コラム
光と造形を切り取り、作品へと仕上げる——自然に囲まれたSIGMA本社で「クリエイティブスナップ」を撮る
2023年4月4日 14:00
2022年5月に移転された株式会社シグマの新社屋。そのお披露目会に参加させていただいた時に、ここの空間、美しさに感動しました。
光を常に意識できる環境は、さすがSIGMAの本社だなと唸らせる建築物。SIGMAのこだわり、その世界観を毎回作品を撮るたびに感じることでしたが、この新社屋に伺って、さらに納得できたように思います。そしてここで働く人すべてがSIGMAブランドなのです。
会社内を撮影し作品にするなど経験ないことでしたが、ここをテーマにcreative snap(クリエイティブスナップ®)※ な作品をSIGMA fp Lで撮ってみたい! と2月初旬に撮影をしてきました。
※編集部注:独自のオリジナリティな構図でその世界観を切り抜く佐藤倫子さんの作品スタイル。
エントランス(外観)
川崎市麻生区にある新社屋は、高層棟と低層棟の二棟、その間をレンズセラーと通路がつなぐ建築構成。
全従業員が朝会社に来ることが楽しみになるように気持ちよく働けるように、そして移ろう季節の美しさにも気づける心に余裕の持てる空間になることを考えてのコンセプト、とのこと。私もSIGMA従業員になりたい、思いましたわ。
エントランスの白を基調とした通路に、光と影を楽しませる空間を見つける。
あえて手前の柱を基準に入れた構図を考えてみた。
季節で変わりゆく植物。この日の、この時の、写真。
背景の壁の質感が光と影をいい具合に演出してくれる。
渡り廊下
エントランスを過ぎて、目を引くのがここ。レンズ、カメラを作っている会社なのだと、改めて実感してしまうつくり。毎日光の動きを楽しめる場があることを羨ましく思います。
影の黒、窓枠の黒を意識して、遠近法テキな? 構図。
でも手前の光と影がメインな撮り方。
ここは色々なバリエーションが撮れる場面。つい夢中になってしまった。
外の前庭から。ラインを意識して、
写真左半分は、影を演出してくれる白い外壁たち。右は窓ガラスと建物内の廊下。
中庭
会社とは思えない中庭のスペースで、天気や季節を感じながら、従業員のコミュニケーションの場や、ランチを食べたりと多目的な空間として使われています。
新たにできたカラーモード「ウォームゴールド」で撮ってみると植物のインパクトも強く、不思議な世界観ができる。
高層棟と低層棟をつなぐレンズセラー(後述)の黒い壁。
壁の黒にも木の枝のディティールがしっかり写し出されている。
ピント合わせが微妙な被写体もAF拡大機能で安心、簡単。
木の枝を手前、背景はガラス窓とその写り込み、室内。
大ラウンジ
低層棟2階にある大ラウンジはラグジュアリーな、オフィスとは思えない空間です。
デザインの違うテーブル、ソファーが並び、また大きな窓から自然を思う存分に感じられるスペースでこの開放感が居心地良くさせます。
手前の半円がテーブル、右上のえんじ色がソファー。
左上は床とソファーの影。被写体の組み合わせが魅力的なところばかりです。
カウンターに天板の影、そして白い椅子。
向こう側は階段と吹き抜け。美しい光が入り込んでいた。
テーブルの上に置かれていたガラスの置物に光がさし、影を演出。
2つのテーブル、少しズレたつなぎ目と右上は背景の床と壁。
屋上庭園
私の印象は、「SIGMAの森」。
個性的な66種の樹種が植栽されており、訪れる人が感じるままにここに分け入って、つい写真を撮りたくなるような雰囲気を目指し作られている。
高層棟の白い建物と手前の庭園の柵を組み合わせた。
電線もまた良いアクセントとなっている。
柵の横の白いラインが光に当たり、目に留まる。
手前の土と、背景の森を白いラインが境界となり表現した。
中央階段(ライブラリー)
中央階段の壁面に設置された写真集ライブラリー。
「写真と写真集の変遷」を時間軸で構成しているライブラリーは他に例がなく、従業員のインスピレーションの素となるように「文化資本」として設置されてます。現在、約4,000冊の写真集が収納。
階段の手すり、棚のラインとの組み合わせで撮ってみる。
ここの場に立った瞬間の、まさに、インスピレーションで撮った1枚。
1階の階段横から撮った写真。白い柱、階段側面を、無駄を省いたレイアウトで撮影。
背景の本棚、光を感じさせるように構図に入れた。
レンズセラー
2012年以降のSIGMA全製品が陳列されたレンズセラーのコンセプトは「カメラの中」。
小さい雪見窓は、レンズを通して入ってきた光で、この部屋全体がブラックボックス。カメラの中身を意味し、レンズの並んでいる発光面はセンサーを表現。そのレンズひとつひとつが1ピクセル、画素をイメージしています。
雪見窓と発光面側から入る繊細な光具合と、縦、椅子のラインを意識して撮影した。
左が陳列された発光面。右の壁つなぎがわずかに光を感じ、存在を見せているのをポイントに撮影した。
撮影を終えて
SIGMAのカメラとレンズで撮るとオリジナルな絵作りができ、その独特な世界観からSIGMAのこだわりが感じられるのですが、そのクオリティは、ここ新社屋の各所に表現されていると思いました。
何より、光が美しい。写真家にはたまらない光の空間が沢山あり、ここでモノづくりができるのなら幸せだなと、実感する社屋。そして季節の変化、自然を大切にして人としての健全な生き方までを教えられたような気持ちになりました。とにかく、従業員の皆さんが羨ましい! です。
普段SIGMA fp LにSIGMA 45mm F2.8 DG DN | Contemporaryで撮影していることが多い私ですが、今回は新らしく発売されたSIGMA 50mm F1.4 DG DN | Artを中心に撮影してみました。
Artレンズは重い印象がありましたが、SIGMA fp Lとのバランスも良く、何より、撮りやすい! 50mmレンズってこんなに撮りやすかったっけ?と思わせる不思議なレンズです。手に取ると、離せなくなりますよ。
また、どこまでもどこまでも寄れる? レンズ、SIGMA 24mm F3.5 DG DN | Contemporaryも使いやすかったです。
インスピレーションに任せて撮影するには相性いいレンズが必要だと思うのですが、今回の50mmも24mmもフィット感が合うレンズでした。撮影に自信が持てるレンズでしょう。
それと、新しいカラーモード「ウォームゴールド」はまたひとつSIGMA色を作ってくれたように思います。色々楽しんでますが、この色はこれから撮っていくうちに、想像以上の色を引き出してくれそうで期待してます。