写真家 山本まりこさんと行くカメラ女子の旅♪

カメラ女子 in 世界遺産のまち「熊野」(前編)

 カメラ女子に人気の写真家山本まりこさんと一緒に世界遺産の熊野を回る旅フォトツアー、カメラ女子 in 世界遺産のまち「熊野」が5月3日〜4日に開催されました。撮って感じて楽しんだ笑顔いっぱいのカメラ女子たちの旅をレポートします。

熊野古道 松本峠の展望台で。熊野バージョン「どすこい♪」(山本まりこさんのお決まりポーズ)のポーズでパチリと記念撮影♪

かわいい! に貪欲なカメラ女子のチカラで熊野を盛り上げよう

 カメラ女子 in 世界遺産のまち「熊野」(以下、カメラ女子 in 熊野)は、カメラ女子で熊野市を盛り上げようと企画された旅フォトツアー(主催:カメラ女子 in 世界遺産のまち「熊野」実行委員会、共催:熊野市・熊野市観光公社、後援:熊野市観光協会)。

 過去2回は秋の土日に開催されましたが、遠方に住むカメラ女子から「参加したいけど、スケジュール的に参加できない」という声が多く、今回は遠方からでも参加しやすいゴールデンウィークに開催することになりました。

名古屋駅から熊野へ向かうシャトルバスでは、早くもカメラ女子たちが遠足気分でお菓子の交換会。初対面の人同士でも、「写真」という同じ趣味ですぐに仲良くなっていました。
道の駅「紀伊長島マンボウ」で一番人気のマンボウ串焼きにカメラ女子たちは大はしゃぎ。食べて撮って、食べて撮ってを休憩ごとに繰り返し、熊野へ向かいます(笑)。

 企画した実行委員会の方にお話を伺ったところ、「写真で熊野市を盛り上げられないかという話が出て、カメラ女子にスポット当てた企画を考えることになりました。そこで“カメラ女子”という言葉を検索したところ、山本まりこ先生の名前が一番最初に出てきたんです。山本先生に協力していただけないかと連絡をしたところ、快く承諾してくださり開催することになりました」。第1回目は2011年に開催され、今回で3回目を向かえるとのこと。

 ツアーで訪れる場所は、1回目は実行委員会がカメラ女子に見て回ってほしい熊野の場所に設定したそうですが、2回目、3回目は前回の参加者からどんな場所に行きたいか? どんなことをやりたいか? とカメラ女子たちの意見を積極的に取り入れ、カメラ女子がより楽しめる内容に工夫していったそうです。

 その成果もあり今回のカメラ女子 in 熊野は、募集開始前から前回の参加者の口コミで「ものすごく楽しいらしい」と一部のカメラ女子たちの間に広まっていました。ゴールデンウィークの開催も重なり募集人数20名にもかかわらず、募集をかけたその日のうちに30名以上の応募が! 参加人数を30名まで増やし、満員御礼で募集は締め切られました。

 過去2回は14名、10名と20名の募集人数に達しなかったので熊野市のスタッフの方もとても驚いたそうです。参加者30名中、過去に参加したリピーターは8名。そのうち3名は第1回目から参加しているとのこと。リピーター率の高さからも、この旅フォトツアーがカメラ女子の心をガッチリと掴んでいることがわかります。

カメラ女子に絶大な人気を誇る山本まりこさん。参加者の30名中20名以上が過去にまりこさんのワークショップや写真教室に参加したことがあるということ。そこからも人気の高さが伺えました。
熊野に着いたら、熊野市文化交流センターでオリエンテーション。山本まりこさんのお決まりポーズ「どすこい♪」をみんなで練習しました。熊野バージョン「どすこい♪」は、両手の指を曲げ熊手にするそうです。
カメラ女子たちのカメラは見ているだけでとてもカワイイ♪ こちらはチロリアンテープを縫い付けた自作ストラップ。ちなみに参加者が持ってきたカメラの割合は、一眼レフカメラが9名、ミラーレスカメラが21名。
デジタルカメラと一緒にフィルムカメラを持ってきた参加者も。たくさん撮れるデジタルと、現像するまで像が見えない楽しみがあるフィルム。両方の魅力も楽しんでいるとのこと。
カワイイストラップだけでなく、デコカメラキャップやコサージュを愛用している人もたくさんいました。カメラを自分だけの1台にカワイく着飾って、ファッションとして楽しむのがカメラ女子の特徴です。

自分だけの「カワイイ♪」を見つけて写す

 熊野古道とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社(熊野三山)へと通じる5つの参詣道の総称で、三重県、奈良県、和歌山県、大阪府に跨っています。ツアー1日目は、熊野古道の熊野古道伊勢路の松本峠と鬼ヶ城を回りました。

 最初は熊野駅前にある熊野市文化交流センターでオリエンテーション。名古屋からのシャトルバスが渋滞で一時間半遅れてしまったため、山本まりこさんがテーマで撮っているエアリー写真を撮るポイントを簡潔に説明して、すぐさま撮影へ。ちなみにエアリー写真とは、気持ちよい風を感じるように写真を見ている人が心地よくなれる写真のこと。頭で考えるより、まずは撮ってみよう! という実践形式で旅フォトツアーは始まりました。

松本峠は、伊勢神宮に参拝した人々が熊野の神様を目指して歩いた参詣道の熊野古道伊勢路の最後の峠。標高が135mと低いため軽装でも安心して歩くことができます。美しい石畳道が残る熊野古道です。
カメラ女子の何人かは山ガールでもあるらしく、カラフルでかわいい山ガールファッションに身を包んでいました。
天気に恵まれ、木々の間から光が差し込んだ幻想的な部分を切り取っていくカメラ女子たち。参加者の写真歴は、最長5年と長く写真を楽しんでいる人から、カメラを購入して3〜4カ月の人とさまざま。友達に誘われ、今回のために2週間前に初めて一眼カメラを購入したという強者も。
同じ場所にいても「カワイイ」と心惹かれる部分は千差万別。その人独自の切り取り方、写し方があり、「こんな見え方があったの?」と最後の講評会で驚かされました。
熊野古道を歩きながら、参加者の疑問に答えたり、カワイく撮るコツを伝授する山本まりこさん。ただいま、カワイイ玉ボケの作り方をレクチャー中。
山本まりこさんに教わった方法でシダのクルクルにピントを合わせ玉ボケを作ってみました。写真の技法書を読むより、実践で教わるほうがどんどん上達していきます。きれいに撮れるようになると、写真が前より好きになるから不思議です(笑)。
松本峠の途中にある等身大ほどの大きなお地蔵さま。建ったその日に妖怪と間違えられて鉄砲傷をつけられてしまったそうです。みなさん、思い思いの構図やカメラの設定で撮影していました。
松本峠の展望台の東屋。ここまでの歩行時間は、撮影しながらゆっくりと登って約一時間。七里御浜から熊野市街地までを眺望できます。
奇岩の名所「鬼ヶ城(おにがじょう)」。隆起と風化と波の浸食によって生じた約1kmに続く自然の芸術。国の天然記念物で、日本百景にも選定されています。
上を見上げて撮ったり、足元の水たまりの映り込みを撮ったり。海を撮ったり、ごつごつした岩の表情を撮ったり。参加者は、「この場所が面白いよ!」「すごく、キレイ!!」「ちょっとそこに立ってモデルになって」などと、交流しながら撮影を楽しんでいました。

 1日目の終わりは熊野市文化交流センターに再び集まり、モニターを使って道中で説明したカワイイ撮り方の復習とプチ講評会。被写体の切り取り方や光のとらえ方、玉ボケの作り方などをわかりやすく解説していただきました。

 参加者の方に1日目の感想を聞いてみると、「普段は1人で撮影しているので、同じ趣味の女子とワイワイしゃべりながら撮影することがとても楽しかったです」「熊野古道に前から来てみたかったんです。ステキな景色がたくさん見られて感動しました!」「今までオートでしか撮影したことなかったのに、1日で写真がみるみる上達しました♪ 自分の写真じゃないみたいです」などなど。

 夕食は、事前の口コミで美味しいと評判だったバーベキュー。伊勢海老や通常の倍の大きさもある大きなサザエ、熊野地鶏、郷土料理のめはり寿司とさんま寿司などを美味しくいただきました。

 実行委員会スタッフの熊野弁講座や、じゃんけん大会などの楽しいひとときを過ごし、楽しい楽しいカメラ女子たちの長い1日は幕を下ろしたのでした。

玉ボケの作り方や写真の明るさと色味を変えることで印象が変わることを、ひとつひとつていねいに解説していく山本まりこさん。
熊野少年自然の家で恒例になったバーベキュー。ほとんどの人がツアーを1人で参加したにもかかわらず、1日が終わればみんな仲良しになっていました。
三重県熊野市新鹿町で見つかった新種の柑橘類「新姫(にいひめ)」。新姫サイダー、新姫ビールが用意されました。地元の参加者いわく、新姫の果汁を普通のビールや焼酎に落として飲むのも絶品だそうです。
みんなが楽しみにしていた伊勢海老は、1人1匹が振る舞われました。味噌の部分が濃厚。魚介類はどれも新鮮なため、東京で食べる味とは全然違いました。
最後は山本まりこさんとじゃんけん大会。新姫セットと熊野花火セットが用意され、大いに盛り上がりました。

(後編はこちらです)

(2013/5/10)
加藤マキ子(ツナ☆カメラ)
1981年生まれ。写真編集者。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。『光と色の写真の教科書 〜ふんわりフォトもこっくりフォトも思いのまま〜』『まりこ先生が教える やさしい写真の教室』などの企画・編集を担当。ときに、撮影や執筆も手掛けることも。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!