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モノ・レイク(後編)
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雪が降った5月のセコイア
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サンタ・クルーズ島へ日帰りの旅
[2008/05/21]

春のデスバレー(後半)
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ヨガポーズを撮る


F11 / 1/200秒 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG Macro(39mm)
小型ストロボを正面から使用
 最近、ヨガを習う人は、日本でも年々増えていると聞く。僕が子どものころは、ヨガは日常生活からかけ離れた何か不思議な世界で、インドの人が宙に浮いているイメージしかなかった。しかし、ここLAでは8歳になる息子の小学校でも、放課後にヨガのクラスが週1回ある。本屋では、ヨガ専門の雑誌も何冊か見かける。アメリカ、特にカリフォルニアでは、ヨガはひとつの文化に定着しつつあると思う。

 僕はヨガのことはよく知らないが、知人の誘いで数年前にパワーヨガと呼ばれるクラスを受けたことがある。動きも速く、また休みなく次のポーズに移るハードなクラスで、気持ちが悪くなった経験がある。それ以来、僕は、ヨガに触れることはなかった。そんな僕が、ヨガのポーズを撮影することになった。

 ヨガの知識がない僕は、一応その筋の本を見て研究した。しかし素人の僕には、ハードルが高そうなポーズばかり。だから、へたに具体的なポーズのイメージはしないことにした。バックとなる風景探しが、僕の一番の仕事。次が補助光のレフと、ストロボの当て方。後はインストラクターの好みのポーズに従い、撮ることにした。

 LAから100マイル北に、Ojaiというスパで有名なリゾート地がある。そこには最近流行の「リトリートセンター」と呼ばれる、日本で言うところの湯治場と保養所のようなところが、いくつかある。オーガニックフードを食べ、各種のマッサージをして、ヨガのクラスを受けて、心と体をリフレッシュする。そんなリトリートセンターのひとつで、初心者向けにヨガを教えているインストラクターを撮影した。

 僕としては、見るからにヨガの先生という人に本格的なポーズをしてもらい、服は暗めで渋い感じにして、ドラマチックなライティングで撮影したかった。しかし、初心者向けなので難しいポーズでなく、どちらかと言えばストレッチとヨガの組み合わせのような、比較的楽なポーズを撮影することになった。

 ライティングもOjaiのきれいな自然の中で、自然光を中心に、レフかストロボを補助光に加えた程度の、シンプルで明るめな設定。モデルになったインストラクターは、可愛い若い女性で、服も赤と派手なものになった。

※すべてキヤノンEOS 20D、RAWデータで撮影。現像パラメーターは、すべてスタンダード。後処理なしで、JPEGに変換。感度はISO100、ホワイトバランスは昼光色、AFモードは ONE SHOT。


F5.6 / 1/125秒 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG Macro(528mm)
渡り廊下のようなスポットで撮影。ゴールドレフを正面から使用
F4.5 / 1/125秒 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG Macro(45mm)
左の写真と同じスポット。レフから離れたぶん、左の写真よりアンダーになった

F5.6 / 1/80秒 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG Macro(52mm)
F10 / 1/160秒 / SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 EX DG Aspherical HSM(15mm)
ゴールドレフを使用。遠くに山々が見えるオーハイバレーをバックに撮影。晴れた日の夕方は、夕焼けでピンク色に染まることから、ピンクバレー(ピンクの盆地)と呼ばれていると、インストラクターの女性から教えてもらった

 あまり厳しい表情や苦しそうなポーズは避け、自然と一体になっていて、幸せを感じながら楽しそうにヨガをするイメージ。写真を見た人が、ここに来てヨガのクラスを受けたくなるような写真だ。求められているイメージに合わせて撮ることは、仕事ではよくある普通のこと。撮影現場では、写真のことをよく知らない人のアイデアを受け入れながら、撮影することがよくある。写真を知らないから、カメラに縛られない見方ができ、なかなかいいアイデアが出ることが多い。時々、撮影不可能なアイデアを出す人もいるけど。

 今回の撮影は、バックになる風景が非常に大事。写真を見た人が、きれいないい所だと、思って欲しいし、インストラクターもその風景にうまく溶け込んでほしい。

 僕は、そんな撮影スポットを最初にいくつか決めた。そして各撮影スポットで、インストラクターにいくつかのポーズを次々にしてもらい、そのバックの風景にあったポーズを選んで撮影した。ヨガか単なるストレッチかわからないポーズも中にはあるが、あくまでもイメージ写真つくりなので、これでよしとなった。


F10 / 1/160秒 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG Macro(30mm)
ゴールドレフを使用
F8 / 1/160秒 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG Macro(30mm)
ゴールドレフを使用

F9 1/160秒SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO(52mm)
ゴールドレフを使用
シンプルな撮影セッティング穏やかな風もない日で、こんな抑え方でもレフが飛ばされず、撮影できた



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/06/28 01:25
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