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ナイトファッション撮影
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写真1
F5 / 1/25秒 / ISO400 / 48mm
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一部の地域を除いてほとんど人が住んではいないロサンゼルスのダウンタウンは、昼間と夜は全く違った顔を見せる典型的なオフィス街である。普通、残業をしないアメリカのオフィス街は、夜8時になると誰もいなくなるのである。それに日中でも場所によっては行きたくないところが多いダウンタウンである。夜、ひとりででぶらぶら歩けるスポットは限りなく少ない。そんな大都会であるロサンゼルスのダウンタウンで、夜にファッション撮影をした。
モデルとメイクと午後5時ごろに、ダウンタウンにある中級ホテルで待ち合わせた。ダウンタウンのホテルのパーキング代は恐ろしく高いので、ホテルの前の野外パーキングに駐車したかった。しかし、治安の悪いダウンタウンの野外パーキングで、高価なブーツ等を車内に残すことは心配だし、そこから一旦ホテルに持ち込むのも大変なので、仕方なくホテルに駐車した。東京やニューヨークでは感じないだろうが、ロサンゼルスに住んでいるとパーキング代を払うのが馬鹿らしく思えるのだ。それから僕は日本に帰国するたび、高速道路の料金所で、お金を盗まれている感じがしている。アメリカでは一部の橋やトンネルを除いて、基本的にフリーウェイはタダである。そんなことを思う僕は、アメリカボケなのであろうか。
さて、そのホテルでメイクをして、7時を少し過ぎたころホテルを出た。外はだいぶ暗くなっていた。撮影場所をまず決めるため、車でダウンタウンをドライブする。僕は前もって撮影場所を決めてはいなかった。その時の気分で偶然目にしたスポットで撮影しようと決めていた。僕は、誰もいない少し危険な雰囲気を探していた。そこから感じられる緊張感のようなものを求めていた。きれいな公園や自然の中で得られる、平和的な感じと違うものを。こんな緊張感を求める僕は、生活に緊張感がないからであろうか。それとも最近の流行に流されているのだろうか。僕は世界情勢を考えると、自分のモチベーションを疑問に思うことがある。
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写真2
撮影場所にしたパーキング場、メイク中
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30分ほどのドライブの後、誰もいない広いパーキング場を見つけた(写真1、2、3)。周りは取壊し中のビルや落書きもあり、求めていた雰囲気にぴったりだ。もう完全に夜になっていた。僕らを守るように車を止めて、まずライティングをつくる。400Wまで出せるポータブルのストロボにソフトバンクを付け、スタンドに乗っけていると、どこからか変な叫び声が聞こえて来たり、変な袋を提げた怪しい人が歩いているのが見える。まともな人は今の時間、絶対にここにはいないと思う。そこに1台のトラックが止まる。ビラをビルの壁にものすごい速さで貼っていく。5分もしないうちにいなくなった。
※使用したカメラはキヤノン EOS 20D、レンズはシグマ 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO。ISO400以上で撮影した画像は、撮影後にノイズを軽減した。
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写真3
撮影のセット、ライトはひとつ
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写真4
休憩中のモデルとメイクの道具
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撮影は夜景がバックグランドになる時は、潰れないようISO400にして、三脚を立てて、カメラは固定せずただそこに置いて、スローシャッターで撮影した(写真1、5、6)。
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写真5
F5 / 1/25秒 / ISO400 / 48mm
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写真6
F5 / 1/20秒 / ISO400 / 33mm
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周りの光を潰してストロボ光のみでも撮影した(写真7、8、9)。
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写真7
F5.6 / 1/80秒 / ISO100 / 57mm
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写真8
F7.1 / 1/80秒 / ISO100 / 53mm
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写真9
ライトが当たらない右奥は、完全に影に
F5 / 1/100秒 / ISO100 / 53mm
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写真10
写真9の撮影現場
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そしてこの危険な雰囲気にも飽きて、少しきれいな場所を求めてまたドライブした。ある美術館の玄関にいい感じの階段を見つけた。そこで撮影(写真11、12)。
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写真11
ライトはモデルの頭の後方から。レフなし
F8 / 1/100秒 / ISO100 / 30mm
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写真12
ライトはカメラマンの左横から。レフなし
F8 / 1/100秒 / ISO100 / 23mm
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写真13
F3.5 / 1/40秒 / ISO3200 / 25mm
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暗くてピントが合わず、ペンライトを当てていたら、いい感じだったので感度を上げて手持ちブレ覚悟で2枚撮ってみたら、さほどブレなかった(写真13)。
このカットが最後で、時計を見たらもう11時を過ぎていた。お腹が減っていた僕らは、この時間でも開いているリトル東京にあるラーメン屋に飛び込んだ。モデルが長い指を持てあましながら、なんとか箸を使ってラーメンを食べていたシーンが、今日のベストショットだったかもしれない。
■ URL
バックナンバー
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/
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押本 龍一 (おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。
http://oshimoto.net |
2006/10/25 01:41
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