岡嶋和幸の「あとで買う」

1,235点目:日本で花開いた写真の可能性を知る

日高優『日本写真論 近代と格闘した三巨人』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

日高優『日本写真論 近代と格闘した三巨人』

本のタイトルにある「三巨人」とは木村伊兵衛、土門拳、濱谷浩と、みなさんご存知の3人の写真家のことです。「写真という技法の恐るべき単純さに気づき、ただひたすらにその単純さを極めようとする者たち」と紹介されています。

第1章では木村伊兵衛、第2章では土門拳、第3章では濱谷浩がどのように写真と出合い、その本質に気づき、どのような手法や対象を通じて歩んでいったのか、その軌跡を追求しています。

デジタルカメラの普及で写真が身近になった今だからこそ、近代化が進む日本の中で写真に生きた彼らのことを知るのも良いのではないかと思いました。販売価格は2,420円で、Kindle版もあります。

著者の日高優さんが2009年に出版した、1960〜70年代の現代アメリカ写真家の仕事に光を当てた『現代アメリカ写真を読む デモクラシーの眺望 写真叢書』という本もあり、こちらも合わせて読んでみたいです。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。