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Insta360の創業者が来日 最新モデル「EVO」を紹介

「360度カメラで世界シェア1位」をアピール

Insta360の創業者である劉靖康氏

360度カメラなどを開発するInsta360の創業者である劉靖康氏が来日し、同社の360度カメラなどの特徴などを紹介した。今年中に東京オフィスも開設する予定で、日本でのビジネスを重視しているという。

なお、7月15日0時からAmazon.co.jpで開催される「プライムデー」において、同社の「Insta360 EVO」が20%オフで、「Insta360 ONE X」が15%オフで販売されるなど、大幅な割引販売が行われる。

Insta360は、中国・深センに本社を構えるハードウェアベンダー。もともとはソフトウェア企業として設立されたが、その後、カメラ事業に参入した。スマートフォンに接続する360度カメラ「Insta360 Nano」や「Insta360 Nano S」「Insta360 Air」といった製品を提供している。

これに加え、単独利用も可能な360度カメラ「Insta360 EVO」、アクションカメラの「Insta360 ONE X」、プロ向けVRカメラ「Insta360 Pro」などといった製品を提供している。

深センに加え、香港、米ロサンゼルスに拠点を構えるほか、年内には東京オフィスの開設も決定している同社は、現時点で社員数は320人を超え、60%以上が研究開発に携わっているという。ハードウェア、ソフトウェアの開発に力を入れ、製品の力で順調にシェアを拡大した結果、「360度カメラで世界シェア1位」とアピールする。

Insta360のミッションとして劉氏は、「360度カメラを便利にする」「アクションカメラの未来」「VR撮影を簡単にする」という3点を挙げる。スマートフォン接続の360度カメラは、スマートフォンの画面を使い、ワイヤレスの設定もせずにすぐに使える。折りたたみ型のInsta360 EVOは360度映像と180度3D映像を1台で簡単に撮影できるといった具合に、簡単に使えて撮影できることを重視しているという。

アクションカメラの未来の姿を提案するとして、Insta360 ONE Xでは「FlowState」と呼ばれる強力な電子式手ブレ補正を搭載。スポーツシーンのような激しいブレも抑えて、安定した動画を撮影できるようにした。スティッチング時に自撮り棒を消すアルゴリズムによって、まるで空中に浮かぶドローンや隣に撮影者がいるような動画が撮影できる「見えない自撮り棒」機能も搭載。

一つのビデオ内で映像のスピードを高速から低速まで切り替えられるタイムラプス、ヒモにつけたカメラを振り回すようにして撮影する「バレットタイム」、ダーツ風の専用アクセサリーにカメラを装着して、それを投げつけながら撮影することでダイナミックな映像を撮影できる「ドリフトショット」といった、今までは一工夫必要だった撮影を、誰でも簡単にできるようにした。

複数のカメラを組み合わせて撮影していたプロ向けの360度カメラを、一つのカメラとして完成させたInsta360 Proも「Insta360 TITAN」といった製品も提供し、プロ用途でもより簡単に、より快適にVR撮影ができることを目指した。

プロ用途では、米CNNやTIME誌の360度VR配信でも使われたほか、不動産業界でも利用が進んでいるという。他にも野生動物の観察、医療など、「思った以上に活用されている」(劉氏)という。

現行の最新モデルとなるInsta360 EVOは、2つのカメラが正面を向いていて、180度3D映像の撮影が可能なことに加え、折りたたむことでカメラが両面に来て360度映像の撮影ができる。同じ360度撮影が可能なInsta360 ONE Xと同等の、強力な手ブレ補正のFlowStateや見えない自撮り棒、ハイパーラプス、ライブ放送、HDRといった機能に加え、3D撮影、180ドライブ放送、ダイナミックスティッチングといった機能を備える。

閉じたら360度、開いたら180度3Dの映像が撮影できるInsta360 EVO

専用のiPhone用ケースを使うことで裸眼3Dの視聴も可能だ。

ワイヤレスでVRヘッドセットに接続して映像を楽しめる。

スティッチングは、180度の画角を持つ2つのカメラで撮影した2つの映像をつなぎ合わせる機能だが、このダイナミックスティッチングでは、特にEVO特有の問題である2つのカメラのすき間が広い(折りたたみのため本体が分厚い)ことで、スティッチングが不自然になる、という点を解消させるための仕組み。アルゴリズムの改善によって、このスティッチングが自然になるようになったという。

人物の付近にある階段のズレ(左)が、ダイナミックスティッチングによって自然になっている。

複数の360度映像や3Dビデオをまとめてスマートフォンアプリから簡単に編集して一つのビデオとして作成できる「Smart Editing」機能を今月中にもリリースするという。

撮影した映像をテンプレートやフィルターなどを駆使してより簡単に一つのビデオとして編集できるSmart Editing。

イメージセンサーにソニー製センサーを採用し、レンズについても「中国の大手メーカーと連携して特別設計している」とアピール。他の製品よりも高画質で、パープルフリンジなどの問題を解決するように努力したそうだ。

劉氏は、EVOを開発した背景に大好きだった祖父が亡くなったことを挙げる。大切な人の思い出をいつでも思い出せるようなカメラを作りたい、というのがその動機だったという。

360度のVR市場は、「次のテレビ」になりうるとして、今後さらに広まるという予測を示す劉氏は、そのコンテンツをより簡単に作れる製品としてInsta360を今後も強化していく方針を示している。

小山安博

某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。