ギター・マガジンが本気で教える こだわりの愛器撮影テクニック
最終回:カッコよくムーディにギターの魅力を引き出す
曲線美を表現する半逆光のライティング
2017年9月29日 18:03
本連載は、インプレスグループのリットーミュージック新刊「ギター・マガジンが本気で教える こだわりの愛器撮影テクニック」の一部内容を紹介します。なお、Webページ化にあたり一部を編集・再構成しています。(デジカメ Watch編集部)
完成写真:Fender Custom Shop(2013年)1963 Jazzmaster NOS(3 color Sunburst)
今回は反射の少ない黒布が舞台です。そこへジャズマスターの定番=1963年型/サンバーストのリイシュー・モデルを置き、オフセット・ウエスト・ボディの曲線美を表現することがテーマ。色味やディテールを多少犠牲にしても、とにかく楽器としてのシルエットをカッコよく見せたい!……ということで、半逆光の2灯ライティングに挑戦してみました。
POINT
- 1:ボディ両サイドのエッジを引き立てるハイライト。
- 2:ローキー調によってディテールを排したボディ・トップの表現。
- 3:真っ暗に落とし込んだ黒布による背景。
STEP1:ストレートな左斜め上のソフトボックス・ライト
まずはノーマルなギター・スタンドに立てたギターを、黒い布背景から約70~80cmの距離に配置。左斜め上からのソフトボックス・ライトで、ストレートに撮ってみましょう。
布製の背景は紙のような反射が少なく、この状態でも十分に暗く落ち込んでいます。それ自体は狙いどおりなのですが、ボディ・エッジのカラーリングも黒いために、ギターが背景に溶け込むような見え方になってしまったことが難点です。
STEP2:サイド光とレフ板でエッジにハイライトを加える
ボディが背景に溶けてしまうのを回避するためには、ボディ・エッジにハイライトを入れるのも一案でしょう。そこでライトを左サイドに回し、かつ高さもボディの位置に合わせて少し下げました。さらに1弦側にはレフ板を入れてシャドーを起こし、こちらもなるべく背景との境界をはっきりさせるよう試みます。
連載第1回で紹介した製品写真風と同じように、ソフトボックスとギターの間にディフューザーを入れれば6弦側のエッジ・ラインもキレイにつながってくるはず……ですが、ここはもっと別の方法で曲線美だけを強調したいところです。
STEP3:左側のライトを半逆光気味に配置
というわけで、右側のレフ板はそのままに、ライトを思い切ってギターよりも後方に回し、かつスタンドから外した床置き状態で、ギターに対して半逆光になるように配置しました(A)。
ただし、それだと逆光がカメラに入り込んでハレーションを起こすため、ライトの手前にカポックを置いて光を遮ります(B)。そのうえで絞りを絞り込みつつ光量も落とし、ギターのシルエットだけを生かした表現を狙います。どうでしょう? ライトを低くしたことでエッジのハイライトがキレイにつながり、露出を切り詰めたことでボディ・ラインが浮き立ってきました。
STEP4:右側にも半逆光のライトを追加
STEP3では1弦側ボディ・エッジをレフ板で起こしましたが、それでは明度が足りない印象だったので、左と同じようにソフトボックス・ライトを設置しました(A)。こちらも同じく、ハレーションを抑えるためのカポックをライトの手前に置きます(B)。
例では180×90cmのカポックを用いていますが、光を遮れればもっと小さいものでかまいません。さらに、STEP3では沈みすぎていた金属パーツ(おもにフローティング・トレモロ)を起こすべく、ギター手前にグレーのカポックを写し込んだのがこの例です。シルエット的な表現としては、これもOKテイクでしょう。
完成:露出コントロールでボディの見栄えを調整
STEP4も良い具合ですが、もう少しだけボディの様子が見えるカットも欲しくて、完成写真は1段ほど絞りを開けて明るくしてみました。半逆光の2灯ライティングによるボディの曲線美はそのままに、特徴的なピックガードのエッジにもハイライトが表われて形状が明確になり、個性的なシングルコイル・ピックアップやフローティング・トレモロの雰囲気も伝わりやすくなりました。ちなみに、ギター手前のグレー・カポックはここでは用いていません。
STEP4もこのカットもどちらが正解というわけではありませんから、自分がカッコいいと思える露出のポイントを選んでください。
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