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レッドロック・カントリー、セドナへ(後半)


写真1
F14 / 1/125秒 / 18-50mm(18mm)
ジャニパー・ツリーという木は、ヴォルテックスに繊細で、この木のねじれでヴォルテックスのエネルギーの強さが判ると言われているが、確かにここエアポートメサにあるジャニパー・ツリーもねじれていた

※カメラはシグマSD14を使用。すべてRAWで撮影後、JPEGに現像しています。
※写真下のデータは絞り/シャッター速度/レンズ(実焦点距離)です。すべてISO100で撮影しています。
※レンズはすべてシグマ製で、50-150mm=APO 50-150mm F2.8 EX DC HSM、18-50mm=18-50mm F2.8 EX DC Macro、10-20mm=10-20mm F4-5.6 EX DC HSMを表します。
※写真をクリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


 私たちは、午前中、不思議な町ジェロームを訪れ、その後キャンプ場に戻り、簡単なランチを食べ、再びパワースポット巡りをすることにした。まず、「エアポートメサ」というヴォルテックスに行った。ここはセドナの小さな飛行場のそばに位置し、車を道路に止めて岩の固まりの様な小高い丘を少し登れば、セドナを360度眺めることができる(写真1、2)。

 1901年10月、ミズーリ州から妻と2人の子どもとともにこの地に移り住んだT.C.シュネブリーは、この地から外の世界へ連絡手段の必要性を感じ、ポスト・オフィスを設立する申請をした。申請は承認されたが、ポスト・オフィスの名前を求められた際、自分のファミリーネームで申請したところ、長すぎるという理由で許可が下りず、妻であるSedonaの名前で申請し、1902年6月にSedona Stationが誕生した。これがセドナの名前の由来である。


写真2
F14 / 1/125秒 / 18-50mm(18mm)
丘を少し登るとこの景色。ここからセドナを一望できる

 900年から1350年まで、シワナ族、アナサシ族が、岩壁に住居を作り、農作業を中心に陶器、バスケット、ジュエリーをつくって生活をしていた。しかし1425年までには、ネイティブ・アメリカンはこの地から突然姿を消した。その理由は不明である。

 地質学的には、3億5千万年の長い年月を経て現在の景観となった。この地に多く含まれる鉄分が酸化して、赤い色をつくりだしていると言われるレッドロックの風景は、西部劇映画で世の中に知られることになり、約100本以上の映画の全体または一部の撮影が行なわれた。現在は、映画撮影に対して規制を厳しくしていると聞いている。宿泊施設は、高級リゾートホテルから小さなモーテル、キャンプ場まで整い、アリゾナ州でグランド・キャニオンに次ぐ第2の観光スポットで、年間400万人の観光客がこの地を訪れる。

 エアポートメサでゆっくりセドナの景色を眺めた後、セドナに来たほとんどの人が立ち寄る、1957年に完成したホーリークロス・チャペルを訪れた(写真3、4)。

 そしてこの日の最後は、初日にも訪れたセドナの顔とも言えるキャシードラル・ロックがよく見えるレッドロック・クロスシングを再び訪れた(写真5~9)。


写真3
F13 / 1/125秒 / 18-50mm(18mm)
岩にはさまれたようなチャペルは、一見の価値あり
写真4
F14 / 1/125秒 / 10-20mm(10mm)
ホーリークロス・チャペルの周りを囲む岩山

写真5
F7.1 / 1/125秒 / 50-150mm(50mm)
キャシードラル・ロックが、オーク・クリークに映る。その光景は、忘れていた自然の色を思い出させてくれた
写真6
F11 / 1/100秒 / 18-50mm(18mm)
滑らかな岩肌を流れるオーク・クリーク。このあたりの水深は、5cmから20cmぐらいだった

写真7
F5 / 1/500秒 / 50-150mm(150mm)
滑らかな岩が滑り台の役目をして、何度もこのクリークを流れ、滑っていた子ども
写真8
F11 / 1/125秒 / 18-50mm(50mm)
クリークの幅が広がり、水の流れが遅くなり、水遊びには最適

写真9
F4 / 1/400秒 / 50-150mm(150mm)
誰にも邪魔されることなく悠々とマイペースで泳ぐ鳥

 ここを流れるオーク・クリークの水深は、浅いところは足首程度、深いところでも腰くらいの深さ。その底は尖った出っ張りもなく滑らかな岩だ。カメラを持っていた私は、素足でこのクリーク渡ると滑りやすいので、靴を履いたままクリークを渡った。そして、クリークの浅い底に腰を落として座ってみた。

 地元の人が聖なる水と呼ぶ、冷たすぎないクリークの水の流れは、強い日差しの下では特に気持がいい。時間も気にせず、美しい景色に囲まれ、水に浸かるのは何とも贅沢なことだった。この日は、夕方までゆっくりし、濡れてしまった靴を脱ぎ素足でアクセルを踏み、セドナの重要な道89Aを走り、キャンプ場に戻った(写真10)。


写真10
F9 / 1/100秒 / 18-50mm(40mm)
沈みかけた夕陽が、アメリカで最も美しいドライブコースのひとつと言われる
89A沿いをゴールドに染める

 翌日はセドナ滞在最終日。キャンプ場をチェックアウトした後、アップタウンに行き、ランチを食べ、街をぶらぶらと歩いた。住民200人につき1軒のアートギャラリー・ショップがあると言われ、土産屋にはセンスのいい物が沢山あった。ショッピングに興味がない私でも、この街にいると何か買って帰ろうという気になった(写真11)。

 その後、アップタウンからオーク・クリーク沿いを走る89Aを少し北に行き、セドナに引き返してみた。グランド・キャニオンからセドナに来る時は、アメリカで最も景観が美しい道のひとつと言われている89Aを、北から南に下りながら走ってくるのだ。壮大なグランド・キャニオンから来ても、レッドロック・カントリーの赤い岩肌が見えてくると、また違った大きな感動を覚えるから、旅人を飽きさせることはけっしてない(写真12~15)。


写真11
F11 / 1/125秒 / 18-50mm(18mm)
ランチを食べたメキシカン・レストランからの開放的な眺め
写真12
F8 / 1/100秒 / 18-50mm(23mm)
道路の左はオーク・クリーク、右は岩

写真13
F13 / 1/125秒 / 18-50mm(20mm)
北からドライブして、この風景になるともうセドナ
写真14
F8 / 1/125秒 / 18-50mm(18mm)
ミッドグレー・ブリッジでオーク・クリークを渡り、セドナのアップタウンへ

写真15
F8 / 1/160秒 / 50-150mm(50mm)
ミッドグレー・ブリッジ付近からアップタウン・セドナを見る

 太陽の日が夕方を感じる色になってきたころ、アップタウンの少し南に位置するテラカパキというクラフトショップやアートギャラリーがあるビレッジに立ち寄った。ここには小さくてかわいいチャーチがあり、ちょうど結婚式が終わり、広場でレセプションの準備が行なわれていた。(写真16、17)。

 その後、179号線を南に少し下り、2日目に行ったベルロックに立ち寄った。西に沈み行く太陽の日が、レッドロック・カントリーの山々でさえぎられ、ベルロックのトップとコートハウスだけを照らしていた(写真18)。


写真16
F8 / 1/125秒 / 18-50mm(33mm)
小さな教会
写真17
F5.6 / 1/100秒 / 18-50mm(35mm)
ウエディング・レセプションのテーブル。テーブルクロスとキャンドルは、レッドロック・カントリーの色をイメージしていると思う

写真18
F8 / 1/80秒 / 10-20mm(10mm)
もうほんの少しで沈む太陽が、最後の力で岩山を照らし出す。その時、レッドロック・カントリーが最も豪華に輝く瞬間

 ベルロックから歩いても行ける距離に位置するオーククリーク・ビレッジで夕食を食べ、セドナを出たのは夜の9時近かった。すっかり暗くなった179号線を南に下り、インターステイト17号線に乗り換え、南にフェニクスまで走り、飛行場で友人と別れた時、時刻はすでに11時だった。

 フェニクスで1泊し、翌朝ロサンゼルスに帰る予定だったが、頭がさえていたので、車の給油のためガスステーションに止まった以外、フェニクスからロサンゼルスの自宅まで約640kmをノン・ストップで走り続け、朝の4時半に帰宅した。普段、夜の12時以降のドライブは3時間以上しないようにしているが、この夜は睡魔にも襲われなかった。そのうえ帰宅後、数時間の睡眠をとっただけでその日を普通に過ごせたのは、セドナパワーのおかげかもしれない。



URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。

2007/07/25 00:01
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