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ニコンD810

2年ぶりにモデルチェンジした最新フルサイズ機

 ニコンが7月中旬に発売するデジタル一眼レフカメラ「D810」をお借りできたため、外観と画面写真を中心にお届けする。詳細な製品レビューは近日掲載する予定だ。

 D810は、有効約3,635万画素・35mmフルサイズ相当のCMOSセンサーを搭載する中級機。高画素センサーの描写が話題を呼び、発売以来品薄が続いた「D800」(2012年3月発売)および「D800E」(2012年4月発売)の後継となる。実勢価格はボディのみで税込35万円前後。

 外観は、グリップ部やペンタ部まわりなど、よく見ると形状が異なっている。背面ボタン配置も、新設ボタンがあったり、測光モードダイヤルの代わりにボタン+ダイヤル操作になったり、小変更が見られる。バッテリーおよびマルチパワーバッテリーパックはD800/D800Eと共用。

CF/SDのダブルスロットは従来通り
背面モニターは白画素入り(RGBW)のタイプになった。反射も抑えたという
グリップ部の形状が多少異なる
シャッターボタン周り
測光モードはボタン+ダイヤル操作での変更に
バッテリー室
フォーカスモードスイッチ
連写速度はFXフル画素記録で約5コマ/秒
レンズマウント部のプレビューボタン、Fnボタン
サブコマンドダイヤル、AF補助光
D800/D800Eにはなかった「i」ボタンを押したところ。画面下部のメニューから目当ての設定項目にアクセス可能
新設のiボタン

 また、最低感度を近年のデジタルカメラでは珍しいISO64と低く設定したのもポイント。擬似的な減感といえる拡張感度ではなく、センサーのダイナミックレンジをフルに活かせる通常撮影時の最低感度がISO64になったのが特徴だ。

35mm判フルサイズ相当・有効3,635万画素のローパスレスCMOSセンサーを搭載
ベース感度がISO64になった。フォトダイオードに2/3段ぶん多く光を溜められるようになったからだという

 D810は、同社フルサイズ(ニコンFXフォーマット)機の中では、プロ仕様の最上位モデル「D4S」(66万円前後。ボディのみ・税込実売価格。以下同)と、FX機では最も手頃な「D610」(18万円前後)の間に位置する。現行FX機にはクラシカルな見た目と操作性が特徴の「Df」(28万円前後)もあるが、こちらは他機種との単純比較が難しい存在だ。

 D810では静音化のためにミラーのアップダウンをモーター駆動にしたほか、ミラーバランサーの新設計も行なったという。シャッター音は明らかに静かになったと実感できるレベル。D800を明るめの音色とすると、D610のように暗く控えめだが、動作感はD4のようにタイトと感じた。

 新機能の「ハイライト重点測光」とあわせ、舞台撮影のようなシーンで威力を発揮するとしている。また、超望遠撮影など微細なブレが目立つシーンで有効という機構ブレを低減するため、電子先幕シャッターも利用可能とした。

測光モードを「ハイライト重点測光」にしたところ(中央マーク)
電子先幕シャッターのオンオフが可能に

 新たに「グループエリアAF」が可能になったAF周りは、新モジュールを採用。アルゴリズムも見直している。

参考:1点AF時のファインダー内表示
参考:グループエリアAF時のファインダー内表示
グループエリアAFに設定したところ。AFモードスイッチのボタンを押しながらダイヤル操作で呼び出せる
メニュー内の表示項目選択

 ライブビュー撮影には「2点拡大」を追加。水平線や建築物など、画像の左右端をそれぞれ拡大して並べ、厳密な水平を見られる機能。広角レンズやPCニッコール使用時の、奥行きがある2点のピント確認にも活用できる。拡大時の表示が精細になったのも嬉しい。

ライブビュー画面
拡大表示がD800/D800Eより精細で見やすくなったという
2点拡大の利用イメージ。左右の端を抜き出して拡大することで傾きが目立ち、確実に水平を出せるというもの
「2点拡大」はライブビュー中のメニューから呼び出す
ピクチャーコントロールシステムは、既存の輪郭強調とは異なる「明瞭度」を新たに調整可能とした。調整ステップも細かくなったという
新設定「フラット」は、「ニュートラル」よりもフラットなトーンカーブ。白飛び・黒潰れしにくい仕上がり
情報表示パネル
シンクロターミナル、リモコン端子
側面端子類
内蔵ストロボ
ファインダー部分。コーティングの改良や、有機EL情報表示の新採用が特徴。アイピースシャッターを継承
動画は1080/60pが設定可能に

 引き続き、詳細な機能・実写レビューにご期待いただきたい。

レンズ装着例

AF-S NIKKOR 24-85mm F3.5-4.5G ED VR
AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED
AF-S NIKKOR 16-35mm F4G ED VR
AF-S NIKKOR 70-200mm F4G ED VR

【7月1日15時50分】記事初出時、ドライブモードダイヤルの写真キャプションに「連写速度はFXフル画素記録で約4コマ/秒」と記載していましたが、約5コマ/秒の誤りでした。約4コマ/秒は、同条件におけるD800/D800Eの連写速度です。

本誌:鈴木誠

撮影:関根慎一