ギター・マガジンが本気で教える こだわりの愛器撮影テクニック
第3回:カッコよくムーディにギターの魅力を引き出す
ボディの「くびれ」と「アーチ」を艶やかに
2017年9月20日 10:00
本連載は、インプレスグループのリットーミュージック新刊「ギター・マガジンが本気で教える こだわりの愛器撮影テクニック」の一部内容を紹介します。なお、Webページ化にあたり一部を編集・再構成しています。(デジカメ Watch編集部)
完成写真:Gibson 1989 Les Paul Custom(Ebony)
連載の第2回でもレス・ポールのアーチを写し取る方法を説明しましたが、それとは異なるシチュエーションでのアーチの出し方を探ってみます。
前提はレス・ポールを寝かせた状態で、そのシェイプの大きな魅力であるボディの「くびれ」も見せること。つまり「くびれ」と「アーチ」というふたつの要素を同時に表現するわけです。ブラック・ビューティとも称されるレス・ポール・カスタムをサンプルに、白い背景のもとで美しい写真を狙います。
POINT
- 1:明瞭な写し込みによってアーチトップを艶っぽく表現。
- 2:ボディ・ラインの「くびれ」を強調する構図設定。
- 3:シャドーも生かしたローキー調でムードを演出。
STEP1:オーソドックスな構図とライティング
ボディ・シェイプを正確に写すことによって「くびれ」も見せようと考え、まずはシンプル に俯瞰気味で撮ってみました。
ライティングは右斜め上からのソフトボックスによるストレートな光です。製品写真的な意味合いでの「ボディを撮る」という目的は果たしていますが、「くびれ」の表現としては少々ダイナミズムに欠ける気もします。天井などが写り込んだテイルピースの見え方も、もう少し整理したいところです。
STEP2:「くびれ」を強調する斜めアングル
レス・ポールの「くびれ」を強調するには、むしろギターを斜めに傾けてカメラもやや低い位置から狙うことで、あえて形を歪ませたほうが良いでしょう。
ライティングは変えていませんが、こうするだけでも艶が加わり、曲線美が表われてきた印象です。しかも、この角度であれば天井からの嫌な写り込みも拾わないどころか、天井から床にかけて伸ばしておいた白の背景紙がうっすらと6弦側のアーチに写り込み、ボディ・トップの造形も感じられます。
OTHER CUT:さらにダークなローキー調のバリエーション
完成写真をさらにローキーにしたバリエーションです。完成の段階で装着レンズの最小絞りであるF22に設定していたため、それ以上は絞り込むことはできず、露出を下げるには光量を減らすか感度を落とすかの二択です。ここではISOを100から2/3段下げたISO64に設定して対処しました。
告知:出版記念イベントを開催
本書の出版を記念して、9月24日(日)に「ギター・マガジン presents ギター撮影セミナー&撮影会」が開催されます。セミナー講師は、本書ほかサンバースト・レスポールの研究書として有名な「ザ・ビューティ・オブ・ザ・バースト」の撮影も手がけた菊地英二さん。撮影会では、クロサワ楽器G-CLUB TOKYOに入荷した1959年製レスポールが被写体になります。
詳細はこちら→エレキ・ギターの最高峰、1959年製ギブソン・レス・ポールが撮れる! 『ギター・マガジン』の"ギター撮影セミナー&撮影会"を9月24日に開催。