私がOM-Dを使う理由。- My Style, My Olympus -

Vol. 01:地元の隠れた“絶景”を探して〜木村琢磨さん

身近な自然風景をストレートに美しく

E-M1の広いダイナミックレンジのおかげで、雲の質感がきれいに出た。木々のシャドウ部のディテールや空のグラデーションも豊かに再現できている。
オリンパス OM-D E-M1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / マニュアル露出(F5.6、1/750秒) / ISO 200

今月から始まった新連載「私がOM-Dを使う理由。」では、新進気鋭の作家たちに、作品の意図・使用機材・制作過程・写真への考えなどを語っていただきます。OM-Dを手にした作家それぞれの作品への思いとは、どのようなものでしょうか。

最初に登場するのは、独自の美意識で風景を再現する、木村琢磨さんです。(編集部)

木村琢磨さん。1984年岡山県生まれ。デザイン専門学校在籍中に写真に興味を抱く。2005年よりスタジオキリンにてフォトグラファーとして活躍。APAアワード2014「写真作品部門」入選。E-300でデジタル一眼レフデビュー以降、オリンパスのカメラを使用。http://www.takumakimura.com/

※作品はAdobe Photoshop Lightroomで現像しています。

写真を撮るようになったきっかけは?

デザインの専門学校でデザインの素材用に写真を撮り始めて、それからデザインよりも写真に惹かれ本格的に撮り始めるように。

同時期に岩合光昭さんの写真と出会った影響も大きいです。

現在、どのような写真関連の仕事をされていますか?

今は岡山の広告写真スタジオにてチラシやパンフレット、Webなどさまざまな媒体に使われる広告写真を撮っています。

仕事ではクライアントさんからご依頼があればどんな被写体でも撮影しています。

影響を受けた写真家、写真集、メディアは?

写真を本格的に撮影するきっかけを与えてくれたのは岩合光昭さんのネコの写真ですね。いままで見てきたネコの写真とは違い、ただカワイイだけではないネコの生態やネコの住む環境、風土などを盛り込んだ写真に素人ながら惹かれるものがありました。

写真を撮り始めてからは、先輩からのアドバイスで、アンリ・カルティエ・ブレッソンや、エド・ヴァン・デル・エルスケンなどの海外の写真家の作品を見るようにもなりました。

写真以外にも、絵画や音楽からも影響を受けています。

絵画からは特にルネ・マグリットの作品から受けたイメージが強烈に頭の中に焼きついてます。

音楽はパット・メセニーの自然を感じさせる音楽(個人的にそう解釈しています)からさまざまなインスピレーションを受けていて、風景を撮影していると頭の中に彼の音楽が自然と流れてくることがあります。

初代OM-DことE-M5での撮影。E-M5から飛躍的に高感度に強くなり、手ブレ補正もより強力になったおかげで今まであきらめていたシーンでも撮影が可能となった。E-M5からZDレンズと組み合わせてもバランスがボディデザインになり、ZDレンズの出番が一気に増えた。
オリンパス OM-D E-M5 / ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD / 37mm(74mm相当) / 絞り優先(F5.6、1/500秒) / ISO 1600

その影響は自分の作品のどんなところに現れていますか?

岩合さんからの影響は見ての通り非常に大きく、オリンパスカメラをメインで使うようになりましたね。初めてのレンズ交換式カメラはオリンパスのE-300でしたし。

岩合さんは動物写真家である前にネイチャー写真家ですので、自然風景との向き合い方を作品を通して学ばせていただきました。

よく、自分の作品を見てくれた人から『絵』のようですねと言われることがよくあるのですが、絵画の表現を写真にも取り入れて仕上げています。

その要素の一つに極力パンフォーカスで撮ることを意識していますね。

近日、OM-D E-M1のVer.4.0で深度合成モードが追加されるので期待しています。

夜明けのドラマチックな時間帯。刻一刻と状況が変化していく中、ボディ内5軸手ブレ補正機構のおかげで、手持ちで雲海と山の稜線をスピーディーに切り取った。階調は豊かで、シャープなラインが得られている。
オリンパス OM-D E-M1 / ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD /158mm(316mm相当) / マニュアル露出(F8、1/4秒) / ISO 200

作品のテーマ、コンセプトは?

自分の作品のテーマは身近な自然風景、身近な絶景を探すことでしょうか。

自分が住んでいる場所の隠れた魅力をカメラ片手に探すのが楽しいですね。

県外の方はもちろんですが、やっぱり地元の方にも“こんなに素晴らしい場所に住んでいるんだよ”ということを伝えたいですし、有名な場所だけが絶景・名所であるとは限りません。

風景写真を撮っていると、僕たちは自然に生かされているんだということがよくわかります。そういうメッセージを作品に込めています。

撮影や作品づくりで心がけていることは?

ストレートな写真を撮ること。

何を撮りたいのか、何を見せたいのか、パッと見たときに誰にでも意図が伝わるような写真を心がけています。

なので基本的には日の丸構図が大好きだったりします。

真ん中に被写体をメインに持ってきてあげて、あとは周りに何を配置してどう引き立ててやるのか。

あまり要素の足し算にならないように、引き算をするようにしています。

薄暗い日の出前の長時間露光はシャッター速度の決定が難しい。そこで、ライブビューで確認しながら撮影できるライブバルブ機能を使用。木々のディテールを見せつつ、街の明かりをきらびやかに再現。
オリンパス OM-D E-M1 /M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 40mm(80mm相当) / マニュアル露出(F5.6、10秒) / ISO 200

夕日に染まる大山。夕暮れ時の薄暗いシーンで本来カメラにとっては苦手なシーンだが、シャドー部のディティールも黒ツブレすることなく見事に表現してくれた。
オリンパス OM-D E-M1 /M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / マニュアル露出(F8、1/30秒) / ISO 200

主な使用ボディ、使用レンズは?

ネイチャー撮影ではボディは主にOM-D E-M1を使い、レンズはM.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO、M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROがメインです。ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0も使用しています。

OLYMPUS OM-D E-M1とM.ZUIKO DIGITAL 12-40mm F2.8 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

それらの製品を使う理由は?

やはりネイチャー撮影には防塵防滴は必須なので、E-M1にPROレンズ、ZDレンズの組み合わせは安心感があります。撮影場所は足場が悪い山道や森の中も多く、この組み合わせだと全体的にコンパクトにまとまるので撮影を快適に進める重要なポイントですよね。開放から安定した画質に加えて、マイクロフォーサーズならではの深い被写界深度も魅力的です。

身軽さ優先のスタイルなので、意図しない限り基本的には夜景や星景写真以外で三脚を使うことはあまりありません。

オリンパスの強力な手ブレ補正は、三脚が使えない不安定な足場でも安定した撮影をサポートしてくれるので表現の幅が広がります。

75mmの焦点距離での撮影。35mm換算で言えば150mm相当の望遠だが、シャッタースピード1/20秒でもブレのないシャープな結果を得られた。
オリンパス OM-D E-M5 / M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8 / 75mm(150mm相当) / 絞り優先(F5.6、1/20秒) / ISO 400
滝の裏側から長時間露光での撮影。絶え間なく降りかかってくる水しぶきにビショビショになりながらの撮影だったが、防塵防滴ボディのE-M1の前では何の妨げにもならない。ライブコンポジットを使って滝の流れる様を光の柱のように表現した。
オリンパス OM-D E-M1 / ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0 / 12mm(24mm相当) / マニュアル露出(F5.6、30秒) / ISO 200
E-M1のWi-Fi機能を使ってのセルフポートレート。手元のスマートフォンで構図を確認しながら撮影した。雲が多く、光線状況が刻一刻と変化する状況下での撮影だったが、手元でリアルタイムに仕上がりを確認しながらシャッターチャンスを狙えるので、セルフタイマーではなかなか難しい条件でも難なく撮ることができた。
オリンパス OM-D E-M1 /M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO / 12mm(24mm相当) / マニュアル露出(F8、1/500秒) / ISO 200

OLYMPUS AIR A01も使われていますが、そのメリットは?

OLYMPUS AIR A01
木村さんがOLYMPUS AIR A01で撮影している様子

アングルからの開放、これが一番のメリットですね。

手元のスマートフォンで構図確認しながら、カメラを自由に動かせる、つまりカメラと向き合わなくてもよいのでそれだけで今までと違う写真が撮れるわけです。

長い一脚にAIRを取り付けて極端なハイアングルや、地面に置いて超ローアングルでの撮影、今までカメラが入れなかった狭い場所への設置など、必要最小限のコンパクトボディだからこそ可能な撮影方法があるわけなんですよね。

あとはノーファインダーでの撮影も楽しいので是非一度体験してもらいたいですね。

片手にAIRを固定した一脚、片手にスマートフォンのスタイルで撮影。手元のモニターで構図や露出を確認しつつ、足元のネモフィラの広がりを出すため手を目いっぱい伸ばして撮影した。

AIRを一脚に固定して、魚眼レンズを装着して昆虫目線から撮影。ファインダーが覗けない、背面モニターも見ることができないアングルでもAIRなら簡単に撮影できる。

彼岸花の群生の中にAIRを忍ばせて真上に向けてシャッターを切った。"ボディがあるカメラ"では物理的に不可能な条件だが、AIRのようにレンズのみのデザインであれば入り込むことが可能だ。パッと頭にイメージが浮かんだ時に、スマートフォンの写メを撮るように気軽に撮影できるのはAIRならでは。

ドローンを使った作品制作も行なわれています。その意図は?

地形を被写体として撮影してみたいと思ったことがきっかけです。

どんな場所でも空から地上を撮影できる、今までと100%違う写真が撮れることを確信していたので導入しました。

他社製品のカメラ一体型のモデルを使用していますが、やはりマイクロフォーサーズセンサーを搭載したオリンパスのカメラを備え付けたドローンがあれば理想的ですよね。

今使っているOM-Dがそのまま空を飛ぶ感覚で使えれば画質にも期待できますし、オリンパスのカラーや表現力を生かした作品が撮れそうです。

オリンパスにしか作れないドローンが今後開発されることを期待しています。

雲海の真上からの撮影。今までは雲海より高い山に登らなければ撮れなかったシーンであり撮れるアングルに制限があったが、カメラが空を飛ぶことで自由な位置から撮影が可能となった。いつかはオリンパスからもOM-Dクオリティのカメラが搭載されたドローンが発売されることを願っている。

写真以外に興味あることは?

本格的な動画撮影に挑戦してみたいですね。

映画が好きで、子どもの頃から好きな特撮映画の監督なんてしてみたいです。

子どもの頃、特撮映画の真似事で砂埃を作ったり、釣り糸で怪獣を宙吊りにしたりして、フイルムカメラで怪獣の人形を撮影したりしてました。

いま思うと、あの頃から写真の道に進むことが決まっていたのかもしれません。

今後取り組みたいテーマや目標は?

僕の作品を通じて、いろいろな人に写真に興味を持ってもらったり、写真を始めるきっかけを少しでも多く作る事でしょうか。

僕が岩合さんの写真と出会って、写真を撮り始めたように、僕も誰かのターニングポイントになれたら幸せですよね。

カメラを手にすることで日常が作品になります。身近に存在するさまざまな絶景、シャッターチャンスを探す楽しみを一人でも多くの人に伝えたいです。

チャンスがあればいろいろなジャンルのメディアや雑誌の仕事などにもチャレンジして、より多くの人に作品を楽しんでもらえればと思っています。

写真展の開催や写真集の発売など、告知があればどうぞ

2016年に東京での個展を考えていますが、まだまだ作品を撮りためている最中です。

せっかくなので大きなプリントで作品をじっくり見てもらえるような計画をしています。

発売中のデジタルカメラマガジン 2015年12月号にも、「私がOM-Dを使う理由。」が掲載されています。そこでは木村琢磨さんが、OM-D E-M1による撮影テクニックを解説。ぜひごらんください!

(デジカメWatch編集部)