女性が女性を撮る、女性オンリーのスタジオポートレート講座

村尾昌美先生に教わる!オリンパスPhotoRouge

講師の村尾昌美先生とモデルの梓媛さんと一緒にハイ!チーズ♪

「PhotoRouge(フォトルージュ)」とは、オリンパスが主催する女性専用の写真講座。女性の講師をお迎えして、雑貨やカフェ、おさんぽ撮影など女性に人気の被写体の撮り方を学びます。

今回は毎回人気のスタジオポートレート撮影の様子をレポートします!

講師の村尾昌美先生。各著名人のポートレート、舞台女優、俳優を中心にオリジナリティのある写真を撮り続け、国内外で数多くの作品を発表。雑誌の作品発表やフォトスクールの講師など幅広く活躍しています。

女性らしい仕草を引き出して撮ろう

村尾先生のポートレート講座は、ハウススタジオで大きなストロボを使いプロのモデルを撮るというもので、毎回すぐに定員が埋まってしまう大人気の講座です。

過去の講座はすべて男性モデルでしたが、今回初めて女性モデルを撮影することになったそうです。スタジオポートレート撮影は、10人中8名がリピーターの方でした。

スタジオに行く前にオリンパスのセミナールームで、今回の撮影で学びたいことを発表しあい、村尾先生から女性らしい仕草を引き出すポージングの指示の出し方やポートレート撮影のコツを教えていただきました。

オリンパスのセミナールームで、ポートレート資料を見ながら女性ポートレート撮影のコツを教えていただきました。撮影前に資料を見ると、ポージングや構図が頭に入り撮影がスムーズに進むそうです。

村尾先生のポートレート撮影アドバイス

1)立ちポーズより座りポーズ、座りポーズより寄りかかりポーズ
女性は男性より筋肉が少ないので、楽な姿勢で力を抜いた方が女性らしさや、やわらかい印象を与えられます。力がうまく抜けるポーズを考えましょう。

2)モデルの気持ちを知る
撮影のセッティングが終わったらモデルの位置に行って、自分もポーズをとってみましょう。実際に立ったり、座ってみたりすると、「壁に寄りかかると姿勢が楽になるな」とか「イスの背もたれに手をかけることができるな」「膝を抱えたとき、頭はどっちの方に向けることができるか」など、ポージングの指示を出すヒントが見つかるはずです。

3)リラックスした雰囲気を出すときは口元の表情を大切に
女性の場合、目より口元の表情で女性らしい雰囲気が出ます。「リラックスして微笑んで」という指示より、鼻歌を歌ってもらったり話しかけて会話したりすると、自然と力が抜けやわらかい口元の表情が撮りやすくなります。

4)よりかわいく撮る工夫を考える
自分の写真を撮るとき、目が大きく写るように上から撮ってみたり、足が長く見えるように下から撮ってみたり、細く見えるように体をひねってみたり工夫しますよね。細くてかわいいモデルさんでも、“より細く、よりかわいく”写りたいという気持ちは、私たちと変わりません。より美しく写るライティング、撮影ポジション、ポージングの指示をしてあげましょう。

5)撮りたいイメージに合わせてレンズを選ぶ
一般的に焦点距離80mm相当のレンズはポートレートレンズと言われ、パースの歪みが出にくく、大きなボケで浮かび上がらせ落ち着きのある雰囲気で写せます。50mm相当のレンズで近づくと親しそうな雰囲気が演出でき、広角レンズで遠近感を活かすと個性的な描写や動きのある絵づくりがしやすくなります。

6)色温度でイメージをつくる
デジタルカメラは色温度が1枚1枚変えられます。外国のフォトグラファーは、黄色みを乗せて乗せて撮ることが多く、アンバーを乗せるとアメリカやヨーロッパっぽい雰囲気に。グリーンを乗せると今風のような雰囲気に。ホワイトバランス補正を使って、色を細かく調整しイメージをつくり上げましょう。

ハウススタジオに移動して、いよいよ撮影の始まりです。

参加者のほとんどがカメラを使い慣れた中級者以上。レンズ交換の時間をなくすため望遠レンズと標準レンズをつけたカメラ2台で参加する方もいました。

今回のモデルは、エキゾチックな美しさと、キュートなかわいさを兼ね備えた梓媛(しおん)さん。かわいらしいルームウェアやワンピース、かっこいいパンツスタイルなど数パターンの衣装を用意してくれました。

撮影するシチュエーションと衣装の組み合わせをみんなで決めました。

グルーヴィー・エアー所属の梓媛さん。アメリカ人のお父さんと日本人のお母さんのハーフです。
スタジオは、シンプルなソファー、ガーリーなベッド、バック紙、スタイリッシュなコンクリート風の壁などのシチュエーションで撮ることができました。
梓媛さんの持ってきた衣装を見ながら、シチュエーションとの組み合わせをみんなで考えていきます。
梓媛さんが着替えている間に、梓媛さんの位置に座りポージングを考えたり、ライティングを調整します。
いちばん最初の撮影は、白のソファーと青いワンピースの組み合わせ。爽やかなイメージで撮影しました。最初は緊張ぎみの参加者さんも、撮っていくうちに乗ってきて最後の方が大胆に寄って撮影しました。
ガーリーなファブリックのベッドは、“部屋でリラックス”をテーマに撮影。「人物ばかりに注目しがちですが、背景になにが入るのかも意識しましょう。もし背景に余計なものが入るときは、縦位置にしたりアングルを変えたりして写り込まないように工夫します」と、村尾先生からアドバイスをいただきました。
撮影は5名ずつの2グループに分かれて行われました。1グループが撮影している間に、もう1グループが次のシチュエーションのセッティング。チームワークはバッチリです。白いバック紙だと味気ないので、ハートを貼ってかわいくデコレーション。
こちらのシチュエーションは、ひとり30秒を2回、梓媛さんと1対1で撮影しました。ポージングの指示も2回目になるとスムーズに出せるようになりました。
梓媛さんに立ってもらったり座ってもらったり指示を出しながら、自分も近寄ったり離れたり撮影ポジションを考えていきます。「上から撮ると目が大きく写るのでかわいらしく見え、正面から撮ると親しそうに見えます。心理的な効果も利用して撮影しましょう」と、村尾先生。
撮影が終わるとお互いの写真を見せあい、どんな風に撮ったのかアドバイスしあっていました。「フィルムは撮影枚数が増えるほどお金がかかりますが、デジタルは気にせず撮れます。たくさんのバリエーションを試して、最高の1枚を撮ってください」と、村尾先生。
コンクリート風の壁のシチュエーションでは、白シャツと黒パンツ、赤いヒールというスタイリッシュな衣装で撮影。イメージに合わせ、陰影が出やすい強めのライティングにしました。
参加者から「モノクロでかっこいいデコルテ写真を撮りたい」という要望がありました。「モノクロで撮影するときは、コントラストを高めに設定してメリハリを出すと、かっこよさが引き立ちます」と、村尾先生。
電動ブロワーで風を送り、動きのある撮影も楽しみました。

ひとり1枚、ベストショットをプリントして、本日の感想とともに作品を発表。村尾先生に講評してもらいました。

A4サイズにプリントしていきます。皆さん、たくさん写真を撮ったのでベストショットを決めるのにかなり悩んでいたようです。
同じ場所で撮っても、切り取り方やカメラの設定で1人ひとり作品のテイストが違いました。人の作品を見るのも勉強になりました。

参加者の方からは

「モデルさんは、かわいい表情もクールの表情も撮れる方だったので、撮影していてとても楽しかったです」

「1日集中して撮って、とても疲れたけどこの疲労感が気持ちいいです(笑) 終わったら甘いものが食べたくなりました」

という声が。

皆さん、素敵な写真がたくさん撮れて大満足のご様子でした。

撮影:Mikaさん。「村尾先生の講座はいつもとても楽しいです。モデルさんの表現力が素晴らしかったので、たくさん素敵な写真が撮れました。カメラって自分のイメージをつくれるから楽しい」
撮影:sachiさん。「とても楽しく、中味の濃い撮影会になり満足でした。特にモデルさんが経験豊富な方で指示を出しやすく気持ちよく答えてくれるので、撮りやすかったです」
撮影:コーギー大好きさん。「村尾先生のモデル撮影は今までイケメンモデル撮影ばかりで女子モデル撮影は初めてでした。ですが受講風景ブログで拝見していた通りでとても楽しかったです。ずっと続けて参加していきたいと思っております」
撮影:kouさん。「女子だけ撮影会でしたので、楽しく和気あいあいの雰囲気の中でのびのびと撮影できました。村尾昌美先生の適切なご指導の下、また梓媛さんも撮影時間中休むこともなく、疲れを見せることもなく、色々な表情やポーズをしてくださいました。村尾先生、梓媛さん、またご一緒してくださった皆様、OlympusスタッフのT様、どうもありがとうございました」
撮影:相川由美さん。「女性だけの独特の雰囲気がリラックスした撮影となって楽しい時間が過ごせました。素敵なモデルさんのおかげで素敵なショットがたくさん撮れました」
撮影:秋山順子さん。「モデル撮影は緊張するのですが、フォトルージュでは最初のセットの合わせた衣装を決めるところから皆で和気あいあい。“女子会”ノリのとてもよい雰囲気で楽しく撮影できました」

最後に梓媛さんと村尾先生にお話を伺いました。

「男性の参加者は寡黙な人が多く、撮影現場ではシャッター音しか聞こえないことが多いです。シャッターの音が多いと“この表情がいいんだな”と(笑)。女性の方は積極的にポージングの指示を出してくれたり、相づちを打ちながらたくさんほめてくれたりするので、いつもと雰囲気が違い新鮮な撮影現場でとても楽しかったです」(梓媛さん)

「ポートレート撮影は、モデルさんをどう撮れば美しくなるか、どんな指示で伝えるのがわかりやすいかを考え、コミュニケーションを撮りながら撮影するので、頭をフル回転します。時には身振り手振りで指示を出し、頭と体のエクササイズのような講座です。緊張感を保ちつつ集中して一気に撮影するからアドレナリンが出ているのではないでしょうか。その達成感や充実感が参加者の方に面白がっていただけているんだと思います。とても面白い講座なので、ぜひ皆さんに参加していただけると嬉しいです」(村尾先生)

スタジオポートレート撮影講座は、年1~2回行われていて、次回は秋に男性ポートレートを予定しているそうです。気になった方はオリンパスデジタルカレッジのフォトルージュのスケジュールをチェックしてみてはいかがでしょうか。

(2015/5/15)
加藤マキ子(ツナ☆カメラ)
1981年生まれ。写真編集者。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。『光と色の写真の教科書 〜ふんわりフォトもこっくりフォトも思いのまま〜』『まりこ先生が教える やさしい写真の教室』などの企画・編集を担当。ときに、撮影や執筆も手掛けることも。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!