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空港の手荷物CTスキャンについて、感材メーカーが注意喚起

未現像フィルムに影響のおそれ 1度でカブリを生じた例も

富士フイルムは2月13日、「米国空港での未現像写真フィルム・インスタントフィルムのお取り扱いについて」という案内をWebサイトに掲載した。

米国空港での未現像写真フィルム・インスタントフィルムのお取り扱いについて
https://www.fujifilm.com/jp/ja/news/list/3058#

米国の空港における手荷物検査に、2020年から新たにCTスキャン方式のX線検査装置が順次導入されていることを受けての発表。同検査を受けた場合、未現像のフィルム(写真用フィルムおよび写ルンです)やインスタントフィルム(各種チェキフィルム)に影響する可能性があるとしている。

そのため、未現像フィルムは感度に関わらず手荷物として機内に持ち込み、空港では係員の目視検査(ハンドインスペクション)を受けるよう推奨している。なお、現像済みのフィルムや写真画像はX線およびCTスキャナーの影響を受けないという。

同社米国法人が公開している主な対策としては、フィルムを透明なビニール袋に入れておき、各種フィルムを検査できる検査官(TSA inspector)の目視検査を受ける方法がある。また、instaxフィルム(チェキフィルム)に関しては、入手性が高いため目的地で購入する選択肢もあると案内している。

コダックの場合

コダック アラリス ジャパンも同様の注意喚起を掲載している。

米国X線検査強化に伴うフィルムの取扱いについて
https://www.kodakalaris.co.jp/professional/film/xray/

米国Kodak Alarisが少量の35mm用「PORTRA 400」をニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に持ち込み、新型X線CTスキャナーによる影響を検査したところ、わずか1回のスキャンで明らかなカブリが発生し、暗部ディテールが失われたという。

この現象は高感度フィルムに顕著で、より感度が低いISO 100のフィルムでは影響が少ない可能性があるものの、CT検査機には入れないよう強く推奨している。

検証結果を受けてKodak Alarisは、TSA(アメリカ合衆国運輸保安庁)との検討に基づきフィルムや透明ビニール袋に貼れる警告ステッカーを用意するとしている。また、一般カメラフィルム、レンズ付きフィルム、ロールフィルム、映画用フィルムに対して、すべてのTSA検査官(スクリーナー)が手作業によるチェックを行うよう周知されているとの案内をTSAから受けているという。

TSAでは、手荷物検査用X線装置のほとんどはASA/ISO 800以下の未現像フィルムに影響を及ぼさないと想定しており、影響を与える可能性があるX線装置を置く空港には、その可能性を示す標識が装置の前に設置されているという。なお、預け入れ荷物用のX線検査装置は、ほとんどの場合で未現像フィルムに影響を及ぼすとしている。

加えて写真用フィルムについては、ASA/ISO 800以上のフィルム、露出不足または露出不足で撮影するつもりのフィルム、増感現像するつもりのフィルム、シートフィルム/大判フィルム、プロフェッショナルグレードのフィルム、X線保安検査を5回以上受けるあらゆる感度のフィルムについて、透明のビニール袋に入れ、係員に手検査を依頼するよう案内している。

用語(コダック アラリス ジャパンのWebページより引用)

・機内持ち込み手荷物:Carry-on luggage
・預け入れ荷物:Check-in luggage
・手検査:Hand inspection
・未現像フィルム:Undeveloped film
・かぶり:Fog

本誌:鈴木誠