特別企画
iPhone 6 Plus実写レビュー
解像感と使い勝手が向上 像面位相差AFと手ブレ補正の効果を実感
Reported by 飯塚直(2014/9/25 12:53)
アップルのスマートフォン「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」が2014年9月19日に発売された。多くのメディアで語り尽くされた感のあるiPhone 6だが、ここでは改めてカメラ機能について紹介したい。
iPhone 6とiPhone 6 Plusの2機種は、撮像素子などは同等のものを採用しているが、撮影支援機能として「iPhone 6 Plus」のみ「光学式手ブレ補正」を搭載している。
従来機である「iPhone 5s」と比べると、画素数は変わらず800万画素となるが、新型の撮像素子を採用。「Focus Pixels」機能、わかりやすくいうと「像面位相差AF」を搭載したことで、オートフォーカスの高速化が図られているのもポイントだ。なお、F値はF2.2と変わらない。
ハードウェアスペックはもちろん重要だが、それらを制御する「OS」も重要。「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」の発売に先駆けて18日(日本時間)に配信された最新OS「iOS8」には、カメラ関連の機能だけをみても数多くの機能追加されている。詳しくは別記事を参照していただきたい。
その別記事との重複にはなるが、iOS8で注目したいのが、撮影時に露出を調整できるようになったことと、タイマー機能が追加されたことだ。
この他にも、画像編集時に導入した他アプリのフィルタ機能をプラグインとして純正写真アプリで利用できるようになったりと細かな点でパワーアップしている。
さて、「光学式手ブレ補正」や「Focus Pixels」を搭載した「iPhone 6 Plus」だが、従来機である「iPhone 5s」と比べて使い勝手が格段に良くなったという印象は受けない。といってもこれはインタフェース的な問題で、カメラとしてみた場合は体感できるレベルで違いがある。
それはオートフォーカスだ。「iPhone 5s」を利用していた時はそれほどオートフォーカスを遅く感じたことはなかったが、「iPhone 6 Plus」を使いはじめて明らかな違いを感じるようになった。「iPhone 5s」が遅いのではなく、「iPhone 6 Plus」のオートフォーカス速度が速いのだ。その差は明らかで、iPhoneにおけるカメラの進化をハッキリと意識できるだろう。
また、「光学式手ブレ補正」の導入は好印象。「iPhone 6 Plus」はボディサイズが大きいのである程度ホールドして撮影することになると思うが、片手で無理矢理撮影しても、大きくブレるということはなかった。結構粘れるという感じだ。
動画撮影機能にも大きな変化がみられる。「iPhone 5s」では、1080p HDビデオ撮影時のfpsが30fpsだったのに対し、「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」では30fpsと60fpsを切り替えられるようになった。また、連続オートフォーカスに対応したことも大きな点だ。
撮影機能としては、「スローモーション」撮影が120fpsだけでなく240fpsにも対応。加えて、「タイムラプス」機能も搭載した。「iPhone 5」など従来機でiOS8を導入した場合は「スローモーション」が「タイムラプス」へと変更されるが、「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」では両方利用できる。
画質傾向としては、「iPhone 5s」と「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」でほとんど変化はみられない。なので、新型になったからといって極端な画質向上を期待しているなら、少々拍子抜けすることだろう。被写体を最大限ズーム(デジタルズーム)した場合のディテールもほぼ同じだ。
新しいOSと新型iPhoneの組み合わせは、ハードウェア面、ソフトウェア面の両面でまさしく正統進化を遂げたといってもよさそうだ。
ただし、「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」では、インタフェースは同じであっても、ボディサイズが異なるだけに扱い方が微妙に異なる。
「iPhone 6」は、画面サイズが大きくなったとはいえ、片手で操作できる範疇といえるが、「iPhone 6 Plus」は片手で操作するのが難しい。落下などを考慮すると、両手で扱うのがベストだろう。
筆者は「iPhone 6 Plus」を購入したのだが、正直に言えば、「iPhone 5s」の延長として利用できる「iPhone 6」に「光学式手ブレ補正」が搭載されていたならばと思う。スマートフォンとしての運用スタイル(持ち運びなど)がガラリと変わってしまうため、「光学式手ブレ補正」を目当てに「iPhone 6 Plus」を購入したユーザーは四苦八苦していることだろう。
また、レンズ部が突出しているデザインにも不安を覚える。テーブルなどに背面から置いた時、レンズ部にダメージを与えそうで怖い。なので、凸部が上手く平らになるようなケースを装着している。せっかくカメラ関連機能は充実しているだけに、他の部分に気を使わなければならないのは、残念に思うポイントだ。
とはいえ、全体的にみれば、概ね満足できるデキで、不満に覚えるのはカメラ部以外の部分というのが実のところ。スマートフォンにおいて「カメラ」の性能は重要なチェックポイントなので、そういった意味では、かなり魅力的な端末に仕上がっているといってもよさそうだ。