ニュース

最新Lightroomは、AI解析で範囲選択の精度がアップ。写真に応じたプリセット提案機能も

アドビのクリエイター向けイベント「Adobe MAX 2021」が10月27日に始まった。10月28日の2日間にわたり、PhotoshopやLightroomなどの各種アプリケーションの活用やテクノロジーに注力した内容が配信される。デスクトップ版とiOSおよびAndroid各モバイル版も同日付でアップデートされた(更新バージョンはデスクトップ版が5.0、iOS版およびAndroid版7.0)。同配信で紹介のあった主だった機能を中心に新しい機能をお伝えしていきたい。

精度を高めた部分補正が可能に

デスクトップ版モバイル版ともに、これまでの部分選択機能が「マスク」機能に名称が変更・アップデートされた。部分選択の範囲も「被写体を選択」や「空を選択」、「カラー範囲」、「輝度範囲」などの各種類から行うことができるようになった。

配信ではこれらのうち、特に「空を選択」にフォーカス。前景に複雑な形状の噴水と銅像がある写真を例に、背景の観覧車のゴンドラひとつひとつを避けて空の部分のみが選択されている様子など、その認識精度の高さが披露された。認識には同社のAI技術を活用したAdobe Senseiが用いられているという。

デモを披露したアドビの田中氏自身を被写体にした例も紹介。ここでは「被写体を選択」が用いられているが、髪の毛などの細かな部分までしっかりと選択範囲が作成されていることが見てとれる。

シンプルな背景とはいえ、手作業で範囲を追いこむといった調整が不要になるのは有り難いポイントとなるだろう。

人物のみを明るく起こしたり「テクスチャ」で肌をスムーズにしたりといった微調整もやりやすくなるという

写真に応じたプリセットを提案してくれる

マスク機能と同じくAdobe Sensei技術を用いたアップデートが続く。2つ目の強化ポイントはプリセットの提案機能。Lightroom上で展開した写真に対して同技術による分析が行われ、推奨プリセットが提案されるという。

同機能の提供にあたり、プリセットメニュー内に「おすすめ」という項目が追加。Lightroomの「見つける」というコミュニティ内からAdobe Sensei技術により推奨プリセットが探し出して提案してくれるのだという。

また、そのプリセットが自身のイメージに近いものであったり、興味を抱いたものに関しては、同コミュニティ機能から作成者をたどる、といった使い方も可能。思いがけない効果に出会える可能性もある機能となっているという。

デスクトップ版のみの強化機能

クリエイターの調整内容を学べる「リミックス」

Lightroomのコミュニティから他のクリエイターがどのように写真を調整・加工しているのかを学んだり、自身の調整内容を共有したりといったことが可能となる。

同機能では調整された写真に自身の調整内容を反映させることもできる。変更を加えた写真は他のユーザーが行った編集結果とともに同じ場所に表示される仕組み。調整の方法や流れなどを学んだり自身の手法と比較したりといった使い方もできるという。

切り抜きと回転

「切り抜きと回転」ツールでグリッドや三分割、対角線などのオーバーレイが選択できるようになった。構図を整えたい場合などで活用できる機能となっているという。

本誌:宮澤孝周