編集後記
2021年11月19日
宮澤孝周
11月も半ばにさしかかり、空気の冷え込みを肌で感じられるようになりました。
秋というと枕草子の一節が思い出されますが「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり」と語られる一節の中で、同時に秋の景として風の音や虫の声に興味が向けられています。
先日夕暮れの光を浴びて揺れるススキの穂に出会いましたが、まさにこの一節を思い出しました。沈みはじめた太陽の光がススキを黄金色に染めていて、穂先がキラキラと輝いている様子は、まさに音が聞こえてくるよう。何でもない光景ですが、音が聞こえてくるような写真を撮っていきたいな、と思いながら画面に収めました。
街中へ出ると、もうすっかり景色はクリスマスムードに様変わりしています。そこかしこで電飾の灯が見られる様子は、さぁ、これから経済をまわしていくぞ、という人々の活気を象徴しているかのようでした。