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リトルリーグ開幕


EOS 5D / シグマ 12-24mm F4.5-5.6(12mm) / ISO100 / AWB / MF / 1/100 F8

※画像をクリックすると等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※RAWで撮影した画像をJPEGに変換しています。
※画像下のデータはカメラ/レンズ(実焦点距離)/感度/ホワイトバランス/フォーカスモード/シャッター速度/絞りです。


 リトルリーグのシーズンが今年も開幕した。

 1939年、カール・ストッツが、9歳から12歳の少年でつくられた3チーム編成のリーグを、ペンシルベニア州サウス・ウイリアムスポートに結成したのが、リトルリーグの始まりである。1947年には、その地で第1回目のワールドシリーズが開催された。1964年7月16日、ジョンソン大統領の署名により連邦政府認可の法人となり、現在100カ国以上の国に広まっている非営利団体である。毎年8月に開催されるワールドシリーズは、テレビ放映される大きなイベントになっている。

 現在のリトルリーグは、べースボールだけでなく女子ソフトボールの部門もある。ベースボールは5~18歳の男子と女子を年齢別に分けている。年齢が若い方から、ティーボール、マイナー、リトルまたはメジャーの部門がある。私は12歳までの部門しかないと思っていたが、その上に、13~14歳のジュニア、15~16歳のシニア(14歳も参加できる地区あり)、17~18歳(16歳も参加できる地区あり)の部門がある。そのリーグによって部門の分け方は多少違い、年齢が低い子どもの部門は、その呼び方が違うこともある。一般的には、12歳までをリトルリーグと考えている人が多いようだ。

 しかし、年齢制限やリトルリーグのルールに関して、きちんと把握している人は意外に少ないようである。ゲームを観戦する親達に聞いても、なかなか明確な答えは見つからない。リトルリーグは、ピッチャープレートからホームべース、塁間、外野のフェンスまでは、成人の野球より当然短くなっている。しかし、9歳、10歳の子ども中心のマイナーからは、大リーグと同じボールを使用するし、アンパイヤーも付くので、かなり野球らしいゲームになる。コーチはそのチームの子どもの親がなるのが普通である。


EOS 20D / シグマ 17-70mm F2.8-4.5(25mm) / ISO100 / 昼光色 / One-Shot AF / 1/250秒 / F8
6イニングのゲーム前、「正々堂々とプレイします」と宣誓する。2台のカメラを持って撮影していた私を、このリーグのオフィシャル・フォトグラファーだと思った人も多いはず。子どものゲーム観戦に、スナックは持ってきても、カメラを持ってくる親は意外に少ない
EOS 5D / シグマ 12-24mm F4.5-5.6(13mm) / ISO100 / 昼光色 / MF / 1/125秒 / F9
得点が入り喜ぶジャイアンツのベンチ。ベンチの上から面白い写真を撮ろうと柵をよじ登った瞬間、タイミングよく点が入ってくれたので、ラッキーだった。カメラを持ちながら何かによじ登るのは厄介なことだが、もう慣れてしまった

EOS 20D / EF 70-200mm F4(200mm) / ISO100 / 昼光色 / One-Shot AF / 1/500秒 / F7.1
豪快に高めのボールを振る強打者。子どもたちは高めのボールが大好きで、自分の背より高いボールも振ってしまうことは珍しくない。ストライクゾーンは広めのようだ。フレーミングとピントを決めておき、ピッチャーが投げるのを肉眼で見ながら、シャッターを押した
EOS 20D / EF 70-200mm F4(159mm) / ISO100 / 昼光色 / Al Servo AF / 1/400秒 / F5.6
ホームベースに滑り込む。判定はセーフ。子どもたちは、スライディングが大好きだ。本来は、ホームを狙う状況ではなかったが、どんなプレイが飛び出すかわからない

 昨年ファームだった9歳の息子は、今年マイナーに昇格し、チームはジャイアンツ。息子が所属するリーグは、マイナー、メジャーのソフトボールチームと、ベースボールが5~6歳のティーボール、6~8歳のファーム、9~10歳のマイナー、そして11~12歳のメジャーの構成となっている。

 ジャイアンツのメインコーチは、チームメンバーのコーディーの父親のランディー。彼はメジャーリーグのトライアルを受けたほどのベースボール大好き人間。練習も熱心で、ゲームや練習スケジュールもきちんとメールで知らせてくる。

 ゲームの後には、当番制で親たちが子どもたちにスナックをくばる。ウイークエンドはデーゲームで、ウイークデイは立派なライトに照らされたナイトゲームになる。5チーム編成のマイナーリーグは、3月7日の開幕戦から5月23日の最終日まで、隣のリーグとの交流戦4試合を含め、リーグ優勝を目指し、全20試合が行なわれる。


EOS 5D / EF 70-200mm F4(200mm) / ISO100 / 昼光色 / One-Shot AF / 1/500秒 / F6.3
アンパイヤーは塁審も兼ねる。目がよくないと務まらない仕事だと思う。平凡なサードゴロだったが、サードがもたついてセーフ。
EOS 20D / EF 70-200mm F4(70mm) / ISO100 / 昼光色 / Al Servo AF / 1/125秒 / F8
9歳10歳では、まだまだ勝負という感じではないようだ。カメラを向けるとスター気分

EOS 20D / EF 70-200mm F4(145mm) / ISO100 / 昼光色 / One-Shot AF / 1/500秒 / F7.1
コーチのグレッグと頼もしい応援団。お兄ちゃんが出場しているのだろうか
EOS 20D / EF 70-200mm F4(70mm) / ISO100 / 昼光色 / One-Shot AF / 1/250秒 / F7.1
自分の打順を確認する

 私が近所の友だちと野球を始めた昭和40代初頭の日本では、子どもが暗くなってからライトで野球をできる環境など、とても考えられなかった。見たこともないたくさんの大きなライトに照らされたナイターの巨人戦を、いつか観戦したいと夢見ていた時代だった。皆、軟式のボールがツルツルになるまで使っていたし、もし新しいグローブを買ってもらったら、それこそ一生ものだった。毎日宝物のようにグローブを磨き、枕元に置いて寝た子も多かったと思う。

 私が小学5年生だったある日曜日に、数人の友だちとデコボコのグランドで野球をしていたら、クラスメイトの渡辺君がスパイクを持って来たことがあった。そのスパイクは明らかに誰かのお古とすぐわかった。なぜなら、彼は左利きなのにそのスパイクは右利き用だったからだ。右利き用には、右足の内側にカバーがある。それにかなり痛んでいたのを今でもはっきり覚えている。そして彼のグローブもまた右利き用だった。

 その当時、左利きの子どもが、右利きのグローブを器用に使うのは、珍しいことではなく、誰かのお古を使うことは当たり前の時代だった。渡辺君は嬉しいけれど、照れくさいのか、そのスパイクをなかなか履こうとはしなかった。私たちの仲間ではじめてスパイクを履いた彼は、嬉しさと照れくさで、その日は野球どころではなかったようだ。


EOS 5D / シグマ 12-24mm F4.5-5.6(12mm) / ISO100 / 昼光色 / MF / 1/125秒 / F13
ゲームセットの後、対戦相手チームと握手。ジャイアンツは2連敗
EOS 5D / シグマ 12-24mm F4.5-5.6(12mm) / ISO100 / 昼光色 / MF / 1/80秒 / F8
バックネット裏にあるスナック売り場。ホットドック、ハンバーガー、フレンチフライ、ナチョス、チップス、アイスクリーム、ソーダがあり、メニューは大リーグの球場に負けない。家族のボランティアで営業しているから、少し時間がかかるけど

EOS 5D / Lense/ Sigma 24-70mm F2.8(24mm) / ISO100 / AWB / One-Shot AF / 1/125秒 / F6.3
ゲーム後、スナックを食べる。今日はバックネット裏にあるスナックバーのホッドドックとレモネード。これが1番安上がりと、親の間では人気
EOS 20D / EF 70-200mm F4(113mm) / ISO100 / AWB / One-Shot AF / 1/160秒 / F5.6
少しまがっているけど3塁線にラインを引く。この仕事も家族のボランティア。アンパイヤーはプロを雇う

 そんな私の子ども時代からは想像もつかない環境で、今のアメリカの子どもは野球をしている。上から下までプロと変わらないユニフォームを着て、キャッチャーのフル装備のプロテクター、ヘルメット、スパイク、バッティング用のグローブ、手、足、腰へのサポーター、たくさんの色と形が選択できるグローブにバット。それに、最新のアイディアによって開発された練習道具が多数ある。ピッチングマシーンを持っている子どもも珍しくない。

 日曜版の新聞では、スポーツ用品店のたくさんの宣伝広告が、購買欲をあおる。子どもの体格に合った道具を選ぶのも、親の仕事のひとつである。ベースボール開幕シーズンの週末は、そんな親心を知ってか、いつもより朝早くオープンするスポーツ用品店もある。子どもにとって各種のスポーツが気軽にできるスポーツ天国のアメリカの親達は、子どもの練習と試合の送り迎え、試合観戦、スポーツ道具の調達に大忙しなのである。


EOS 5D / シグマ 12-24mm F4.5-5.6(12mm) / ISO500 / AWB / MF / 1/80秒 / F5.6
ジャイアンツの今期3戦目は、隣のリーグとの交流戦で外野フェンスが常設されている球場でのナイトゲーム。2回に入り、陽が落ちて、ナイトゲームらしくなった
EOS 5D / シグマ 12-24mm F4.5-5.6(12mm) / ISO800 / AWB / MF / 1/80秒 / F4.5
赤ちゃんも駆けつけ「レッツ・ゴー・ジャイアンツ、レッツ・ゴー」、「カモーン、ショーン」と、家族総出で応援。リトルリーグはアメリカ社会に欠かせない顔の一部である

EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8(70mm) / ISO800 / AWB / / One-Shot AF / 1/125秒 / F4.5
対戦相手チームのマーリンズの三遊間は女の子
EOS 5D / シグマ 24-70mm F2.8(26mm) / ISO800 / AWB / One-Shot AF / 1/100秒 / F4.0
開幕3連敗を逃れ、今期初勝利を喜ぶコーチのランディーとジャイアンツのメンバー

EOS 20D / シグマ 17-70mm F2.8-4.5(48mm) / ISO100 / AWB / One-Shot AF / 1/125 / F14
大リーグと同じサイズのボールを9歳児が握るとこんな感じ
EOS 20D / シグマ 17-70mm F2.8-4.5(70mm) / ISO100 / AWB / One-Shot AF / 1/500 / F5.6
ピッチャープレートとボール。昨年夏、シーズンが終わり、誰もいないグラウンドで撮った1枚。出番のないボールが、なんとなく寂しげに見える


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2007/04/11 01:29
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