新製品レビュー
OLYMPUS STYLUS 1S(外観・機能編)
OM-Dライクな“手のひらサンニッパ”
桃井一至(2014/12/26 07:00)
「OLYMPUS STYLUS 1」が約1年を経て、STYLUS 1Sへとモデルチェンジした。モデルチェンジと言っても、実際には基幹部をそのままに外装細部とソフト廻りが中心の小変更。よってSTYLUS 1に遡って案内していこう。
「手のひらサンニッパ」としてデビューしたSTYLUS 1は、35mm換算28-300mmズームレンズに開放F値がF2.8固定という、コンパクトカメラとしてはセンセーショナルなスペック。操作系はミラーレススタイルを踏襲したもので、デザインモチーフもOM-Dを彷彿とさせるものだ。言わばミニOM-Dがコンセプトの高倍率オールインワンモデルだ。
一応、「サンニッパ」を解くと、80年代に憧れの35mm一眼レフ用交換レンズとして人気の高かった「300mm F2.8」が語源。大きな前面レンズや当時としては珍しかった白い鏡筒(黒の製品もあった)、アップ撮影では背景が大きくボケることなどから、カメラファンの垂涎レンズだった。
STYLUS 1はそれと同等のテレ端300mm相当(35mm換算)F2.8を実現、小型サイズゆえに「手のひらサンニッパ」のコピーがつけられていた。ただ残念ながら、F値はF2.8だが、本来の焦点距離は望遠時64.3mmと1/1.7型センサーの組み合わせで、画角は同じでもボケ量は本家サンニッパに及ばないので、念のため。
発売当初は高級コンパクトデジタルカメラにおいて、センサーの大型化が話題になり始めたころ。さらなる大型センサーは検討しなかったのかと、開発者に合う機会に尋ねたところ、「もちろん検討しなかったわけでないが、レンズが大きく、重くなり自分たちの狙いとずれる。また1/1.7型センサーの特性も良好」という理由で、それほど迷うこと無く決行したそうだ。
ステップズームやピーキング機能を搭載
STYLUS 1からSTYLUS 1Sへのおもな変更点は、
- ステップズーム(28/35/50/70/85/100/135/200/300mmの9段階)の搭載
- AFエリアにスモールターゲットの追加
- MFアシストにピーキング表示の追加
- インターバル撮影の追加
- ワイドコンバーター(WCON-08X)への対応
- 付属電池の大容量化による撮影可能枚数増加(約410枚から450枚へ)
- グリップやダイヤルデザインの変更
などだ。
カラーバリエーションの追加もなく、正直なところ、遠目には変わったようには見えない。
撮像センサーは前述のとおり、約1/1.7型CMOSセンサーで、有効画素数は1,200万画素。
レンズは10群12枚(非球面9面)、35mm換算28-300mm相当の10.7倍ズームを誇る。さらにデジタルテレコンにて2倍の望遠とオプションのワイドコンバージョンレンズWCON-08Xで22.4mm相当(35mm換算)、テレコンバージョンレンズTCON-17Xで510mm相当(同)にできる。
手ブレ補正機構はレンズシフト式で、最短撮影距離はレンズ先端より、広角時が10cm、望遠時が80cm、AF方式切り替えにより広角時のみスーパーマクロで5cmに対応する。
電源オンと同時に約3cm鏡筒が延伸。最望遠時には4.4cmほどに繰り出すが、厚さ52mmのボディに、このパフォーマンスを積み込んだのには感心する。
なおフィルターネジは設けられず、鏡筒外のハイブリッドコントロールリング内にオプション装着用の溝がある。
ほかにもレンズ周辺部には電動ズーム用のサイドズームレバー、フラッシュスイッチのほか、ファンクション2ボタン、MFやズーム駆動を切り替えるコントロールレバーが設けられている。
ファインダーは144万ドットの電子ビューファインダー。画面サイズも大きく、コントラストも良好。アイセンサーも採用して、背面モニターとスムーズに切り替えられる。非可倒式だが視度調整機能も備えて、いわゆるレンズ交換式カメラらしいスタイルで撮影を楽しめる。
タイムラグは多くのミラーレスカメラと同等程度と感じるが、よほど高速の被写体を高倍率で撮らない限り、困ることはないだろう。
背面モニターは約104万ドット、3型。上に80度、下に50度に可倒するタッチパネルタイプだ。
持ちやすいデザイン
本体は小柄だが中指側の前面グリップと親指側の背面グリップの形状が絶妙で、手にした感じは良好だ。左手にはサイドズームレバーとハイブリッドコントロールリングが位置するが、ハイブリットコントロールリングと上面のサブダイヤルの多彩な割り当てをうまく使いこなすのが、本機を操作する上ではキモになる。
またファンクションボタンやコントロールレバーもあり、設定に迷うほど。気になったら、少しずつカスタムを加えて、自分好みに仕上げていくのがおすすめだ。
オートフォーカスは35点式のコントラストAF。本モデルより、OM-Dなどで先行採用していたスモールAFターゲットに対応して、画面内をピンポイントでピント合わせ可能としている。またMF用にフォーカスピーキング(黒、白選択式)の対応も追加された。
OM-Dに似た操作性
ドライブ関連では、約7コマ/秒を実現。高速で動く被写体をAFで追うのは、得意とするほうでないが、日常的なシーンならば、特に不満を覚えることはないだろう。
操作全般はOM-D系に似たもので、ボタンの配置などは若干違うが、LVコントロールやLVスーパーコンパネのように、OKボタンと十字キーで撮影時の主な操作は可能。PENやOM-Dユーザーであれば、違和感なくスムーズに操作できるはずだ。