【新製品レビュー】ソニーα77

〜連写性能だけではない! トランスルーセントミラー採用の中級機
Reported by 河田一規

 ソニーがα55とα33で「トランスルーセントミラー」というアイデアを披露してから約1年。より上級機種となるα77とα65が発表された。今回はα77を試用する機会を得たので使用感などをレビューしてみたい。

α77。レンズはDT 16-50mm F2.8 SSM

 なお、念のためにα77のスペックをざっとおさらいしておくと、撮像素子はAPS-Cサイズの約2,430万画素Exmor APS HD CMOSセンサーを搭載。画像処理エンジンは新型のBIONZ。センサーシフト方式のボディ内手ブレ補正機構、ゴミ取りのアンチダスト機構を装備。EVFは約236万ドットを誇る0.5型有機ELを搭載。液晶モニターは3型ワイド92万ドットで3軸チルト式のフリーアングルタイプ。動画はフルHD60p記録のAVCHD Ver.2.0。といったところだが、最大の特長はなんといっても最高12コマ/秒の超高速連写性能を備えていることだ。

 α55、α33に続くトランスルーセントミラーを採用。一見すると一眼レフのクイックリターンミラーのように見えるが、ほとんどの光はこのミラーを透過して撮像素子へ向かい、ごく一部の光だけがミラーで反射されてボディ上部に仕込まれた位相差AFセンサーへ向かう。つまり位相差AFを動かすためだけにあるミラーなのだが、高速AFや連写中のリアルタイムAF追従など、その恩恵は大きい。なお、トランスルーセントミラーの反射/透過割合は非公開だ。

トランスルーセントミラーを採用。EVFを備えたライブビュー機ながら、既存のαレンズも使用可能だ

見た目と実用面で好バランスなボディプロポーション

 α77は上級機種ということもあり、ボディサイズはα55よりもひと回りほど大きく重くなった。ただし、ボディの厚みだけはα55の84.7mmから80.9mmへと薄型化されている。これはα55ではEVFのアイピース部分がボディ背面からかなり出っ張っていたのに対し、α77ではそれが一般的な一眼レフカメラ並に平面化された故の薄型化である。EVFへ接眼すると必然的にボディへ鼻が当たるので、アイピースはやや出っ張っていた方が使いやすいとも言えるが、眼鏡使用などいろいろ考慮すると、α77のようにあまり出っ張っていない方がトータルでは都合がいいのかもしれない。筆者が使ってみた限りではアイピースが短くなった事によるデメリットはまったく感じなかった。

 また、α55はカメラの幅を相当に短く詰めていた設計だったので、見た目的には厚みが強調されてしまっていたが、α77は全幅が約18mmも大きくなったこともあり、カメラとしてのプロポーションは大幅に改善され、伸びやかなボディスタイルになったと思う。当然、右手側グリップとレンズマウント間の距離もα55より広くなったので、大口径タイプの太いレンズを装着した時でも右手とレンズ鏡胴が干渉してしまう可能性も低くなった。

 正面から見たとき、ボディ両端から内蔵ストロボ部(一眼レフカメラだったらペンタプリズムに相当するところ)へ緩やかにつながるボディラインはなかなかスマートな処理で、ボディデザインは総じてかなり上手くいっていると感じた。まあ、デザインに対する好き嫌いは主観によるところが多いので一概にはいえないけど、ある程度個性的でありつつもアバンギャルドすぎないα77の外観は、多くの人に受け入れられるカタチにまとまっているのではないかと思う。


使い勝手は良好だが惜しい点も

 次に使い勝手だが、これは非常に良好だった。ボタン類は多めだが、いずれもボタンサイズは大きめで、機能表記の文字類も割と大きい。おかげで最近やや老眼気味の筆者でも戸惑うことなく操作できた。操作頻度の高いマルチセレクターも指を置き換えることなく上下左右へ動かせるため、一般的な4方向ボタンより使いやすいと感じた。なお、ボディ左手側上面にあるモードダイヤルはロック機構の無いタイプだが、やや内側に位置することとクリック量が適切なことで、試用期間中に不用意に動いてしまうことは一度も無かった。

 3軸チルト式のフリーアングル液晶モニターもかなり秀逸だ。一般的にフリーアングルモニターは横開き式が多数派だが、このモニターは下ヒンジ式なのでレンズ光軸からあまり離れない位置に液晶モニターを展開できるの魅力。下ヒンジ式だと三脚使用時に雲台に当たってしまって使いにくいという弱点も、もうひとつのヒンジを使って画面を手前へ引き出すことでクリアしている。これなら三脚使用時も快適にフリーアングルモニターを活用できるはずだ。

 といった具合で、操作面のハードウェアに関してはほとんど文句はない。3軸チルト式モニターなど、他社にはないアイデアを盛り込んでいるのはさすがソニーである。しかし、操作のソフト面では問題もある。それは操作入力に対する反応が遅いということ。例えば絞り優先AEで絞り値を変更した場合とか、プログラムAEでプログラムシフトを行った時、ダイヤルを動かしてもリアルタイムで反応せず、2テンポくらい遅れて表示が動き始めるのだ。

 特にイライラしたのは露出補正のとき。筆者は素早く操作できるよう、後ろダイヤルのみの操作でダイレクトに露出補正できるようカスタム設定していたのだが、操作しても補正量表示がすぐに変わってくれないのは結構イライラする。思わず「あれ? 操作しそこねたかな」と思ってさらにダイヤルを回して、過補正状態になってしまうこともあった。

 こういうレスポンスの悪さはエントリー機などではたまにあるが、一般的なミドルクラス機であれば、間髪を入れず反応してくれるのが普通なので、できればファームウェアアップグレードなどで改善して欲しいところだ。加えて言えば電源を入れた時の起動速度や、スリープからの復帰速度もできればもうちょっと高速化して欲しい。

十字キーに変わるマルチセレクターは指先を移動することなくちょっと傾けるだけでスピーディに操作可能。センタープッシュも可能ボタンが大きめなのに合わせて表示文字も大きく見やすく操作性は良好。右手のグリップを邪魔しない位置にレイアウトされている
一眼レフカメラのα700では省略されていたボディ上面のステイタス表示液晶が復活。ミドルクラスになるとやっぱりこれは有った方が何かと便利左手側にあるモードダイヤル。ロック機構はないが、不用意には回りにくい構造。その下にあるMENUボタンは手探りで容易に押せる位置にある
AFモードを切り替えるロータリースイッチ。こちらは試用中に一度だけ動いてしまったことがあった。指が当たったのだろう3軸チルト式液晶モニターはレンズ光軸に近い位置で展開可能
単なるチルト式ではなくフリーアングル可能なので、タテ位置でもハイアングルやローアングルポジションに対応できる内蔵ストロボは撮影モードによっては自動ポップアップする。ガイドナンバーは12。実焦点距離で16mmの画角をカバーする
露出補正を後ダイヤルのダイレクト操作に変更しているところ。これにより本当なら素早い露出補正が可能になるはずなのだが……

コントラストが高く違和感が少ないEVF

 高速連写性能と並ぶα77の大きなトピックが有機ELを使ったEVFだ。同社のNEX-5N用オプションの外付けEVFに使われているものと同じと思われる約236万ドットの0.5型有機ELだが、α55が搭載していた約144万ドットの0.45型EVFに比べてコントラストの高いメリハリのある描写が非常に好ましい。現時点でEVFとしてはドット数も最高で、きめ細やかな解像感は文句なし。ピントの合焦具合も確認しやすい。もちろん、EVFならではの大きなデメリットである表示遅れはあるはずだが、通常撮影ではほとんど気にならないレベルまで短縮されている。

 筆者はファインダーに関してはかなり保守的というか、光学ファインダーの大ファンなのだが、それでもこのEVFの素晴らしさは認めないわけにはいかない。光学ファインダーに対するEVFのメリットとしては、露出状況や色味が撮影前にシミュレートできることがよく言われているが、個人的には撮影からクイックビューの確認まで接眼したままで行なえることがEVF最大のメリットと感じる。これに慣れると撮影後に液晶モニターをチラッと見て確認する、あのデジタル一眼レフカメラならではの作法は無駄に思えてしまうほど。

 ところで、α77ではEVFと液晶モニターの切り替えはEVF接眼部に仕込まれたセンサーを使い、アイピースに目を接近させると液晶モニターからEVFに自動切り替えされるモードがデフォルトだが、これを手動で液晶モニター固定、もしくはEVF固定にすることもできる。ただし、EVFに固定した場合も接眼センサーは機能していて、接眼しているときだけEVFを点灯させ、接眼していない時以外は節電のためにEVFは消灯する。このとき、アイピースに接眼するとただちにEVFが点灯するのだが、点灯するまではほんの少しだけ(コンマ何秒くらいか?)間がある。通常の撮影ではこの「間」は問題にならないが、シビアなシャッターチャンスの場合はやや注意が必要だ。

接眼部のレンズはもちろんコーティングされている。上部にある四角い窓が接眼センサー。非常にコントラストの高い見え方はもしかすると好き嫌いが分かれるかも知れないが、瞬間的に被写体を判断しなければならないファインダーの見え方としてはマッチしていると思う

電池と記録メディア、オプションについて

 α77の電池はNP-FM500H。いわゆるinfoリチウムのMサイズ。メーカーの公称撮影可能枚数はCIPA基準でEVF使用時が約470枚、液晶モニター使用時が約530枚となっている。最近のミドルクラス一眼レフカメラに比べるとやや撮影可能カット数は少ないが、なにしろ常時ライブビュー機であるわけで、これは妥当な数字だろう。

 今回の試用ではほとんどEVF使用、内蔵ストロボ不使用のRAW+JPEGという撮影スタイルで、約550カットの撮影が可能だった。公称値よりも上回ったのは内蔵ストロボ不使用のためだろうが、220カット以降はGPSもオンにしたことを考えると、この電池のライフはなかなか立派だ。

 記録メディアはメモリースティックPROデュオ、同PRO-HGデュオの他、SDXC/SDHC/SDカードも使用可能。SDHC/SDXCの場合は高速書き込み規格のUHS-1にも対応している。なおメモリースティック系とSDカード系はひとつのスロットにどちらか一方だけを使えるタイプで、メモリースティック系とSDカード系の両者を同時に使うことはできない。

 また、α77にはオプションでタテ位置グリップVG-C77AMも用意される。このタテ位置グリップにはNP-FM500H電池が2本同時に装填できる他、グリップ側にもマルチセレクターを始めとする各種操作系を装備しているため、タテ位置撮影でもヨコ位置時と同じ快適操作が可能だ。一般的にこのようなタテ位置グリップを装着する場合、ボディ本体の電池蓋を一旦外す必要のあるカメラが多いが、α77の場合は電池蓋を外すことなく装着できるのが便利だ。これなら脱着も容易だし、電池蓋を紛失してしまう心配もない。

α77に付属するリチウム電池のNP-FM500Hとチャージャー。残量はボディ上部のステータス液晶で1%刻みで確認できる。チャージャーはコンセント直差しタイプで比較的小型なもの記録メディアはメモリースティックPROデュオ、同PRO-HGデュオの他、SDXC/SDHC/SDカードのいずれか
タテ位置グリップVG-C77AMを装着したα77。タテ位置シャッターがやや低めの位置に付く同社ならではのスタイル主要な操作ボタンはタテ位置グリップ側にも装備される。タテ位置撮影が多くなりがちなポートレート系では便利そうなオプションだ
タテ位置グリップにはリチウム電池NP-FM500Hを1本または2本装填可能
タテ位置グリップに加えて外付けストロボのHVL-F43AMを装着したところこのストロボはやや大柄だが、バウンスのセットアップはどのメーカーのものよりも操作しやすい

使い勝手のよい新標準ズーム

 α77と同時に発表されたDT 16-50mm F2.8 SSMは、待望のAPS-Cサイズ機専用大口径標準ズームレンズ。いままでの同社のAPS-C機用標準ズームはDT 18-55mm F3.5-5.6 SAM、DT 16-105mm F3.5-5.6、Vario-Sonnar T* DT 16-80mmF3.5-4.5 ZAなど、いくつも用意されていたのだが、いずれも小口径〜中口径クラスばかり。ズーム全域F2.8を望むと高価で重いフルサイズ対応のVario-Sonnar T* 16-35mmF2.8 ZA SSMしかなく、手頃な価格で買える今回のDT 16-50mm F2.8 SSMのようなレンズを心待ちにしていたαユーザーも多いだろう。このレンズはまさにα77と相性ピッタシなレンズで、画質はもちろん、使用フィーリング的にも満足度の高い1本といえる。

 広角位置で固定できるズームロック付きだが、ズーミングが重めなこともあって、ロックをしなくても携帯時に勝手にズーミングしてしまうことはほとんどなく、使い勝手は上々だ。

α77のキットレンズにも設定されているDT 16-50mm F2.8 SSM。待ち望んでいた人も多いはず
ズームでの鏡胴伸縮はこの程度。ズームロックも装備されている。鏡胴はやや太め

ハイスペックな動画機能を搭載

 α77は最高1,920×1,080ピクセル、60p記録でAVCHD Ver.2.0対応の動画撮影が可能だが、それとは別にパソコンでもハンドリングしやすいMP4形式も選択できる。ただし、その場合は解像度が最大1,440×1,080ピクセルになり、フレームレートも最大30fpsになる。

動画の設定画面。モードダイヤルを動画位置にしたときの露出モードをここで設定する

 なお動画モードでも露出制御はプログラム、絞り優先、シャッター速度優先、マニュアルから選択可能。作例動画はプログラムと絞り優先で撮ったものだが、動きモノの場合、シャッター速度の違いでこれだけ写り方が変わってくる。いずれもMP4で撮影している。

  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
【動画】プログラムだとシャッター速度が速くなりすぎ、動きがパラパラする。約25.9MB / 1,440×1,080 / H.264 / MP4
【動画】絞り優先で絞り込み、シャッター速度を遅くして動きを自然に。約24.4MB / 1,440×1,080 / H.264 / MP4

超絶!高速連写機能

 α77最大のウリが12コマ/秒という高速連写性能だ。一眼レフカメラだったらハイエンドモデルでしか成しえない高速連写機能を、この価格帯で実現できてしまうのがトランスルーセントミラーのすごいところ。しかも、一眼レフカメラの場合はミラーが上がっている瞬間はAF測距が行なえないのに対し、トランスルーセントミラーなら撮影中も常に位相差AFセンサーに光が導かれるため、連写中でもAF測距が途切れないのも大きなメリットだ。

 なお、この12コマ/秒はモードダイヤルを連続撮影優先AEポジションにしたときにのみ機能する。通常のプログラムAEや絞り優先AE時などに連写モードを高速にしても最高8コマ/秒にしかならないので注意が必要だ。

 実際に使ってみると、12コマ/秒で連写できる最大枚数は、JPEGエクストラファインで13枚、JPEGファインで17枚、RAWで13枚、RAW+JPEGで11枚までという制限があり、それ以上撮るとバッファ開放ごとに随時撮影可能状態となる。このため、連写機能に頼り切ってダラダラ撮るような撮り方ではダメで、ある程度はシャッターチャンスを見極める必要がある。いずれにせよ、野鳥やスポーツ撮影などでは使いごたえのある機能といえるだろう。


高画素化による弊害を感じさせない高感度画質

 α77の撮像素子はAPS-Cサイズとしてはもっとも高画素となる約2,430万画素Exmor APS HD CMOSセンサーだ。今までのソニー製APS-Cサイズ撮像素子は約1,600万画素だったから、一気に画素数がUPしたことになる。

 そこで気になるのは1画素当たりの面積縮小による高感度画質やダイナミックレンジの低下だ。今回は直接比べたわけではないのでハッキリしたことはいえないが、感覚的には高感度画質はNEX-5Nの約1610万画素CMOSセンサーよりも若干落ちるくらいで抑えられているという印象だ。これだけ高画素で画素ピッチが小さい割には高感度画質はかなり頑張っているといえる。

 さすがに拡張時最高感度のISO16000はそれなりにノイジーだが、ISO3200までならノイズリダクションによるディテール損失もそれほど大きくはなく、十分実用範囲内だと感じる。ノイズ量に対する許容度は個人の考え方次第なので、寛大な人ならISO6400でも全然OKという場合もあるだろう。

ノイズリダクション設定画面。高感度ノイズリダクションは「弱」「標準」「強」から選択できる

 感度を上げていっても輝度ノイズが増えるだけでカラーノイズがほとんど発生しないチューニングは好ましいし、ISO6400以上でもカラーバランスの変化が小さいのもよい点だ。ちなみに高感度時のノイズリダクションは「弱」「標準」「強」の3段階で、オフという選択肢はないが、いずれのポジションでもISO3200以上はノイズリダクションの介入がやや大きめとなり、ディテール損失が目に付くようになってくる。ノイズリダクションの初期設定は「標準」だが、個人的には「弱」でも効果は十分と感じる。

 なお、どうしても超高感度で撮らなければならない場合、ISO16000の通常撮影を行なうよりは、モードダイヤル上でシーン→手持ち夜景モードを選択した方が低ノイズで高画質な撮影が行なえる。ただし、手持ち夜景モードは複数枚撮影を行なってそれを自動位置調整で重ねるため、静止した被写体に限られる。

手落ち夜景モードはシーンモードから選択可能。連続して複数枚撮影し、それをソニー独自の自動位置合わせ機能を使って1枚の画像に合成する

高い解像感による精緻な描写

 通常感度における画質に関しては、高画素だけあって解像感の高い精密な描写を堪能できる。新しい画像処理エンジンのおかげか、ダイナミックレンジが狭いという印象もなく、飽和しやすい色味の再現性もきわめて良好だ。

 ただし、これだけ高画素になるとレンズに対する性能要求度も当然ながら高くなる。今回主に使用したキットレンズのDT 16-50mm F2.8 SSMはさすがに問題のない安定した描写を見せてくれたが、並行して使ったミノルタ時代の75-300mm F4.5-5.6は、レンズ周辺光量・収差補正に現在のところ対応していない。そのため解像性能はそれほど問題ないものの、条件によっては高輝度部に派手に色収差が発生することがあった。

 現在レンズ周辺光量・収差補正に対応しているレンズは、DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM、DT 55-200mm F4-5.6 SAM、DT 18-250mm F3.5-6.3、DT 16-50mm F2.8 SSMのみ。その他のレンズはアップデートにより順じ対応する予定という。

レンズ補正に関する各種補正設定画面。デフォルトでは周辺光量と倍率色収差は「オート」になっているが、画角に影響する歪曲収差は「切」になっている。自動補正に非対応のミノルタ75-300mm F4.5-5.6で撮影。高輝度部の色収差がすごい。α77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約9.0MB / 6,000×4,000 / 1/2,500秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 300mm

連写が必要ない人にもオススメの「撮る気になる」カメラ

 普段、錆びた看板などが主要被写体な筆者にとって、仕事の撮影以外で高速連写する機会はほとんどない。それゆえ、トランスルーセントミラー採用機であるα77にはそれほど大きな興味は持てないでいた。これほどの連写機能を必要としないなら、同じ2,400万画素でもNEX-7の方が自分にはマッチするのではと考えたからだ。

 しかし、今回α77を試用して、その考え方は多分に間違っていたことを思い知った。たとえ連写しなくても、α77は相当にいいカメラなのだ。個人的に「いいカメラ」の条件は機能や性能よりも、手にした時に「撮る気にさせてくれる」ことが最重要だと考えているのだけれど、このα77は実にその気にさせてくれる1台だったのだ。今まで自分の撮影スタイルには合わないと考えていただけに、これほどマッチしてしまうとは……正直、想像外であった。

 連写性能を活かしたスポーツ撮影に強いのはもちろんだが、実は風景からスナップ、ポートレートまで、万能的に対応できる資質を備えたカメラであり、多くの人にオススメできる。筆者のように食わず嫌い的な視線でα77を眺めていた人は、ぜひ手にとって試して欲しい。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・0EVの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・12コマ/秒の高速連写

共通データ:RAW+JPEGで撮影。α77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約8.7MB / 6,000×4,000 / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 300mm


・感度
ノイズリダクション:標準 / ISO50 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約16.6MB / 6,000×4,000 / 1/1.6秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:標準 / ISO100 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約17.2MB / 6,000×4,000 / 1/3秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:標準 / ISO200 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約16.9MB / 6,000×4,000 / 1/6秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:標準 / ISO400 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.9MB / 6,000×4,000 / 1/13秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:標準 / ISO800 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.9MB / 6,000×4,000 / 1/25秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:標準 / ISO1600 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約13.7MB / 6,000×4,000 / 1/50秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:標準 / ISO3200 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.1MB / 6,000×4,000 / 1/100秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:標準 / ISO6400 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.6MB / 6,000×4,000 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO6400 / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:標準 / ISO12800 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.9MB / 6,000×4,000 / 1/400秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:標準 / ISO16000 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.4MB / 6,000×4,000 / 1/500秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm

ノイズリダクション:弱 / ISO50 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約16.9MB / 6,000×4,000 / 1/1.6秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:弱 / ISO100 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約17.6MB / 6,000×4,000 / 1/3秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:弱 / ISO200 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約17.0MB / 6,000×4,000 / 1/6秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:弱 / ISO400 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.7MB / 6,000×4,000 / 1/13秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:弱 / ISO800 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.7MB / 6,000×4,000 / 1/25秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:弱 / ISO1600 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.4MB / 6,000×4,000 / 1/50秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:弱 / ISO3200 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.5MB / 6,000×4,000 / 1/100秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:弱 / ISO6400 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.1MB / 6,000×4,000 / 1/200秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:弱 / ISO12800 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約16.2MB / 6,000×4,000 / 1/400秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:弱 / ISO16000 / α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.8MB / 6,000×4,000 / 1/500秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm

ノイズリダクション:強 / α77 / ISO50 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約16.2MB / 6,000×4,000 / 1/1.6秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:強 / α77 / ISO100 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約16.9MB / 6,000×4,000 / 1/3秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:強 / α77 / ISO200 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約16.4MB / 6,000×4,000 / 1/6秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:強 / α77 / ISO400 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.7MB / 6,000×4,000 / 1/13秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:強 / α77 / ISO800 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.4MB / 6,000×4,000 / 1/25秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:強 / α77 / ISO1600 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約12.9MB / 6,000×4,000 / 1/50秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:強 / α77 / ISO3200 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.7MB / 6,000×4,000 / 1/100秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:強 / α77 / ISO6400 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約14.2MB / 6,000×4,000 / 1/200秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm
ノイズリダクション:強 / α77 / ISO12800 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.5MB / 6,000×4,000 / 1/400秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mmノイズリダクション:強 / α77 / ISO16000 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約15.1MB / 6,000×4,000 / 1/500秒 / F8 / 0EV / WB:電球 / 50mm

・手持ち夜景モード

 ISO16000の通常撮影と手持ち夜景モードを撮り比べてみた。手持ち夜景モードの場合、撮影感度はカメラが自動的に決めるが、この撮影条件ではISO6400となった。

ISO16000での通常撮影。α77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約13.5MB / 6,000×4,000 / 1/50秒 / F5.6 / -1.0EV / ISO16000 / WB:オート / 230mm手持ち夜景モード。α77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約10.0MB / 6,000×4,000 / 1/10秒 / F5.6 / 0EV / ISO6400 / WB:オート / 160mm

・作例
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約5.3MB / 6,000×4,000 / 1/250秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート / 24mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約4.7MB / 6,000×4,000 / 1/8000秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 16mm
α77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約5.6MB / 6,000×4,000 / 1/640秒 / F9 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 110mmα77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約7.5MB / 6,000×4,000 / 1/800秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 250mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約5.8MB / 6,000×4,000 / 1/640秒 / F9 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 160mmα77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約7.1MB / 6,000×4,000 / 1/640秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 160mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約5.1MB / 6,000×4,000 / 1/2,000秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 50mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約5.6MB / 6,000×4,000 / 1/1,000秒 / F8 / -1.3EV / ISO100 / WB:オート / 30mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約6.6MB / 6,000×4,000 / 1/1,000秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 16mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約6.4MB / 4,000×6,000 / 1/800秒 / F7.1 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 35mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約10.1MB / 6,000×4,000 / 1/500秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 24mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約10.6MB / 6,000×4,000 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約4.2MB / 6,000×4,000 / 1/250秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 35mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約5.2MB / 6,000×4,000 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO1250 / WB:オート / 300mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約10.7MB / 4,000×6,000 / 1/320秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 16mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約4.6MB / 6,000×4,000 / 1/5000秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
α77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約6.0MB / 4,000×6,000 / 1/320秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO1600 / WB:オート / 200mmα77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約5.4MB / 6,000×4,000 / 1/320秒 / F5.6 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 300mm
α77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約4.2MB / 6,000×4,000 / 1/4,000秒 / F11 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 90mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約10.4MB / 6,000×4,000 / 1/320秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 50mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約4.7MB / 4,000×6,000 / 1/125秒 / F3.2 / -1.3EV / ISO250 / WB:オート / 50mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約9.4MB / 6,000×4,000 / 1/80秒 / F4.5 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 16mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約6.3MB / 6,000×4,000 / 1/250秒 / F8 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 16mmα77 / 75-300mm F4.5-5.6 / 約4.2MB / 6,000×4,000 / 1/500秒 / F9 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 160mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約12.1MB / 6,000×4,000 / 1/200秒 / F6.3 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート / 50mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約12.1MB / 6,000×4,000 / 1/100秒 / F5 / -0.3EV / ISO3200 / WB:オート / 16mm
α77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約13.0MB / 6,000×4,000 / 1/20秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO3200 / WB:オート / 16mmα77 / DT 16-50mm F2.8 SSM / 約12.6MB / 4,000×6,000 / 1/80秒 / F4.5 / -1.0EV / ISO6400 / WB:オート / 22mm

【2011年10月26日】レンズ周辺光量・収差補正について追記しました。75-300mm F4.5-5.6が未対応である旨を記述し、現在対応しているレンズについて追記しました。





河田一規
(かわだ かずのり)1961年、神奈川県横浜市生まれ。結婚式場のスタッフカメラマン、写真家助手を経て1997年よりフリー。雑誌等での人物撮影の他、写真雑誌にハウツー記事、カメラ・レンズのレビュー記事を執筆中。クラカメからデジタルまでカメラなら何でも好き。最初に買ったデジカメはソニーのDSC-F1。

2011/10/26 00:00