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秋から初冬のニューポート・ビーチ


F8 / 1/250秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC OS / 63mm / JPEGで撮影
ビーチ沿いにあるバスケットコート

※カメラはシグマSD14を使用。特記したもの以外はすべてRAWで撮影してからJPEGに現像し、幅1,028ピクセルに縮小しています。
※写真下のデータは絞り/シャッター速度/感度/レンズ/実焦点距離です。感度はすべてISO50です。


 この秋から初冬にかけ、ニューポート・ビーチによく遊びに行っている。ニューポート・ビーチは、ロサンゼルス国際空港から約70km南下したオレンジ郡に位置していて、オレンジ郡と聞くと山火事をイメージする人も多いと思うが、ニューポート・ビーチは海沿いの平野部に位置しているので、その心配はいらない。

 空港からインターステイツ・ハイウェイ405号線(サンデェゴ・フリーウェイ)を南下すると、巨大なショッピングモール、サウスコースト・プラザがあり、近年開発が進むコスタメサ付近で73号線、55号線に乗り換えて海に向かって走る。15分ほど行くと、1906年に市に認定されたニューポート・ビーチに到着する。人口は8万4,000人(2007年度調査)と、大きすぎないサイズ。

 海沿いなので空気は澄んでいる。広い砂浜、サイズも形も違う白いヨットが多く停泊しているマリーナ、洒落たショッピングモール、にぎわっているレストラン、ニューポート・ビーチは、来客をもてなすのにとても便利で、今まで連れて行った来客は皆、気に入ってくれているようである。観光客が多いほかの海沿いの街と比べると、華やかさの中にも静かな落ちつきがあり、人が多く集まる場所が苦手な私でも、この街は1日中、客を案内していても疲れないし、何回行っても飽きることはない。

 サーファーに人気のあるこのあたりの大きな波を眺めながら、ビーチ沿いをゆっくり散歩し、桟橋に出て海風にあたるのは、なんとも爽快で気持ちがいい。夏は涼しいし、冬でも太陽が出ていると汗ばむことも珍しくない気候は、何ものにも代えがたい。時差ボケや長時間飛行機に缶詰めになった体には、この気候はとくに嬉しい。歩き疲れ、素朴なコーヒーショップで休憩していると、この恵まれた気候をじゅうぶんに楽しんで走る人が目に飛び込んでくる。そんなとき「ここは南カリフォルニアだ」と強く感じる。陽が落ちた直後の桟橋の上を歩くのもまたいいもので、夜になっても釣りを楽しむ人やカップルの姿はなかなか消えることはない。


F8 / 1/320秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 200mm / JPEGで撮影
ビーチでくつろぐ人びと
F8 / 1/125秒 / ISO50/ 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 24mm / JPEGで撮影
桟橋の望遠鏡はあまりよく見えない

F8 / 1/250秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 173mm / JPEGで撮影
ビーチパトロールの建物

F8 / 1/250秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 18mm
コーヒーショップ
F4.5 / 1/30秒 / ISO100 / 10-20mm F4-5.6 / 10mm
桟橋の先端はレストラン

F4 / 1/20秒 / ISO100 / 10-20mm F4-5.6 / 10mm
陽の落ちた桟橋

 ニューポート・ビーチで私が特に気に入っているところは、人工的につくられた小さな島、バルボア・アイランド。観覧車などのアトラクションがあるニューポート・ビーチのファン・ゾーンから、バルボア・アイランド・フェリーに乗って渡ることができる。車3台を運べるこのフェリーで、片道わずか300mの距離をただ往復するだけでも楽しい。


F5.6 / 1/30秒 / ISO100 / 10-20mm F4-5.6 / 12mm
ファン・ゾーンにあるメリーゴーランド
F8 / 1/125秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 18mm
フェリーには自転車で乗り込んでくる人も多い

F11 / 1/125秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 63mm
運河をヨットが優雅に行く
F8 / 1/125秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 42mm
夕陽を浴びて気持ちがいいフェリー上。人は、気持ちがいいものを浴びると、いい顔になると思う。

F5.6 / 1/60秒 / ISO50 / 10-20mm F4-5.6 / 10mm
バルボア・アイランド側から乗り込んだフェリー。快晴の後の日没は、いい1日を過ごした気になる

F11 / 1/125秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 28mm
バルボア・アイランド側からフェリーに乗り込む
F8 / 1/250秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 154mm
バルボア・アイランドのフェリー乗り場に続く道から

 大きければ大きいほどいい、そして大きければそれでいい(言い過ぎかもしれないが)、そんな風潮さえ感じるアメリカでは珍しく、バルボア・アイランドには、ガレージもない小さな家が密集している。また狭く短いメイン・ストリートには、けっして豪華ではないが、小さく可愛いレストランが繁盛しているのも嬉しい。

 先日の夜、ぶらりと入った小さなイタリアレストランの奥のコーナーには、5人も座ればいっぱいになるワインバーがあった。そこには食事はせず、ワインを1杯引っ掛けに来ている近所のおじさんが3人、顔を赤くして、楽しそうに語りあっていた。話の内容までは聞こえてこないものの、その高らかな笑い声から、話の内容は他愛のないものだと容易に想像がつく。

 そんなご近所的なレストランで、私はパスタ、友人はピザを注文し、赤ワインを1杯ずつゆっくりと飲んだ。そんな家から歩いて来られる何でもないレストラン、帰宅の運転の心配をすることなく、酒を飲んで夕飯にありつけるレスランがあるコミュニティーは、アメリカでは珍しい。アメリカに住み車社会に浸っている人間にとって、何でもない日常生活が歩きの範囲でできる生活、これは憧れだ。

 夕飯は、美味い食べ物で腹をいっぱいにするというより、その日の締めくくりとして、大げさな言い方をすれば、生きている確認作業として「いかにうまい酒を飲むか」と、無意識のうちに朝から考えて行動している私のような人間にとっては、とくにである。


F8 / 1/100秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 28mm
小さな郵便局
F8 / 1/125秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 42mm
11月下旬、教会ではクリスマスの飾り付けが始まっていた

F8 / 1/125秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 42mm
街には、泊まりたくなる小さなホテルがあった
F8 / 1/125秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 21mm
10月の消防所には、ハロウーインの飾りつけが

F8 / 1/100秒 / ISO50 / 18-200mm F2.8-6.3 DC O秒 / 18mm
水に囲まれた住宅

F5.6 / 1秒 / ISO50 / 18-50mm F2.8 Macro / 18mm / 三脚使用
12月になると、各住宅の船着き場と船にクリスマスのイルミネーションがついた
F5.6 / 1秒 / ISO50 / 18-50mm F2.8 Macro / 18mm / 三脚使用
クリスマスのイルミネーションがついたボート

F5.6 / 0.45秒 / ISO50 / 18-50mm F2.8 Macro / 18mm / 三脚使用
消防署の前では、サンタがコンサートを開いていた


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。

2007/12/12 00:01
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