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絵画風女性ポートレートを撮影
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クロップ前の作品
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作品撮りのため、エチオピア女性のポートレートを撮影した。
暗めの絵画的な写真にしたいと考えたのは、最近Getty Centerに絵画を鑑賞しに行ったことに大きく影響されたのだと思う。展示されている絵はLAの青い空と対照的な、写真で言うと1段ぐらい露出アンダー気味の暗い絵画が印象として残ったのだ。
今回のような撮影は、フィルムなら中型カメラのハッセル、または4×5で撮りたくなるところだが、デジカメWatchに原稿を書かないかとのお誘いもあり、キヤノン EOS 20Dで撮影してみた。
僕は35mm判カメラの手持ちより、三脚を立てる大判で撮影する方が好きで、1984年にニューヨークに行き、広告写真撮影スタジオで働き始めた頃、初めて触れた8×10の大型カメラの感動がまだ忘れられないでいる。35mm判は機動性に優れているが、その分、急いで撮ってしまう傾向があり、撮らされてしまう気がしている。要するに自分のペースで撮影するのが好きなのだ。それに大判は、今から写真を撮るぞって感じがいい。しかし仕事になると予算の問題もあるし、35mm判でしかできない撮影もある。
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キヤノン EOS 20D
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35mm判はボディもレンズもひと揃い持っているが、まだキヤノンF1だから、FDレンズでオートフォーカスもなし。こんなマイペースで世の中の最新の事柄に疎い僕だから、デジタルカメラへのデビューも遅かったが、20Dの価格と、プロユースにも耐える画質との評判に押され、さすがの僕も一眼レフデジタルカメラ1号機として、20Dをシグマの24-70mm F2.8 EX DG MACROとともに、今年の5月に購入したのだ。今回の寄稿を機にデジタルカメラをどこまで自分の道具にできるか、実は密かに自分に期待をかけている。
今回のモデルになった女性の顔は、きれいなラインを描いている頬、こじんまりと収まった顎、大きな目、美しい鼻筋、メイクアップスクールで口紅を塗る練習によさそうな整った唇が魅力。決して背は高くなく、きゃしゃな感じの彼女は首筋から肩にかけてのラインがとても美しく、胸は程よく膨らんでいて、女性として必要なところにしか肉が付いていない感じ。日頃、大柄で太めなアメリカ人と接している僕にとって、小柄なエチオピア人の彼女がとても新鮮に映り、人間本来の美しい体を見た気がした。ちなみにアメリカに住む年数が長いほど体重が増すらしく、日本人でもアメリカで生まれた人は確かに太い。
撮影手法は、絵画的な感じを出すため、額縁を用意してモデルの前に置いた。よくある手法だが、最初に頭に浮かんだ直感を信じて使用した。バックは彼女の肌に合わせ茶色にするつもりでいたが、中途半端な影が出たら面倒になると判断し、黒のベルベットにしてモデルを黒の世界に溶け込ませることに。
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撮影前のセット、左前方から
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右前方から。座っているのは、筆者
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右後方から
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メイクのタッチアップ中
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衣装はセクシーさを表現するために、肌の色と合わせた茶色の透けた布をモデルに巻きつけた。布の透け具合は、思った通りに出てくれた。
メイクは、モデルの個性が変わらない程度とリクエストしたので、目の下のシャドーやアクセントの金も抑え目だが、肉眼で見たより出ていない。写真にすると思ったほどメイクの効果が出ないことがある。それはデジタルカメラの特性なのかどうかはわからない。
ライティングは、モデルに向けてソフトボックスを付けた1灯で、最初は、画家レンブラントの光をイメージした(写真1)。次に、ライトをサイドに移動させて影を強くした(写真2)。最後にライトを高くして後ろにも移動させた(写真3)。
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写真1
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写真2
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写真3
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モデルにかからないように額縁に1灯、ライトを当てている。今回のデジタルカメラ撮影でいちばん興味があったのはシャドーの階調。当初考えていたより自然な感じに出ている。額の部分のハイライトは想像以上に強く出た。フィルムならもう少し抑えられたかもしれないが、フィルムで撮影していないので無責任な事は言えない。もう少し柔らかいライティングになるよう工夫してもよかったかもしれない。
今回の撮影で、シャドーの階調は思っていたより自然だが、額のハイライトが強く、メイクがあまり目立たず、フイルムでも撮影して比べるべきだったと反省した。
露出はマニュアル設定で、絞りF11、シャッタースピード1/100秒、感度はISO100。記録画質はRAWで撮影。露出も色もそのままで、Photoshopで額縁のライトの反射を少し焼きこんだ。基本的に絵を変えてしまう作業はしない。ホワイトバランスはストロボ。ソフトボックスを使用しているためイエローがかかったが、これは計算の内。露出はメーターで出た目より意図的に半絞りアンダーで撮影開始した。
この状況は何が適正露出か簡単に決められず、撮影者の好みで露出が変わる例だと思う。20Dの液晶をひとつ暗めに設定して、露出を確認した。真ん中に設定すると液晶が明るすぎ、上がりがアンダーになるようだ。ピントは三脚にカメラを設置しているので、手動で合わせた。
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押本 龍一 (おしもとりゅういち)東京品川生まれ。英語習得目的のため2年間の予定で1982年に渡米する。1984年、ニューヨークで広告写真に出会い、予定変更。大手クライアントを持つコマ―シャルスタジオで働き始める。1988年にPhotographerで永住権取得。1991年よりフリー、1995年LAに移動。現在はLAを拠点にショービジネス関係の撮影が主。日本からの仕事も開拓中。
http://oshimoto.net |
2005/12/15 00:00
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