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モノ・レイク(前編)
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雪が降った5月のセコイア
[2008/06/25]

5月、霧のキングス・キャニオン
[2008/06/11]

サンタ・クルーズ島へ日帰りの旅
[2008/05/21]

春のデスバレー(後半)
[2008/05/07]

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パソ・ロブレスの冬
[2008/04/09]

モハヴェ砂漠の冬(後半)
[2008/03/26]

モハヴェ砂漠の冬(前半)
[2008/03/12]

砂漠のルート66
[2008/02/27]

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[2008/02/14]

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[2008/01/30]

12月のニューヨーク(後半)
[2008/01/16]


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リトルリーグ観戦


NORTH REDONDO LITTLE LEAGUE FARM YANKEES。シーズン前、チームごとに記念写真を撮り、紙のつい立に入れてくれる
 アメリカの子どもたちは、放課後のスポーツ活動に忙しい。体育のクラスがないし、10年後は、50%の子どもが肥満児になると言われているから、親が熱心に子どもにスポーツをさせているのかもしれない。車社会のアメリカでは、親は運転手として子どもが成長するまで付き添う。子どものスポーツ活動に付き添う親たちの中には、ビデオや写真撮影を熱心にする人もいるが、日本の運動会のように、長い望遠レンズを持ち出してまでの本格的なカメラマンは、あまり見かけない。

 我が家でも8歳になる息子が、今年からリトルリーグで野球を始めた。市によって違うが、大抵は年齢別に3から4クラスに構成されている。息子が入った8歳までの子どもは「ファーム」というクラスで、大人がピッチャーをして、ストライクも三振もなく、打てるまで打たせる。アウトもなかなか取れないから、打者一巡させて、相手チームにチェンジして、勝ち負けはない。ボールも見た目は硬式球のようだが、中身はソフトな球を使用している。その上の11歳までの子どものマイナーになると、球も硬式になり、正式な野球のルールに近いゲームをする。

 息子が始めたレドンドビーチ市のリトルリーグは週2回試合があり、週末以外はナイターになる。僕が子どものころは、日本では野球が遊びの中心だったから、暗くなるまでやって、日没でゲームセットだった。それに比べて、アメリカの子ども達のスポーツ環境は恵まれている。


F2.8 / 1/80 / ISO800 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離24mm
ナイトゲームがスタート
F2.8 / 1/60 / ISO800 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離52mm
西の空は、太陽が沈んで夕焼けに

F2.8 / 1/50 / ISO1600 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離39mm
バックネット裏から
F2.8 / 1/30 / ISO1600 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離24mm
3月のLAの夜はまだ寒く、観戦も大変

 それにしても、こんないい環境で野球を始められるアメリカが、ワールドクラシックベースボールで準決勝にも進めず、敗退したのには驚いたが、今のメジャーリーグは外国人も多いし、アメリカ人は、意外に諦めが早いから、あり得ることだと思った。子どもたちに野球を教えているアメリカ人のお父さん達は、やはり野球が好きだから、アメリカが負けた話も出ていて、少しは残念そうだったが、個人主義のアメリカ人は、自分の子どものチームの方が大事なようだった。

 しかし、日本人の僕にとっては、重要な出来事だった。僕が小学1年生から中学3年生までの9年間の義務教育の間、巨人が9連覇し、僕らの年代にとって巨人軍、特にONは野球少年にとってヒーローだった。そのONの1人、王監督が率いる日本が今大会の舞台のカリフォルニアに来たので、ただの日本チームではない、何か特別な思いが沸いていた。

 リトルリーグの写真を撮った土曜日の夜、大きなテレビがあるアメリカ人のジェリーさん宅に食事を招待され、日本と韓国の試合をテレビ観戦した。この日の夜はもうすでにアメリカは敗退して、アメリカ人の彼には関係ないゲームだった。だから、僕は彼の手前、食事と世間話をしながら、淡々とテレビ観戦をしていた振りをしていたが、実はもっと日本の勝利に浸りたかった。


F2.8 / 1/60 / ISO1600 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離70mm
打順を待つ子どもたち。暗くても雰囲気が壊れるから、ストロボは使わなかった
F2.8 / 1/50 / ISO1600 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離56mm
レンズは開放でバックがボケ、スローシャッターで一塁に走るバッターとバットがブレ、おもしろい写真になった

F2.8 / 1/60 / ISO1600 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離34mm
次の打順を待つ子
F2.8 / 1/60 / ISO800 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離70mm
まだまだゲームに集中できない年齢。ベースボールキャップは、顔に影ができて撮りにくいが、ちょうど後ろに回したので、すばやく撮影した

ファームで使用するボールとシグマの55-200mmレンズ
 そんな日本チームが決勝でキューバにも勝った夜も、小雨にも負けず、リトルリーグのゲームがあった。日本チームの優勝は素直に嬉しいし、王貞治という少年時代のヒーローが、ここアメリカで、自分の中で生き返った気がした。息子がリトルリーグで野球を始めたこの時期に、ワールドクラシックベースボールがカリフォルニアで開催され、いろいろなことを考えされられたが、ファームの子どもたちにとっては、ゲーム後のおやつが一番の関心ごとのようだ。

 カメラはいつものキヤノン EOS 20D。記録画質はラージファィン。デーゲームもナイトゲームも、ホワイトバランスはデイライト。レンズは、ナイトゲームはシグマの24-70mm F2.8 EX DG MACRO。この夜の息子たちのチームのゲームは、あまりライトが当たらないスポットで暗く、F2.8の開放で撮影した。レンズのボケで、ナイトゲームらしさを感じる写真になったと思う。

 昼のゲームでは、やはりシグマの55-200mm F4-5.6 DCを主に使用した。このレンズは口径も55mmとコンパクトで、周囲にも目立たなくさりげなく撮れるから、父兄として撮るこういう状況ではいい。大げさにしたくない子どもの運動会などには、最適なレンズだ。APS-Cサイズのカメラは、コンパクトなレンズが使用できるのがいい。カメラバックは軽い方が、写真が楽しい。


F9 / 1/200 / ISO100 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離59mm
ここから昼のゲーム。試合の挨拶と記念写真。「我々は正々堂々と戦います」と宣誓している
F8 / 1/320 / ISO100 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離200mm
まだまだ遊び感覚で、笑顔で一塁に走る。ピントはAI SERVO任せ

F5.6 / 1/200 / ISO100 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離62mm
この年齢の子どもでも塁上はシャッターチャンス。1塁ベースに、手動でピントを合わせておき、ランナーが来るのを待った
F8 / 1/200 / ISO100 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離94mm
空振りも多い

F6.3 / 1/160 / ISO100 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離67mm
アウトはなかなか取れないけど、今回は行けそう
F6.3 / 1/160 / ISO100 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離200mm
走塁を教える。後ろからはお母さんが撮影

F6.3 / 1/200 / ISO200 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離112mm
サードの後ろでカメラを構えていたら、うまくサードゴロを打ってくれた
F6.3 1/200 / ISO200 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離112mm
2塁からのランナーと3塁ベース上でクロスプレー。ONE SHOT AFで撮影。この年齢の子どもたちのプレーはまだ速くないから、ピント合わせもさほど難しくない

F7.1 / 1/250 / ISO200 / SIGMA 55-200mm F4-5.6 DC / 焦点距離200mm
なかなか当たらないから、空振りシーンばかりに。APS-Cサイズで200mmは、かなりの望遠感覚
F5.6 / 1/250 / ISO200 / SIGMA 24-70mm F2.8 EX DG MACRO / 焦点距離70mm
アウトと思いきや、落球



押本 龍一
(おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。 http://oshimoto.net

2006/04/26 02:12
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