新製品レビュー

ソニーα6300(実写編)

パワーアップしたAPS-Cミラーレスの実力をチェック

ソニーのミラーレスカメラといえば、35mmフルサイズのα7シリーズに目がいきがちだが、APS-Cサイズも忘れてはいませんよ、というソニーのやる気を感じることができるニューモデルがα6300だ。

見た目は従来のα6000とほとんど同じだが、AFやEVF(電子ビューファインダー)、動画機能の強化、防塵・防滴のマグネシウム合金ボディの採用など、さまざまな部分で進化している。そんなα6300の実写でのインプレッションをお届けする。

遠景の描写

レンズキットには電動ズームのE PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSが同梱されている。今回は、Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSSとSonnar T* E 24mm F1.8 ZAも試用した(結果的に、E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSの出番が減ってしまったのだが)。

実写は、初期設定どおり、レンズ補正(周辺光量補正、倍率色収差補正、歪曲収差補正)をすべて「オート」にして行なっている(絞り込んだときに問題になる回折現象による解像感の劣化を補う回折低減処理についてはオンオフの選択ができない)。

キットレンズのE PZ 16-50mmでの撮影。広角端のタル型の歪曲収差がかなり大きいレンズで(自動補正されているから気になったりはしないが)、そのせいか、四隅はややアマさが目立つ。が、それ以外は大きな不満は感じない。携帯性の高さも考えれば、よくできたレンズだと思う。

E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSは、どちらかというと、携帯性を重視したコンパクトタイプの標準ズームだが、有効2,420万画素の本機でもあまり力負けはしていない。ピクセル等倍で見ると、広角端で四隅のアマさが気になるものの、それ以外はまずまずの描写が楽しめる。

E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSSを装着した状態。

α6000と同じく撮像素子には光学ローパスフィルターを採用しており、画素数が同じローパスフィルターレス機と比べると、もう少しキレ感がほしい気もしなくはないが、解像感としては良好といっていい。

ISO感度

感度の設定範囲はISO100からISO25600。拡張感度はその上の最高ISO51200までの範囲となる。設定は1/3段ステップで、1段ステップへの変更はできない。「高感度NR(ノイズリダクション)」は「標準」の状態で試用した。

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600
ISO51200(拡張)

ピクセル等倍で見ても不満を感じないのはISO800までで、わずかにディテール再現が悪くなって立体感が弱まっているものの、ノイズ感はまったくなく、十分な高画質といえる。

ISO1600ではノイズ低減処理の影響で、わずかにもやがかかったような描写になり、ISO3200では平坦な部分にざわっとした感じが出てくる。が、まずまず良好な画質を保っているといえ、あまり大きくさえしなければ、そこそこ実用に耐えそうな印象だ。ISO6400になると、ディテール再現はだいぶ悪くなるが、カラーバランスや彩度、コントラストなどは保たれる。

ISO12800まで上げるとやや発色が浅くなり、ディテールもかなり悪くなってしまうので、ここから上は非常用と考えたほうがいいだろう。

直接比較はしていないので断定はできないが、印象としては、α6000に比べて、1段分とはいかないまでも、よくはなっているように思う。

AFと連写

撮影は、Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSSの望遠端(105mm相当)で絞り開放、絞り優先AE。ピント合わせはAF-C(コンティニュアスAF)、フォーカスエリアモードはロックオン:拡張フレキシブルスポットという条件で行なった。最高速11コマ/秒の連写「Hi+」と、8コマ/秒のライブビュー連写となる「Hi」の両方で試してみた。

Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSSを装着した状態。

α6000のファストハイブリッドAFがかなりよかったこともあって、格段に進化したという印象はない。425点にスペックアップしたといっても、カバーエリアはα6000の179点測距でも十分に広かったし、スピードはレンズのフォーカス用モーターの能力次第だ。となれば、大きく印象が変わることはない。

ミニレポートでα6000のAF性能をチェックしたときとは被写体のスピードもレンズも違うので細かいことはいえないが、ピントの歩留まりはかなりいい感じである。最初、「AF-C時の優先設定」を初期設定の「バランス重視」で撮ったときは、ピクセル等倍で見て、ピントをはずしたカットが少なくなかったが、「フォーカス優先」でも撮ってみたところ、ピントのアマいカットがぐっと減った。

数字はあえて伏せるが(条件がかなり違うので、数字だけ比べても意味がないからだ)、ピクセル等倍でもピントが合っていると見なせる「○率」が高くなっているように感じた。それでも、Exif情報を見ると、「Hi+」では11コマ/秒、「Hi」で8コマ/秒のスピードで連写できているので、もう少し合焦判定の基準をきびしくしてもいいのではないかと思う。

連写サンプル(8コマ/秒)

気になったのは「Hi+」と「Hi」での連写中のファインダー像の見え方の違い(外観・機能編に比較動画あり)。前者は、撮影した画像(ポストビュー映像)が連続で表示される。リアルタイムの映像ではないため、激しい動きに即応するには不利となるが、暗転がなくて見やすい。

一方、後者は、8コマ/秒で連写しながらライブビュー映像を見せてくれるモードで(たぶん、露光と露光の合間のライブビュー映像を表示するのだろう)、表示のタイムラグが短いのはいいが、いちいち暗転するのがうとましく感じられる。

個人的には、「Hi+」同様の暗転なしの表示方式(フリーズ画を連続で表示する)のほうが見やすくていいような気がする。まあ、それはそれで別の問題があるのかもしれないので無理はいわないことにするが。

動画機能

α6000の動画機能はフルHD、60p、ビットレートは最高約28Mbpsだったのが、本機は4K(3,840×2,160ピクセル)、30p、約100Mbpsにスペックアップしている。

4K動画をフル解像度で鑑賞できる環境がないので、フレームを切り出してチェックしてみたところ、解像感は十分に高く、情報量が豊富な印象だ。

フォーカスエリアモードは「ワイド」、動画の「AF駆動速度」と「AF追従感度」は初期設定の「標準」の状態では、車両前面が画面からはみ出るぐらいにまで近づくと、さすがにピントが合わせきれなくなってしまうが、これは設定を「高速」「高」に切り替えれば改善するかもしれない。

その他の作例

いちばんうれしかった改善点は、水準器が内蔵されたことだったりする。もちろん、ほかにもよくなったところはたくさんあるが、個人的にはこれが大きい。

Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS / ISO400 / F6.3 / 1/160秒 / -1EV / 70mm(105mm相当)

拡大表示のままシャッターが切れるようになったのもあげておきたい。α6000では半押しで全画面表示に切り替わる仕様だったが、本機は半押し状態でも拡大表示のままなので、しっかりピントを見ながら撮れる。手持ちでの近接撮影が快適になる。

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA / ISO100 / F2 / 1/1,000秒 / -0.7EV / 24mm(36mm相当)

35mmぐらいの画角は個人的に好きなこともあって、Sonnar T* E 24mmは、けっこう使い勝手がいい。あまりお安くないのは難点だが、絞りを開けたときのふわっとした雰囲気と、絞ったときのシャープな描写を使い分けられるのが楽しい。

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA / ISO100 / F7 / 1/80秒 / -1.7EV / 24mm(36mm相当)

高感度はα6000より少しよくなっているようで、ISO3200でもあまり大きくプリントしないならそこそこ使えそうな印象。ISO1600ならわりと気軽に常用できると思う。

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA / ISO1600 / F2.5 / 1/100秒 / -0.3EV / 24mm(36mm相当)

E PZ 16-50mmの望遠端。キットで買うと税別1万5,000円ほどで手に入れられるエントリークラスの標準ズームだが、写りは価格以上だし、携帯性もいいのでスナップなどには重宝する。

E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS / ISO100 / F8 / 1/1,000秒 / -2.3EV / 50mm(75mm相当)

初期設定どおり、「周辺光量補正」「倍率色収差補正」「歪曲収差補正」の3項目とも「オート」で撮影したが、周辺光量が落ちたほうが絞り開放っぽくてよかったかもしれない。

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZA / ISO100 / F1.8 / 1/800秒 / -0.3EV / 24mm(36mm相当)

ISO感度オートで「標準」設定で撮ったカット。外観・機能編でも書いたが、広角系は1/60秒、標準〜望遠系は「1/フルサイズ換算焦点距離」のシャッタースピードで感度が上がりはじめる。

Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS / ISO250 / F4 / 1/100秒 / -2.3EV / 64mm(96mm相当)

Vario-Tessar T* E 16-70mmは開放F値を欲張っていない分、大きさも重さもほどほどで、本機の標準ズームとしてもいいバランスだと思う。E PZ 16-50mmに比べるとぐっとお高いしかさばることもあるが、頑張って手を伸ばす価値はある。

Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS / ISO100 / F8 / 1/80秒 / +0.3EV / 16mm(24mm相当)

まとめ:求める機能で選ぼう

外観・機能編」にも書いたように、もっとも気になるのは、α6000との価格差だろう。正直なところ、低感度での静止画の画質は同レベルといってよさそうだし、高感度での画質の差もけして大きくはない。あまりスピードの速くない被写体であれば、α6000のAFでも十分に対応できる。

が、マウントアダプターLA-EA3(トランスルーセントミラーを使っていないほう)を併用してAマウントレンズを使うときに、像面位相差検出AFが使えるかどうかという違いは大きいし、4K動画が撮れるというアドバンテージもある。という部分に、どれぐらい魅力を感じるかが選択の決め手となるのではないかと思う。

Sonnar T* E 24mm F1.8 ZAを装着した状態。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら