新製品レビュー
パナソニックLUMIX DMC-GF6
“撮りたい&見せたい”欲求を叶えてくれるパートナー
(2013/5/22 00:00)
パナソニックからマイクロフォーサーズカメラ「LUMIX DMC-GF6」が4月24日に発売されました。執筆時の大手量販店価格はボディ単体で4万9,700円前後、LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.が付いた電動ズームレンズキットが7万2,500円前後、LUMIX G VARIO 14-42mm F3.5-F5.6 II ASPH. MEGA O.I.S.とLUMIX G VARIO 45-150mm F4-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.が付いたダブルズームレンズキットが7万6,800円前後です。
本機は前モデル「LUMIX DMC-GF5」の1,210万画素からさらに有効画素数の増えた1,600万画素Live MOSセンサーと新開発のヴィーナスエンジンを搭載しており、最高ISO25600(拡張設定)の高感度撮影、新搭載のノイズリダクションでざらつきのないクリアな画質、暗い所でもピント合わせが容易なローライトAFで、暗いシーンでも撮影を楽しめると謳っています。
カラーラインナップはブラック、ホワイト、レッドの3種類。レンズキットに付いてくるレンズカラーもボディの色によって変わり、電動ズームレンズキットはホワイトのボディにはホワイト、レッドにはシルバー、ブラックにはブラックのレンズが付き、ダブルズームレンズキットはホワイトとレッドのボディにはシルバー、ブラックにはブラックのレンズが付いてきます。
このラインナップでひときわ目を惹くのは、電動ズームレンズキットのホワイトボディ×ホワイトレンズの組み合わせです。光沢のある明るいホワイトのボディはカメラのゴツさを忘れさせてくれますし、ホワイトのボディはレンズの無機質さを和らげてくれるので、カメラのハードなイメージが苦手な方にもオススメできるセットです。
チルト式タッチパネル液晶搭載で自分撮りも簡単に!
背面モニターは約104万ドットのチルト式タッチパネルになり、上方向に約180度、下方向に約45度傾けることができるようになりました。上方向に傾けるとちょうどレンズの上にモニターが跳ね上がる形になるので、自分撮りや集合写真でのリモコン撮影時に構図の確認がしやすいでしょう。
その代わり、前モデルのGF5よりは幅が約3.5mm、奥行きが約1.6mmほど大きくなっています。撮影時の重量も約56g増えていて、チルト式モニターで便利になった代わりにボディサイズに変更が出てしまった可能性は否めないでしょう。
欲を言えば、ローアングル・ハイアングルの縦撮りのときはこのチルト方式では画面が見えないので、横にも画面が開いてくれればいいのにな〜と思ってしまいました。
便利の一言に尽きる「ファンクションレバー」
ボディのデザインですが、本機はGF3以降の流線型から一転、かなり直線的なシルエットになって登場しました。筆者としてはGF5までの正方形に近いコロンとしたデザインも個性的で好きでしたが、以前のGFシリーズから買い替えを考える場合などは気分転換になっていいのかも!?
また、今回はカメラ上部に変更箇所が多く、GF3からなくなっていたモードダイヤルとファンクションレバーが復活しました。このモードダイヤルのおかげで、今までメニュー階層に潜って変更しなくてはいけなかったクリエイティブコントロールも少ないアクションで設定できてとっても便利になりました。
そして、使うとその便利さから離れられなくなるのがファンクションレバーの存在。電動ズームレンズ装着時にズーム操作の機能を割り当てると、コンパクトデジカメのような気軽な片手撮りも体感できます!
ハナマル評価の高速起動とAF性能
今回新たなウリとなっている高速起動ですが、電源をONにしてから約0.5秒で撮影可能状態になるとのこと。時間を計って試そうと思ったのですが計る時間もないくらい素早い起動でしたので、“テストするまでもない高速起動機”として、ハナマルを贈りたいと思います。
AF性能はGF3の時から感じているのですが、数あるミラーレス機の中でも1位、2位を争うレベルの速さ。合わせやすさだと思います。カメラに不慣れな方でも動き回るペットや子供を撮りやすいのは、カメラの入門機として選ばれることの多いミラーレス機として必要不可欠な条件ですし、本機はそれを十分満たしているでしょう。
Wi-Fiで撮って! 見て! アップする!
本機は無線LAN機能が内蔵されているので、スマホやタブレットと連携してリモート操作で撮影することが可能です。今回は筆者のiPhone 4Sを使用してみましたが、専用アプリの操作もわかりやすく、詳細な撮影設定もスマホ側からできるため、少し離れた所にカメラを設置してのリモート撮影も問題なくできました。
撮影後のTwitterやFacebookへのアップロードも簡単にできるので、一度PCに転送してからアップするという手間がなくなる分、もっと気軽にフォト・シェアライフが楽しめるようになりました。
本当に料理がおいしそうに撮れた「シーンガイド&アドバイス表示」
シーンガイドは、自分が撮りたいイメージを23種類のシーンの中から選ぶだけでカメラが最適な撮影設定にしてくれる機能ですが、GF6ではそこにワンポイントアドバイスも表示されます。カメラ初心者の方はこのモードで色々と撮ってみると、カメラの楽しさに触れられると共に、撮影の知識も身につけられて一石二鳥というおいしい機能です。
また、初心者の方以外でもこのシーンモードの「料理をおいしそうに撮る」はオススメです! このモードは料理を認識して、白いお皿を更に白くするなど料理を引き立てるようなアルゴリズムが入っているそうで、全体を明るくおいしそうに写してくれるとのこと。
実際にこのモードと絞り優先AE(露出補正なし)とで撮り比べてみると……なるほど、納得のおいしそうな写りになりました!
パノラマも動画もOK! 「クリエイティブコントロール」
液晶モニターでフィルター効果を確認しながら適応させることができるクリエイティブコントロールにはGF5の14種類から、新たに「オールドデイズ」、「トイポップ」、「ブリーチバイパス」、「ファンタジー」、「サンシャイン」の5種類が加わって全19種類となりました。
似ているようでも実際に撮ってみると違ったイメージになるフィルター効果が多いので、全種類制覇するのはなかなか大変だとは思いますが、被写体によって色々な効果を試してみるのも楽しいと思います。このクリエイティブコントロールの一部は動画とパノラマ撮影でも使用することができます。
撮影しやすく思わずハマる「コマ撮りアニメ」
GF6には、静止画をつなぎ合わせて“コマ撮りアニメ”を作成する機能が新搭載されています。これがかなり面白い! 動いている物は動画で撮ればいいじゃん、なんて無粋なことは言わないでください。コマ撮りならではのちょっと懐かしいイメージの動画がPCレスで作れてしまうので、かなり夢中になってしまうんです。
コマ撮りのモードにすると、1つ前に撮った画像が撮影画面に表示されている状態で次の静止画を撮影できるので、コマのつなぎ目を考えるのにとても便利でした。今回は子供が動いているところをあえてコマ撮りにしてみましたが、いまどきなら寝相アートを作ってパラパラ漫画風にすると面白そうですね!
・コマ撮りアニメ作例
カメラ目掛けて高速ハイハイ!(H.264 / 960×540 / 約9.3MB)
タッチ操作で不要部分を消去できる「クリアレタッチ」
新搭載の「クリアレタッチ」機能では、撮影画像に写りこんでしまった不要な部分を指でなぞって消去することができます。画像は拡大できるので細かい箇所もそれほど苦なくマスクできますが、指の太い方はタッチパネル用のペンなどを使用したほうがマスクしやすいでしょう。
マスクはタッチした場所の類似色までカバーされるようで、その認識力はなかなかのもの。この小さいカメラに入っているとは思えないほどレベルの高いものでした。
今回はクリエイティブコントロールのサンシャインで撮影した画像をレタッチしてみました。右端に写り込んでしまったボートを消去したところサムネイル上で見る限りは結構綺麗に消えているように見えますが、拡大するとちょっと不自然な部分も……。マスク操作は思った以上にやりやすかったので、今後はこの方向性のまま、画像処理の能力をもっと上げていって頂きたいですね。
まとめ
初めて持つミラーレスカメラとしての機能と利便性を文句なく兼ね備えた本機。贅沢な悩みですが、機能が盛りだくさんすぎて、全てを使いこなすにはちょっと時間が掛かりそうです。それでも、各機能の操作は説明書を見なくても直感的に行なえるものばかりなので、メカに弱い方でも十分扱えると思います。
ファンクションレバーのメリットを活かして片手撮り、クリエイティブスタイルを使ってムードのある作品にして、Wi-FiでTwitterにアップする……そんな欲張りなライフスタイルが楽しめる日常のパートナーとして、優秀な1台と言えるカメラでしょう!
実写サンプル
・ISO感度
通常設定はISO160からISO12800ですが、感度拡張機能を使ってISO25600まで撮影してみました。
長秒ノイズ除去:OFF
ISO1600からノイズが見え始め、ISO6400ではかなりノイジーになってきます。ISO25600は暗くてもどうしても撮りたい・被写体ブレを止めたいときの緊急撮影用ですね。
長秒ノイズ除去:ON
ノイズ除去の効果はISO25600の画像が一番わかりやすいでしょう。ノイズ部分がブラシでなぞられたように柔らかくなっています。そんなノイズ除去の効果のせいか、等倍表示でのノイズはやはりISO1600から薄くみられますが、目立ったノイズはISO3200までありませんでした。
・作例
・動画
サムネイルをクリックすると、元ファイルにリンクします(AVCHD / 1,920×1,080 / 約50MB)。