最新「単焦点28mm相当」を比較する

〜GXR、GF2、DP1xで撮り比べ
Reported by 大浦タケシ

 昨年後半の話題とはなるが、いくつかのメーカーから28mm相当の単焦点レンズや同レンズを搭載したカメラのリリースが続いた。1つがリコーGXR用のカメラユニット「GR LENS A12 28mm F2.5」、2つ目がパナソニックのマイクロフォーサーズ用単焦点レンズ「LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.」、3つ目となるのがシグマ「DP1x」である。いずれも個性的で、カメラ好きの興味を引くものばかりだ。そこで今回は、カメラ本体側も含めそれらの画質、使い勝手などを比較してみたいと思う。

左からシグマDP1x、パナソニックLUMIX DMC-GF2、リコーGXR。DMC-GF2にはLUMIX G 14mm F2.5 ASPH.を装着して撮影した

 なお、LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.は最新のLUMIX DMC-GF2と組み合わせて撮影した。また、比較作例はいずれもRAWフォーマットで撮影している。現像はGR LENS A12 28mm F2.5がAdobe PhotoShop CS5、DMC-GF2がSILKYPIX Developer Studio 3.1 SE、DP1xがSIGMA Photo Pro4.2で行なった。調整などの設定は一切いじらず、デフォルトの設定でJPEGフォーマットに変換している。


3機種3様の「28mm相当」

 まずは何はともあれ、レンズのスペックを見てみよう。GR LENS A12 28mm F2.5は、GR LENS A12 50mm F2.5 MACROに続くAPS-CフォーマットのCMOSセンサーを搭載するカメラユニット第2弾となるものである。実際の焦点距離は18.3mm。非球面レンズ2枚を含む6群9枚の構成を採用する。レンズ先端から約20cmまで寄ることを可能としている。

GXRボディに装着したGR LENS A12 28mm F2.5。実焦点距離は18.3mmで、レンズ構成は非球面レンズ2枚を含む6群9枚となる

 LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.は、LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.と瓜二つのパンケーキタイプのレンズだ。たいへん軽量で、レンズ単体の質量はわずか55g。その鏡筒のなかに、非球面レンズ3枚を含む5群6枚のレンズが組み込まれる。最短撮影距離は18cmなので、ぐっと被写体に寄り広角レンズらしい遠近感を活かした撮影も得意とする。

質量はわずか55g のLUMIX G 14mm F2.5 ASPH.。最短撮影距離は今回のレンズなかでもっとも短く18cmを実現する。レンズ構成は5群6枚

 DP1xに搭載されるSIGMA LENS 16.6mmF4は、グラスモールド非球面レンズ1枚を含む5群6枚のレンズ構成を採用。一般的なコンパクトモデル同様、レンズは電源を入れると前方に繰り出すタイプものものだ。最短撮影距離は約30cm。他の2モデルにくらべ近接撮影能力は劣るものの、別売ながらクローズアップレンズが用意されているのは心強い。

DP1xに搭載されるSIGMA LENS 16.6mm F4。電源ONで鏡筒が繰り出すタイプを採用。フィルターの装着は、フードアダプターを介して行なう

AFレスポンスなどに違いが

 続いてカメラ部のスペックを操作感とともに見てみよう。まず、GR LENS A12 28mm F2.5は、有効画素数は約1,230万のCMOSセンサーを搭載。ベース感度はISO200、最高感度はISO3200となる。動画機能では1,280×720のHD(AVI)での撮影を可能とする。GXR本体は今回ピックアップしたなかでもっとも大きいボディを持つが、それゆえグリップもしっかりと握れる形状と大きさで、ホールディングした印象はたいへんよい。GR LENS A12 28mm F2.5との重量的なバランスもよく、スナップカメラに相応しい仕上がりだ。コンパクトなボディとすることに異論を唱えるつもりはないが、しっかりと持てる大きさはやはり捨て難く思える。

 気になるのはGR LENS A12 28mm F2.5のAFスピードだろう。先に発売されている同じAPS-CサイズのGR LENS A12 50mm F2.5 MACROは、描写そのものよりも何かとAFスピードに注目が集まったからだ。しかし、本レンズはさすがに改善されていようだ。もちろんデジタル一眼レフカメラのような速さは期待できないが、メディアへの書き込み速度なども含め、さほどストレスらしいストレスもなく撮影が楽しめる。

今回のカメラのなかではもっとも大きいボディサイズのGXR。グリップもしっかりとしたつくりで確実にホールディングできる3型の液晶モニターを採用。表示文字は小さく、老眼のユーザーはちょっと辛い。ボタン類は必要最小限といった感じ
カメラユニットごとレンズを交換するのはGXR最大の特長。現在、GR LENS A12 28mm F2.5を含め4つのカメラユニットがライナップされるGXRはコマンドダイヤルをグリップ上に置く。ミドルクラス以上のデジタル一眼レフと操作感が変わらず、たいへん使いやすく感じる
液晶ビューファインダー「VF-2」用の端子を備える。ファインダーを覗いて撮影したいユーザーにうれしい配慮だ

 LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.で使用したDMC-GF2は、マイクロフォーサーズ機のなかでも一際コンパクトに仕上がったカメラだ。同レンズとの組み合わせなら、質量はわずか320g。レンズ交換のできるカメラとしてはたいへん軽量で、ウエアラブルなカメラといえる。ただ、ボディのコンパクト化に伴って、先代DMC-GF1ではカメラ上部にあった撮影モードダイヤルが行き場を無くし、廃止されているのは残念なところ。しかしながら、タッチ式の液晶モニターにより、文字通りワンタッチで撮影モード選択画面が表示、選択が可能であるため、操作感の著しい低下のようなものはそれほど感じない。むしろ、パナソニック独自といえる押し込むことで設定の切り換わるコマンドダイヤルや、iAモードに即切り替えられる「iA」ボタンなども採用され、GF2の使い勝手は概ねよいものといえる。

 さらに、GXR同様、外付け式EVFの装着が可能なのも便利に思える。そのほか、連続撮影速度、AFスピード、メディアへの書き込み速度など、デジタル一眼レフユーザーがサブ機として使用しても、もさほど違和感なく使うことができる。キーデバイスである撮像素子は有効1,210万画素Live MOSセンサー、最高感度はISO6400を実現している。搭載する動画撮影機能は1,920×1,080ピクセルのフルHD。記録フォーマットはAVCHDを採用する。

マウント外周部がボディトップよりもはみ出したシェイプがボディの小ささをより強調する。開放F値はF2.5だが、前玉は思いのほか小さいメニューやボタン類の文字、アイコンなどは大きく見やすい。液晶モニターは3型を採用。タッチによる操作が可能だ
マイクロフォーサーズ規格を採用する。LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.をはじめとするLUMIX Gレンズのほか、オリンパス、コシナ/フォクトレンダーなどの同規格のレンズと連携が可能撮影モードダイヤルを備えるGXRおよびDP1xに対し、同ダイヤルを廃止したGF2はメニューから撮影モードの設定を行なう
軽くプッシュすると設定の切り換わるコマンドダイヤルは、直感的でたいへん使いやすい。カメラ上部には「iA」ボタンが備わったDMC-GF2もGXRと同様ライブビューファインダー「DMW-LVF1」用の端子をアクセサリーシューの下部に備える

 DP1xはDP1、DP1sに続くDP1シリーズの3代目となるカメラである。コンパクトなボディに一般的なAPS-Cサイズよりもわずかに小さいフォビオンX3ダイレクトイメージセンサーを搭載する。有効画素数は2,652×1,768ピクセル×3層の約1,400万画素。フォビオンについては今さら説明するまでもないが、一般的なベイヤータイプにくらべより高い解像感の期待できるセンサーだ。また、シグマの第2世代となる画像処理エンジン「TRUE II」をDP1シリーズとして初めて採用する。

 操作性に関しては、やや旧態然としたところも見受けられるが、それでもQSボタンの採用など以前より使い勝手は洗練されている。メニューもシンプルな構成で、戸惑うようなこともほとんどない。ただし、液晶モニターは2.5型となるため、画像の閲覧などでは少々辛い。

DP1xは直線と平面を基調とするボディシェイプを採用する。面白味に欠ける感じもしないではないが、質実剛健なイメージだ液晶モニターは2.5型と小さいが、ボディの大きさを考えればギリギリの選択。表示される文字は比較的大きく見やすい
DP1xの特長のひとつは、とにかくコンパクトにまとまったボディだろう。GXRとくらべるとご覧のとおり。携帯性は今回の3モデルのなかで一番コンパクトにまとまるDP1xのボタン類。タッチのフィーリングはやや安っぽいが、操作自体は分かりやすい
QS(Quick Set)のメニュー画面。該当する十字キーのボタンで、各設定を変更する。直感的でスピーディな設定の変更が可能

 AFスピードの印象はGR LENS A12 28mm F2.5とほぼ同じ。連続撮影やメディアへの書き込み速度は以前からするとだいぶ速くなっており、より快適に撮影が楽しめる。RAWとJPEGの画質の差がほかのカメラ以上にあるのはこれまでどおりだ。なお、動画撮影機能については、320×240ピクセル(AVI)とオマケ程度の諸元となる。

今回チェックした3つのカメラは、幅の違いはさほどでもないものの、高さが違うのが分かる。ちなみに、奥行きではGXR+GR LENS A12 28mm F2.5が一番大きく、DMC-GF2+LUMIX G 14mm F2.5 ASPH.がもっとも小さい。

画質はいずれも問題なし

 レンズの描写特性を見ると、まず3本とも高い解像感だ。絞り開放から高く、2段程度絞るとさらに増す。いずれも甲乙が付け難いもので、画面の隅々までシャープネスは高く、大きくプリントしてみたくなるような描写といってよい。普段ズームレンズの描写に慣れた身には、この解像感のスゴさは驚きに値する。前述のとおりGR LENS A12 28mm F2.5とDP1xは、AFスピードに不満がないわけではないが、そのことを無かったことにしてしまうほどである。

 解像感以外では、どのレンズともクリアでヌケがよく、色のにじみなどもよく抑えられている。また、絞りを開いたときの周辺光量低下が見受けられるのも、いずれのレンズでも同じだ。もちろん、ちょっと絞ることで改善するのも同様である。個人的にはもっと差がでるように思われたのだが、光学的な描写特性は拮抗しているといってよいだろう。

 なお、いずれも評価測光を使用し露出を決定しているが、機種によってクセがあるためか、同じシーンでも露出の異なることが見受けられた。是非を問うというよりも、それぞれの個性としてみるとよいだろう。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、RAWファイルからリサイズなし・レタッチなしで現像したJPEGをダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • RAW現像時に露出などのパラメーターを変化させず、そのままJPEGに変換しています。
  • RAW現像ソフトは、GXR=Photoshop CS5、DMC-GF2=SILKYPIX Developer Studio 3.1 SE、DP1x=SIGMA Photo Pro 4.2を使用しています。
  • SIGMA Photo Pro 4.2の出力設定は「2倍」(5,280×3,520ピクセル)です。
  • GXRの歪曲収差補正はオフにして撮影しています。
  • すべて絞り優先AEで撮影。シャッター機構の制限上、シャッター速度が足りずに露出オーバーになった実写サンプルは掲載を省略しています。

・遠距離
 DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/4,000秒 / F2.5 / 0EV / ISO100 
 DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/4,000秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/2,000秒 / F4 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/2,000秒 / F4 / 0EV / ISO100DP1x / 1/1,000秒 / F4 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/1,150秒 / F5.6 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO100DP1x / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/570秒 / F8 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO100DP1x / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/310秒 / F11 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/250秒 / F11 / 0EV / ISO100DP1x / 1/125秒 / F11 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/140秒 / F16 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/125秒 / F16 / 0EV / ISO100 
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/75秒 / F22 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/60秒 / F22 / 0EV / ISO100 

・最短撮影距離/ボケ
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/75秒 / F2.5 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/250秒 / F2.5 / 0EV / ISO100 
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/60秒 / F2.8 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/30秒 / F4 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO100DP1x / 1/30秒 / F4 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/15秒 / F5.6 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / ISO100DP1x / 1/15秒 / F5.6 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/8秒 / F8 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/25秒 / F8 / 0EV / ISO100DP1x / 1/8秒 / F8 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/5秒 / F11 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/13秒 / F11 / 0EV / ISO100DP1x / 1/4秒 / F11 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/2秒 / F16 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/6秒 / F16 / 0EV / ISO100 
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1.0秒 / F22 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/3秒 / F22 / 0EV / ISO100 

・歪曲収差
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/20秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/15秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100DP1x / 1/8秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO100

 一方、カメラ側の性能が影響する描写では、高感度でのノイズレベルに違いが見受けられた。ノイズリダクションの設定をカメラおよび現像ソフトともそれぞれデフォルトとした場合、概ね良好なのがGXRで、ISO800までなら実用レベル。ISO1600も等倍まで拡大するようなことがなければ気になるものではない。続いて、従来から高感度に弱いとされていたフォビオンセンサーを搭載するDP1xは、新映像エンジン「TRUE II」の搭載もあって大きく改善されている。ISO800までなら、ベイヤーセンサーのGXRとほぼ同じノイズレベルといってよいだろう。DMC-GF2は、3モデルのなかで一番ノイジー。高感度域でのカラーノイズは現れやすい。しかしながら、あくまでも個人的な印象とはなるが、それほどイヤな感じがするのでなく、ある意味デジタルらしさが個性に思えるようなものである。


・感度
  DP1x / 15秒 / F5.6 / 0EV / ISO50
 DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 5秒 / F5.6 / 0EV / ISO100DP1x / 8秒 / F5.6 / 0EV / ISO100
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 3秒 / F5.6 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 2.5秒 / F5.6 / 0EV / ISO200DP1x / F5.6 / 0EV / ISO200
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1.0秒 / F5.6 / 0EV / ISO400DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1.6秒 / F5.6 / 0EV / ISO400DP1x / 2秒 / F5.6 / 0EV / ISO400
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1.0秒 / F5.6 / 0EV / ISO800DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/1.3秒 / F5.6 / 0EV / ISO800DP1x / 1.3秒 / F5.6 / 0EV / ISO800
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/3秒 / F5.6 / 0EV / ISO1600DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/2.5秒 / F5.6 / 0EV / ISO1600DP1x / 1/1.7秒 / F5.6 / 0EV / ISO1600
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/5秒 / F5.6 / 0EV / ISO3200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/6秒 / F5.6 / 0EV / ISO3200DP1x / 1/4秒 / F5.6 / 0EV / ISO3200
 DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 約12.7MB / 4,000×3,000 / 1/10秒 / F5.6 / 0EV / ISO6400 

 ハイライトおよびシャドー部の再現性に関しては作例を見る限り、大きな違いはなさそうに見えた。ダイナミックレンジ拡大のような機能は今回使用していないが、どのカメラもハイライトおよびシャドー部ともよく粘っており、納得できる仕上がりといえる。


・ダイナミックレンジ
GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/310秒 / F8 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100DP1x / 約4.9MB / F8 / 0EV / ISO100

GXR / GR LENS A12 28mm F2.5 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO200DMC-GF2 / LUMIX G 14mm F2.5 ASPH. / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO100DP1x / 1/160秒 / F5.6 / 0EV / ISO100

 そのほか気になったのが、DP1xのオートホワイトバランスだ。絞りを変えて同一シーンを撮影したが、本来なら全部色みが揃っていなければならないのに、撮影する度に変わってしまう。このカメラの場合、屋外ならば「太陽光」で撮影するのが賢明だろう。

 今回ピックアップした3つのレンズおよびカメラとも、高い描写特性を誇るものである。今さらではあるが、デジタルとなってレンズの描写力は飛躍的に向上した。特にズームレンズは顕著で、フィルム時代とはくらべものにならないほど進化している。しかし、単焦点レンズの高い解像感やヌケのよさは、今もってズームレンズを大きく凌ぐ。ズームレンズの描写、特に広角側に物足りなさを感じるユーザーは、ぜひ検討してみるとよいだろう。






大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2011/1/20 13:03