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モノ・レイク(前編)
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雪が降った5月のセコイア
[2008/06/25]

5月、霧のキングス・キャニオン
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サンタ・クルーズ島へ日帰りの旅
[2008/05/21]

春のデスバレー(後半)
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春のデスバレー(前半)
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[2008/04/09]

モハヴェ砂漠の冬(後半)
[2008/03/26]

モハヴェ砂漠の冬(前半)
[2008/03/12]

砂漠のルート66
[2008/02/27]

サークル・Xランチ、サンタモニカ・マウンテンズ
[2008/02/14]

冬のカーピンテリア
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12月のニューヨーク(後半)
[2008/01/16]


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紫色の花がきれいなジャカランダを撮る


写真5
F8 / 1/160秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(23mm)
4500K / +1
 南カリフォルニアでは5月の中旬から6月下旬まで、紫色のジャカランダの花が満開になる。車で5分も走ればどこかで見かけることができるほど、LAではこの木は多い。ネットで調べてみると、南アフリカ、カリブ海、メキシコ、中央アメリカ、南アメリカ、ブラジル、オーストラリアに多く、アメリカでは、アリゾナ州フェニクス、南カリフォルニアでよく見られるとあった。

 我が家のフロントヤードにも立派なジャカランダの木がある。年のうち1カ月間しか見られない花である。今の家に移って4年目の春、我が家のジャカランダの花を初めて撮ってみた(写真1、2)。きれいだなと思いつつも、そのうちにと思いながら、また来年があると思い、今までまともに写真を撮らずにいたのだ。我ながらカメラマンとして、何とも怠慢な話である。先日、近所の人が写真を撮らせて欲しいと尋ねて来たぐらい、なかなかいい姿をしている木なのである。

※写真下のデータは1段目が絞り/シャッター速度/レンズ(焦点距離)。2段目がRAW現像時のホワイトバランス(色温度)/露出補正値です。


写真1
F11 / 1/125秒 / SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG Aspherical HSM(12mm)
5200K / -0.2
午後3時頃
写真2
F6.3 / 1/125秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(25mm)
AWBのまま / +0.1
西に太陽が傾いてきたころ。

 掲載した写真はすべてEOS 20D/AWB/ISO100で撮影。RAWで撮影してから、微妙な紫色を好みの色にするために色温度、露出を調整し、JPEGに変換した。

 僕としては勝手に撮ってもらってもよかったのだが、アメリカでは人や個人の所有物にレンズを向けることに神経を使う。日頃から自由とプライバシーを侵害することに敏感なアメリカだ。下町育ちの僕には何か寂しい気もするアメリカの一面である。「自分が子どもの頃は、近所の子どもたちはノックもせずに勝手に隣の家に出入りして遊んでいたけど、最近はそういうことがないな」と、60歳代前半の隣人のおじさんが昔を懐かしむように言っていたのを思い出した。「最近の日本もそうだよ」と、その時僕は彼に言った。


写真3
F6.3 / 1/250秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(40mm)
4300K / +0.4
 さて、1本の木を撮ると言っても、撮り方はいろいろあると思う。まず花のアップから撮ってみた(写真3)。人物でも、引きからかアップからか、どちらを先に撮り始めるか決めると思う。僕の場合、以前は引きから撮り始め、だんだん迫る撮り方だったが、最近はアップから入ること多い。だんだん引いて、また必要なら迫る。先に近くで見てしまって、撮ったほうが、その後被写体に親密感が持てるような気がしているからだ。

 花のアップは、レフやストロボで影を起こしてもいいけど、下手に使うとせっかくの花の持っている雰囲気が壊れるから、そのまま撮った。その後、木を下から見上げて、カリフォルニアの青い空をバックに撮る(写真4、5、6)。少し木の中に入り撮る(写真7、8)。西に傾いた太陽光で、逆光気味で撮る(写真9、10)。


写真4
F9 / 1/100秒 / SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG Aspherical HSM(12mm)
4300K / +0.7
写真6
F8 / 1/160秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(62mm)
4500K / +0.3

写真7
F8 / 1/250秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(17mm)
5000K / +0.2
写真8
F9 / 1/160秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(17mm)
5000K / +0.5

写真9
F5.6 / 1/200秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(70mm)
4400K / 0
写真10
F8 / 1/125秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(70mm)
3900K / +0.7

 隣人のアメリカの国旗が風でいい感じになったところを撮る(写真11)。アメリカ人は国旗が好きで、こうして1年中、国旗を掲げている人が多い。暮れ行く夕陽で撮る(写真12)。ジャタランダの紫色の花は、太陽光が当たっている時、日陰、夕陽で、微妙に色を変える。この花は、咲いてはすぐ落ち、また新しい花が咲く。


写真11
F8 / 1/160秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(23mm)
4500K / +1
写真12
F4.5 / 1/100秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(70mm)
4000K / 0
日没近い太陽光で撮影

 この時期のジャカランダの木の下は、花だらけになる。我が家の庭も落ちた花だらけ(写真13、14、15、16)。だから、この木の下に駐車すると、落ちてくる花で、フロントガラスが覆われる。花を踏んでしまうと、靴の底に花が付着し、歩く所々に押し花状態の花になり、掃除が大変だ。

 この日の夜は、満月だった。小型ストロボを使用し、カメラを三脚にのせ、撮影(写真17)。満月は意外に明るいので、せっかくの満月の黄色が露出オーバーで、飛ばないように気を付けた。


写真13
F5.6 / 1/50秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(17mm)
4200K / 0
夕陽で撮影
写真14
F5.6 / 1/50秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(70mm)
4200K / 0

写真15
F5.6 / 1/250秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(70mm)
4700K / +0.4
太陽が出ないと、色が変わる。芝生に寝そべって撮影
写真16
F6.3 / 1/100秒 / SIGMA 17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO(70mm)
5200K / 0

写真17
F16 / 1/60秒 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC(112mm)
5200K / +1.7
写真18
F16 / 1/160秒 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC(200mm)
5200K / +1.7


URL
  バックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dialy_backnumber/



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/08/23 03:39
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