社の“360度のコンテンツ”が利用されているという。
RICOH THETA Xにおいても、「RICOH360 Tours/Projects」などのクラウドサービスとシームレスに連携するプラグインが用意されている。不動産業向けの物件撮影プラグインや、現場を歩いただけで物件のバーチャルツアーを自動生成するオートツアーアプリ(ベータ版)のほか、建設業向けに現場の状況を遠隔地からリアルタイムに把握できるタイムラプス/ライブ映像機能(ベータ版)、現場の巡視時の撮影画像を自動で図面上に整理するオートマッピング(ベータ版)も提供予定としている。