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レンズ内とボディ内、2種類の手ブレ補正を同時に使ってみた

Reported by 本誌:関根慎一

K-7(左)とE-P1(右)

 現行のデジタルカメラにおける光学式手ブレ補正は、大きく分けて2種類。レンズ内の補正レンズを駆動して補正する「レンズ内手ブレ補正」(レンズシフト式)と、撮像素子を駆動して補正する「ボディ内手ブレ補正」(イメージセンサーシフト式)だ。

 レンズ内手ブレ補正機構は、1995年にキヤノンが望遠ズームレンズ「EF 75-300mm F4-5.6 IS USM」に初めて搭載。ボディ内手ブレ補正機構は、デジタル一眼レフカメラでは2004年発売のコニカミノルタ「α-7 Digital」が初となる。

 ちなみにコンパクトデジカメでは、2000年にオリンパスが発売した「CAMEDIA C-2100 Ultra Zoom」がレンズ内手ブレ補正を初めて搭載したことで知られる。

【2009年9月8日】初の光学式手ブレ補正を備えたコンパクトデジタルカメラとして、読者よりソニーのデジタルマビカMVC-FD91(1998年発売)の存在をご連絡いただきました。3.5インチFD記録という今となっては特殊な機種ですが、オリンパスより早い発売であることを確認したため、上記を訂正すると同時にお詫び申し上げます。


α-7 DIGITAL CAMEDIA C-2100 Ultra Zoom

 現在、キヤノン、シグマ、タムロン、ニコン、パナソニック製の交換レンズのいくつかはレンズ内手ブレ補正を採用、オリンパス、ソニー、ペンタックスのレンズ交換式デジタルカメラではボディ内手ブレ補正機構をそれぞれ搭載している。

 どちらも手ブレ補正を目的とした機構だが、各方式により得られるメリット・デメリットは異なる。

 レンズ内手ブレ補正のメリットは、ファインダー像のブレを抑制できる点だ。また、ボディ内の各センサーへ届く像が補正されているため、AFや測光の面でも利点があると言われる。レンズごとに最適化されている点もポイントだ。しかし、手ブレ補正機構を備えるレンズでしか手ブレ補正を利用できない点や、補正機構を搭載することによる大型化や重量増などのデメリットも存在する。また、いまのところ超広角レンズや、F1.4〜F2といった大口径レンズへの搭載例がない。

 一方、ボディ内手ブレ補正では、ボディに装着可能なほぼすべてのレンズで手ブレ補正の恩恵を受けることができる。また、補正光学系がシフトすることによる画質へ影響がない点から、画質面での優位点を挙げる説も見られる。ただし、光学ファインダーの像は補正されないので、特に望遠撮影時ではフレーミングが難しくなる。また、動画記録時の手ブレ補正も苦手とされ、現在のところペンタックスK-7しか対応機種がない。

レンズ内補正とボディ内補正の両方を用いたテスト

 今回は、ボディ内手ブレ補正を利用できるボディにレンズ内補正機構を備える交換レンズを装着し、それぞれの補正効果と、双方をオンにした場合の効果を見てみたいと思う。中でもボディ内とレンズ内の同時利用は、互いの効果を打ち消し合うため、効果が得られないとよくいわれる。メーカーとしても想定外の使い方だろう。

 使用したボディは、ペンタックスK-7とオリンパス・ペンE-P1。どちらもボディ内手ブレ補正機構を搭載している。K-7にはシグマ50-200mm F4-5.6 DC OS HSMを、E-P1にはパナソニックのLUMIX G VARIO 45-200mm F4-5.6 MEGA O.I.S.を装着した。ともにレンズ内補正機構を備える。

 どちらの組み合わせでも、レンズ内手ブレ補正機構とボディ内手ブレ補正機構の両方、あるいはどちらかを切り替えて利用可能だ。

50-200mm F4-5.6 DC OS HSMを装着したK-7 LUMIX G VARIO 45-200mm F4-5.6 MEGA O.I.S.を装着したE-P1

 テスト条件は下記の通り。

  • K-7とE-P1のそれぞれで、「ボディ内手ブレ補正ON/レンズ内手ブレ補正OFF」、「ボディ内手ブレ補正OFF/レンズ内手ブレ補正ON」、「ボディ内手ブレ補正ON/レンズ内手ブレ補正ON」、「ボディ内手ブレ補正OFF/レンズ内手ブレ補正OFF」と設定して撮影した。
  • 上記4通りの組み合わせを手持ちで各10回ずつ、3人で試行した。2機種の合計枚数は240枚。
  • すべて望遠端で撮影している。
  • 露出はマニュアル。一般的に手ブレを防げるシャッター速度の目安と言われている「(35mm判換算での)焦点距離分の1秒」を基準として、約2絞り分ずつシャッター速度を落としている。K-7と50-200mm F4-5.6 DC OS HSMの組み合わせでは1/80秒、E-P1とLUMIX G VARIO 45-200mm F4-5.6 MEGA O.I.S.の組み合わせでは1/100秒とした。絞りはいずれも望遠端の開放F値。
  • 撮影した写真を当倍で見た場合に、文字の輪郭や雑誌の外縁部がわずかでも多重に見えた場合は、「手ブレしている」としてカウントした。目安としては下記を参照されたい。
テストするにあたり、被写体として用意した雑誌。表紙の輪郭や文字を見てブレを判定した 被写体から撮影者まではおよそ5m
三脚でカメラを固定して撮影した部分のアップ(等倍) こちらは「ブレていない」と判断した画像 おおよそこの画像と同じくらいブレがあれば「ブレている」とみなした

結果



K-7 E-P1
ブレていない ブレている ブレていない ブレている
レンズ内手ブレ補正ON/ボディ内手ブレ補正OFF 17 13 9 21
レンズ内手ブレ補正OFF/ボディ内手ブレ補正ON 11 19 20 10
レンズ内手ブレ補正ON/ボディ内手ブレ補正ON 16 14 5 25
レンズ内手ブレ補正OFF/ボディ内手ブレ補正OFF 5 25 17 13

 K-7と50-200mm F4-5.6 DC OS HSMの組み合わせではレンズ内手ブレ補正に軍配が上がった一方で、E-P1とLUMIX G VARIO 45-200mm F4-5.6 MEGA O.I.S.の組み合わせでは、ボディ内手ブレ補正がより高い補正結果を見せた。

 意外だったのは、K-7を使ったテストでレンズ内とボ ディ内の補正機構をONにしたケース。補正がかかりすぎて全滅になると予想していたのだが、いざ試してみると、きちんと補正されていた回数がボディ内補正 単独のときよりも多かった。ただ、今回は試行回数が少なく、サードパーティの交換レンズを使用したということもあって、ペンタックスのボディ内補正にとっ ては例外的な条件だったのかもしれない。

まとめ

 今回はどちらのテストでも望遠端で撮影したわけだが、手持ちという条件下でファインダー内の像が安定する点において、レンズ内補正のありがたみを強く感じた。レンズ内補正機構ではファインダー像の小刻みな震えがほとんどなくなり、比較的フレーミングした通りに撮影できたと思う。

 ただ正直なところ、手ブレ補正の効果は焦点距離やシーンによってまちまちだし、もっと言えばホールディングや手ブレの仕方にも個人差がある。それゆえに、補正効果としてレンズ内手ブレ補正とボディ内手ブレ補正のどちらが優れていると一概に言うことは難しく、この点については今回のテストでは判断しかねるので、明言は避けたい。

 両方式を同時に使ってみて思うのは、やはり「両方が補い合う形で補正してくれれば」という点につきる。それぞれの方式で「ファインダー像が見やすい」、「同マウントならほぼすべてのレンズで効果を得られる」などの素晴らしい利点があるのに、連動していないばかりにどちらかを選ばなければならない現状は、構造的な仕様と割り切るべきなのだろうか。

 簡単にできたら苦労しないのはわかっているが、いずれレンズ内補正とボディ内補正が連動した、「ハイブリッド補正」ともいうべきものが登場する日が来ることを期待したい。





本誌:関根慎一

2009/9/8 13:00


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