オリンパスZUIKOレンズ 写真家インタビュー
超広角から標準域まで 高画質でストレスフリーな「新時代の標準ズーム」…木村琢磨さん
M.ZUIKO DIGIITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
2021年7月28日 17:00
オリンパスZUIKOレンズを使う写真家に、作品表現でのポイントや使い勝手をお聞きする本連載。
今回は期待の新製品「M.ZUIKO DIGIITAL ED 8-25mm F4.0 PRO」をいちはやく試用した木村琢磨さんに、風景写真における超広角域の考え方や、新レンズの使用感・画質などについて聞いてみました。
岡山県在住のフリーランスフォト&ビデオグラファー。広告写真スタジオに12年勤務したのち独立。主に広告写真(風景・料理・建築・ポートレートなど)を撮影。ライフワーク・作家活動として岡山の風景を撮影。12mのロング一脚Bi Rodやドローンを使った空撮も手がける。イベントやカメラメーカー主催のセミナーで講師としての登壇も。2013年 APAアワード2014写真作品部門 入選。2016年 オリンパスギャラリー東京にて個展開催。
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風景写真において、ズームレンズの焦点域が広いこと得られるメリットとはなんでしょうか。
風景写真の場合は広角〜標準レンズを使うことが多いため、主に広角ズームを使っての撮影がメインとなります。
それに、風景写真を撮影する環境は水辺であったり急な天候の変化があったり、また足場が必ずしも安定した場所での撮影ができるとは限りません。その様な状況でレンズ交換をするのは機材の故障に繋がるリスクを伴うでしょう。レンズ一本で幅広い焦点距離をカバーしてくれることでレンズ交換の回数が減り、結果的にリスク回避に繋がります。
一般的には標準ズームと広角ズームの2本体制で撮影をすることが多く、その場合は特に良く使う換算24mm前後でレンズ交換をすることになります。ボディ2台に広角ズームと標準ズームをそれぞれ装着して同時に持ち歩く方法もありますが、なるべく荷物を減らしたい場合には現実的ではありません。
M.ZUIKO DIGIITAL ED 8-25mm F4.0 PROは広角16mm相当からら標準50mm相当まで一本のレンズでカバーできます。レンズ交換の手間を省くことができて、急なシャッターチャンスにも迅速に対応できるでしょう。
超広角16mm相当の使いどころを教えてください。
森の中に入った時など周りを木々に囲まれているシチュエーションが面白いです。標準ズームでは入りきらない様な滝の撮影でも、換算16mmもあれば楽に画角に入れることできます。今まで縦構図でやっと収まっていたシチュエーションも横構図で狙える様になります。
また、建築撮影などでも十分に使える焦点距離なので、旅行で訪れた旅館の内観なども広く写せます。標準レンズとしても超広角レンズとしても使えるので、旅行はこれ一本でも十分かもしれません。
このレンズは最短撮影距離の短さ(ズーム全域で0.23m)も特徴です。木村さんの撮影でどのような利用価値がありますか?
ワイド端、テレ端どちらも最短距離が短いので広角マクロとしても標準ハーフマクロとしても使えるのは面白いです。
虫などの撮影ではワイドで寄って撮影することで周りのロケーションを生かしたマクロ撮影が楽しめますし、テレ端で撮影することで最大0.44倍とハーフマクロ並みの接写が可能なのでこれ一本で2種類のマクロが楽しめます。
絞り開放F4.0でもテレ端の最短で寄って撮るとかなりピントが浅くボケも綺麗なので花の接写など楽しんでいます。
超広角ながらフィルターも装着可能です。木村さんならこのレンズでどういうフィルターを使いますか?
NDフィルターを組み合わせたスローシャッター撮影が多いです。フィルターが使えることで超広角では難しかった日中のスローシャッターが簡単に撮影できるので表現の幅が広がりました。
また風景写真では良く使うハーフNDも専用のものを購入する必要がなく汎用タイプのものが使える様になったので他のレンズとホルダーを共用できる様になったのも嬉しいポイントです。レンズ保護のプロテクトフィルターも装着できるので過酷なシチュエーションでも安心して撮影ができます。
このレンズの描写性能について説明いただけますか?
PROレンズということで描写に関しては不満がないレベルに仕上がっています。
高倍率ズームとは思えない解像感で、絞り開放F4.0から安心して使えるレベルで焦点距離全域で中央から周辺まで均一な描写です。歪曲もほとんど気にならず、特に風景では全く問題ありません。
画角が広いため太陽が画面に入ることが必然的に多くなりますが、そういうシーンでも嫌なフレアやゴーストはほとんど見られず最小限に抑えられています。
ハイレゾショットと組み合わせてもまだまだ解像感に余裕を感じます。今後、カメラが高画素化したとしても、長く使える一本だと感じました。
その他、このレンズで気に入っているところはありますか?
カバーする焦点距離域に比べてコンパクトに仕上がっているので、OM-D E-M5 Mark IIIの様なコンパクトなボディとの組み合わせでもバランスが悪くありません。沈胴式にすることでよりコンパクトに仕上がっているのも良い点です。
超広角から標準域という焦点距離域、接写性能、防塵・防滴性能、小型軽量、高解像度とほぼ全部入りのスペックと言っても過言ではなく、マイクロフォーサーズユーザーとしては必携のレンズになるのではないでしょうか。
このレンズと組み合わせて使いたいレンズがあれば教えてください。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROとよく組み合わせて使っています。
お互いの描写の傾向が似ていること、フィルター径が同じであること、M.ZUIKO DIGIITAL ED 8-25mm F4.0 PROが25mmまでカバーしていることで、レンズ交換のタイミングに余裕があるのは嬉しいポイントです。
この2本があれば換算16-200mm相当までカバーできます。F4.0以上の明るさが必要でなければ最高の組み合わせといえるでしょう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROと悩むケースもありそうですが、まったくの別物です。M.ZUIKO DIGIITAL ED 8-25mm F4.0 PROは広角ズームというより、標準ズームとしての感覚で使えるからです。
デジタルカメラマガジン2021年8月号では、E-M1 Mark IIIとE-M1Xを使われています。使い分けの理由・基準などありますか?
マクロ撮影などはよりコンパクトなE-M1 Mark IIIやE-M5 Mark IIIが撮りやすく、なるべくバッテリー交換をしたくないシーンではバッテリーを二つ搭載できるE-M1Xを使います。
グリップ一体型のE-M1Xは長時間撮影していても苦にならないので、長時間撮影する場合などで出番が多いです。
またホールド性の高いE-M1Xでの撮影は手ブレも起こしにくく、8mmでの撮影であれば10秒単位の手持ち撮影も簡単にできます。
木村さんが考えるマイクロフォーサーズシステムのメリットを挙げてもらえますか?
ひとつはセンサーサイズが統一されていることで全てのレンズが同じ条件で使用できることです。PENでもOM-Dでも同じレンズが使えるので自分の撮影スタイルや撮影環境に合わせてボデイを使い分けやすいですね。
センサーが少し小さいおかげでカメラもレンズも小型化できるのでコンパクトな撮影システムを構築できるのは嬉しいポイントです。
写真はカメラを持ち出さなければ撮れないので気軽に持ち出せるシステムはシャッターチャンスとの出会いも必然的に増えます。
メインはOM-Dシリーズ、旅行など機材をコンパクトにしたいときはE-M5 Mark IIIを、気合を入れて風景など撮影する場合はE-M1 Mark IIIとE-M1Xを使います。
僕の場合は被写界深度が深い作品が好きなので、絞らなくても深い被写界深度が得られるマイクロフォーサーズシステムは撮影が非常に楽ですね。
絞る必要がほとんどないので低感度で撮影ができますし、ストロボを使った撮影でも光量が少なくて済むのでストロボのバッテリーの節約やチャージ時間の短縮もできます。
マイクロフォーサーズは約2,000万画素が主流ですがハイレゾショットも手持ちで撮影できる様になったおかげで風景では画素数が足りないということは減りました。今後、必然的に画素数は増えていくだろうと考えているので画素数に関しての心配はそれほどありません。
F1.2の単焦点PROレンズもラインナップされ、浅い被写界深度での撮影もできため、PROレンズを揃えておけば間違い無いという印象です。
OM-Dシリーズは特に手ぶれ補正が強力なため、三脚レスな撮影ができアングルの自由度が高いですね。カメラとレンズが小さいおかげで周辺アクセサリーもコンパクト、三脚もカメラバッグも軽量化できます。
全体的に小型軽量化できるおかげで結果体力温存にも繋がっています。OMデジタルソリューションズの謳っている「機動力」を実感しています。
M.ZUIKO DIGIITAL ED 8-25mm F4.0 PROを木村琢磨さんが解説!
デジタルカメラマガジン2021年8月号で、木村琢磨さんがM.ZUIKO DIGIITAL ED 8-25mm F4.0 PROの特徴を解説しています。木村さん曰く「新時代の標準ズーム」の最新情報を知りたい方は、ぜひご一読を!
協力:OMデジタルソリューションズ株式会社