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ストックフォトサービス「Adobe Stock」に新機能
検索性が向上 PowerPointとの連携も
2017年6月21日 12:36
アドビシステムズのストックフォトサービス「Adobe Stock」がバージョンアップして機能強化している。特に検索性の向上とコンテンツの強化が大きなポイントで、さらに使いやすくなっている。
Adobe Stockは、ロイヤリティフリーの画像や動画などを販売するストックフォトサービスで、一定の品質を持つコンテンツを用意することで、広告をはじめとしたプロ用途での利用を想定している。
新機能の目玉は検索性の向上。「30年にわたってビジュアルに関する知見、経験があり、それを活用してさらに直感的に必要な素材を簡単に検索できる」(同社)ことを目指した画像検索機能だ。
9,000万点に及ぶStockのコンテンツから希望のものを検索する際に、これまではテキスト、キーワードタグなどを使って検索していたが、任意の画像ファイルを使って検索する画像検索機能を新たにサポートした。
画像検索機能自体は他社のストックフォトサービスにも存在しているが、同社の機械学習フレームワークである「Adobe Sensei」を利用したことで、高い検索精度を誇るというのが特徴だ。
検索は簡単。Stockの上部に検索窓が用意されており、そこにカメラマークがあるので、それをクリックして「参照」からPC内に保存された画像を選ぶか、任意の画像をドラッグ&ドロップする。実は、単にStockサイトに画像をドラッグするだけでも、自動的に画像検索ウィンドウが表示されるので、ドロップすればすぐに画像検索が行える。
検索結果はなかなか正確。写真内の色味だけでなく、被写体が何かを解析して検索しているため、より目的に応じた写真が検索される。例えば「白黒の猫」を検索してみると、Stockではちゃんと「白黒の猫」が検索された。これが他社ストックフォトサービスの画像検索だと、「白黒の犬」が多く検索され、Google検索ですら「cat」と認識されたにもかかわらず、類似画像は「犬」が多かった。
いずれも「被写体が動物」は認識しているようだが、それをきちんと認識できているという精度の高さが、Stock(というよりSensei)の実力ということだろう。特徴的なのは、ほかのストックフォトサービスでは「同じ写真での検索結果が毎回同じ」であるのに対し、Stockは「同じ写真での検索結果が毎回異なる」という点。Senseiが毎回異なる解析をしているのかどうかは不明だが、その都度違う結果が出るというのも面白い。
検索結果に対して、テキストでの絞り込みができるのも特徴。ほかのストックフォトサービスはこうした絞り込みはできないが、Stockではテキストでさらに絞り込みが行える。
例えば「白黒の大人の猫」で検索しつつ、「白黒の子猫」が欲しい場合、「子」と検索語を入れると「白黒の子猫」が検索された。検索語によってはまったく意図通りの検索ができない場合もあるので、そもそものストックされた画像とSenseiの解析次第というところだろう。
もう一つの新たな機能として、フィルター機能に「被写界深度」と「色の鮮やかさ」が追加された。いずれもベータ版という扱いだが、写真の特徴に応じた絞り込みが可能。
「被写界深度」は、「ボケ」の有無で絞り込みを行う機能。ボケの強弱で絞り込みが行える。ボケのある画像が欲しい、もしくはその逆の場合に便利な機能だろう。ベータ版だからか、ボケの強弱で絞り込める画像にあまり差がないような印象もあるが、目的が決まっている場合に絞り込みしやすいだろう。
「色の鮮やかさ」は、写真内のカラーで絞り込む機能。濃い色、色が薄いもしくはモノクロ画像を選びたいといった場合に便利だ。こちらもベータ版のためか、ちょっと不思議な結果になることもあるが、「背景を薄く、前景を濃く」といったデザインで背景を探したい場合など、必要に応じて活用できそうだ。
今後、ほかのフィルタを追加することも計画しているそうで、「あと2種類を追加しようと動いている」(同社)そうだ。
マイクロソフトのPowerPointアドインも新たに提供。これを使うと、PowerPointの画面内にStockを表示して、そこから検索、プレビューの差し込みが可能になる。作成中のスライドから離れずに検索して、そのままプレビューを使って確認をした上で、正式に購入する、といった流れがシームレスに行える。
通常のWebサイト版Stockに比べて、あらかじめカテゴリ分けされている点が異なるが、テキストによる検索や上述の画像検索にも対応。フィルター機能による絞り込みはできないようだが、素早くPowerPointにコンテンツを張り付けられるのはメリットだろう。
肝心のコンテンツ数も、サービス開始当初の約5,000万点から約9,000万点に拡大。ユーザーからのアップロードを受け付けるコントリビューターの開始で数が増えているが、さらに新たに追加されたのがロイターとアマナイメージズだ。
いずれもロイヤリティフリーで、購入したコンテンツを利用できる。ロイターの場合は報道業界向けのサービスなので、一般の広告をはじめとした利用はできない。「月間何枚まで」といったサブスクリプションサービスではなく、コンテンツごとの課金になるが、1,200万点以上のコンテンツが利用できる。今後、同様にUSA Todayのコンテンツも利用可能になる見込みだ。
アマナイメージズは、クオリティにこだわったものをセレクトした、ということで、当初は5,000点からとなり、今後随時追加していく予定だという。