神保町写真教室の教科書「写真総合」by 岡嶋和幸先生

露出補正(カメラ基礎:露出)

一歩進んだ“自分らしい”“伝わる”写真表現が学べる「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」。その分かりやすく実践的な講座内容に定評のある岡嶋和幸さんが12回にわたって本誌Web特別講座を連載。写真撮影の基本となるピント、露出、色、レンズ、光、構図、そして実践的な撮影方法の中からトピックを厳選してお届けします。(編集部)

明るい要素が占める割合が多い場合はプラス補正

明るい要素が画面に多いと、カメラが「明る過ぎる」と判断をして実際より暗めの写真になりやすいです。プラス側に露出補正をして適正な明るさにします。

補正無し
プラス補正

暗い要素が占める割合が多い場合はマイナス補正

暗い要素が画面に多いと、カメラが「暗過ぎる」と判断をして実際より明るめの写真になりやすいです。マイナス側に露出補正をして適正な明るさにします。

補正無し
マイナス補正

カメラが決めた露出を明るくしたり暗くしたりする

露出補正とは、カメラが決めた標準露出に対して、適正露出の写真に仕上げるために撮影者が調節を行うことです。

標準露出より明るくしたいときはプラス方向に、暗くしたいときはマイナス方向に補正します。補正できる範囲は、一般的なデジタルカメラで0.3EVステップで±3.0EVですが、0.5EVステップに変更したり、±5.0EVまで対応している機種もあります。

露出補正を行うと、その補正量に応じてシャッター速度あるいは絞りを変えて露光量を調節します。マニュアル露出の場合、ISOオート設定時に露出補正が行える機種もありますが、このときは補正量に応じてISO感度を変えて露光量を調節します。露出補正を解除するときは標準露出の±0EVに戻します。

露光量を調節する露出補正と、RAW現像ソフトやフォトレタッチソフトでの明るさの調整は異なります。画像処理で明るく、または暗く調整できるからと後回しにするのではなく、適正露出は撮影時に得るのが基本。

ハイライトの白飛びやシャドウの黒つぶれなど、画像処理ではカバーできないことがあるからです。ただし、露出補正では画面全体の明るさが一律に調整され、明るい部分だけを暗く、暗い部分だけを明るくといった部分的な調節はできません。

写真の明るさの判断は人それぞれで、カメラが決めた標準露出よりも、明るくまたは暗く調節した方が実際に目で見た明るさに近いことがあります。デジタルカメラはその場で撮影した画像を確認できるので、それを見てちょうど良いと感じる明るさになるように露出補正をして撮り直すことができます。

設定値より暗い、明るい写真を連続して撮れる露出ブラケット

露出の判断に迷ったときは、露出補正を段階的に行って、いろいろな明るさで撮っておきましょう。この段階露出を効率良く行える機能が「露出ブラケット」(AEB=Auto Exposure Bracketing)です。

シャッター速度または絞りを自動で変えながら連続して撮影できます。ちょうど良い明るさの写真を、パソコン画面を見ながら後でじっくり選べます。

撮影順、撮影枚数、露出ステップなどを設定。設定しているドライブモードに従って、露出を自動で変えながら撮影して撮影できます。(左から「暗い」「設定値」「明るい」)

写真撮影の総合教科書『写真総合』を発売!

カメラの基礎から実践、作品制作、展示までを網羅的にまとめた写真撮影に関する総合教科書『写真総合』を発売。その一部を本連載で紹介しています。「インプレス・フォトスクール 神保町写真教室」の公式テキストしても採用予定です。ぜひご期待ください。(編集部)

仕様
『写真総合』岡嶋和幸 著
2017年9月15日発売/定価:本体3,680円+税
B5変型判/320ページ

内容
第1章 カメラ基礎/第2章 撮影基礎/第3章 撮影実践/第4章 写真制作/第5章 写真表現/第6章 プレゼンテーション/写真関連用語集

図版制作●村上総、吉光さおり(Kamigraph Design)
イラスト●今道千里

岡嶋和幸