新製品レビュー

ニコンCapture NX-D

無料になったニコン純正RAW現像ソフト

Capture NX-Dは、今年2月からベータ版が公開されていたニコン純正のRAW現像ソフトで、この7月に正式版がリリースされた。従来のCapture NX 2が有料で販売されていたのに対し、こちらは無償でのダウンロード提供となる。

プレスリリースによると、「簡単な操作で本格的なRAW現像を楽しんでもらうことを目的としたソフトウェア」とのことで、機能面ではCapture NX 2に譲る部分もあるが、「有効な機能アップデートを行っていく予定」とも記されているので期待したい。

インターフェース

起動時の画面は、Capture NX 2よりも暗めのグレーを基調としており、市川ソフトラボラトリーのSILKYPIXシリーズに印象が似ている。

画面左側にフォルダーツリー、右側に画像調整のためのパレット類やメタデータなどが表示される。

サムネイル表示の画面。左側にフォルダーツリー、右側は画像調整のためのツールパレット、メタデータパレットがある。
(参考)Capture NX 2の画面。明るいグレーを基調にした画面だ。

画像を表示する中央のエリアは、選択したフォルダー内の画像を一覧できる「サムネイル」表示、選択した画像を大きく表示できる「プレビュー」表示、両者を組み合わせた「混合」表示に切り替えられる。

混合表示の画面。サムネイルとプレビューの両方が表示できる。画面サイズに余裕があるなら使い勝手はいい。
混合表示でのサムネイルの表示方法は自由に選べる。

プレビュー表示エリアには複数の画像を表示することができ、ツールバーの「マルチプレビュー」ボタン、あるいは「表示」メニューの「表示モード」から「2画像比較」または「4画像比較」を選択すると、画面に2枚ないし4枚の画像を表示できる。この画面で、いわゆる勝ち抜きセレクトなどを行なえる。

2画像比較表示の画面。
4画像比較表示の画面。

ただし、比較表示するのに必要な手順がちょっとややこしい。

例えば「2画像比較」の場合、画面を切り替えた直後の画面では、1枚目の画像が、それが選択中であることを示す白枠付きで左側に表示される。2枚目の画像を表示するには、まず、画面の右側の暗い部分をクリックして選択対象に切り替え、それから見比べたい画像のサムネイルをクリックする必要がある。4画像比較の場合は、同様の操作をさらに2回繰り返さないといけない。

サムネイル表示で複数の画像を選択して、その状態で比較表示ボタンをクリックして、2枚を選択していれば2画像比較に、3枚以上であれば4画像比較に切り替わる、という操作のほうが個人的には使い勝手がいいように思う。

また、画像のセレクトに利用するカラーラベルやレーティングのマークがプレビュー表示で確認できないのも不親切だと感じる(サムネイル表示や混合表示のサムネイル表示エリアには表示されるが)。

カラーラベルとレーティングによる絞り込み表示が可能。

なお、「混合」表示時のサムネイル表示エリアは、プレビューエリアの上下左右に配置できるほか、フローティングウィンドウとして表示することもできる。左右のパレット類もフローティングウィンドウ化することができるので、大型のモニターやマルチモニターを使用しているユーザーには便利だろう。

サムネイル表示をフローティングウィンドウにした状態。
サムネイルを下側に表示させた状態。
画像調整のためのパレット類はフローティングウィンドウにできる。よく使う項目のパレットを出しっぱなしにしておけるので便利だ。

調整関連

従来のCapture NX 2ではRAW画像に調整データを書き込む方式だったが、Capture NX-Dではサイドカーファイル(画像と同じフォルダー内に作成される「NKSC_PARAM」フォルダー内に保存される、調整パラメーターの内容が記載された外部ファイル)を使用するようになった。

筆者の環境では、起動はCapture NX 2に比べると少し時間がかかる。プレビュー表示での全画面表示やピクセル等倍表示も、若干だがCapture NX 2が速い印象を受けた。

調整項目は、画面右側に

  • 露出補正
  • ホワイトバランス
  • ピクチャーコントロール
  • トーン
  • トーン(ディテール)
  • ノイズリダクション
  • カメラとレンズの補正
  • LCHエディター
  • 傾き補正
  • アンシャープマスク
  • レベルとトーンカーブ

のパレットがあるほか、ツールバーに、

  • グレーポイントサンプルツール
  • 傾き補正ツール
  • クロップツール

がある。

が、Capture NX 2にあったこれらは省略されている。

  • カラーバランス
  • カラーブースター
  • ぼかし(ガウス)
  • ハイパス
  • 自動レタッチブラシ
  • 投げ縄ツール
  • 選択ブラシ
  • コントロールポイント

このうち、要望の多かった自動レタッチブラシなどの機能については、今後のアップデートで追加していくとのことだが、コントロールポイントについては、残念ながらサポートしないと明言されている。

一方、ニューモデルのD810に搭載された新ピクチャーコントロールに対応したのが注目したい点。従来の「ニュートラル」よりも直線に近いトーンカーブを持つ「フラット」が追加されたほか、パラメーターに「明瞭度」が加わった。

D810から採用された新ピクチャーコントロールシステムを搭載しており、ほかのカメラで撮ったRAW画像にも適用できる。
新ピクチャーコントロールには、より素材性の高い「フラット」が追加されている。
新ピクチャーコントロール
スタンダード
ニュートラル
ビビッド
モノクローム
ポートレート
風景
フラット
新旧の「スタンダード」の比較。左がカメラ互換、右が新ピクチャーコントロール。後者のほうが発色とコントラストがいい。
ピクチャーコントロール「スタンダード」新旧比較
Capture NX-D(新)
Capture NX-D(旧)
Capture NX 2
View NX 2

また、「明るさ」の調整範囲が「±1」だったのが、「±1.5」に広がり、各パラメーターを「0.01」単位で調整できるようになった。

従来は「1」単位でしか調整できなかったが、新ピクチャーコントロールでは「0.01」単位での調整が可能となった(カメラでの設定よりも細かい)。

なお、明瞭度については、「撮影時の設定」時は「0」が初期値だが、「スタンダード」を指定すると「1.00」が初期値に変化する。そのせいもあるのか、わずかながらメリハリがあり、解像感が高く仕上がってくれる。また、色の純度も若干上がるような印象で、「撮影時の設定」よりも鮮やかさがわずかに増す。

新しく採用されたパラメーターの「明瞭度」は、部分的にコントラストを高めてメリハリを出す調整を行なう。初期設定は「1」になっている。
-5にすると、ソフトフォーカスっぽい仕上がりとなる。
+5にすると、メリハリの強い画面に仕上がる。
明瞭度
明瞭度:-5
明瞭度:-4
明瞭度:-3
明瞭度:-2
明瞭度:-1
明瞭度:0
明瞭度:+1
明瞭度:+2
明瞭度:+3
明瞭度:+4
明瞭度:+5

D810やD800E、D7100といったローパスフィルターレス(および無効化)のカメラで撮影した際に問題になりがちな色モアレを低減する「色モアレリダクション」も、該当するユーザーには必要な機能といえる(Capture NX 2にも搭載されていたので新機能ではない。念のため)。

その他の機能については、ミもフタもない表現をすれば、可もなく不可もなくといったところ。露出やホワイトバランス、レベル補正、トーンカーブをはじめとするRAW現像/画像調整ソフトとして備えるべき最低限のレベルは十分にクリアしている。

カメラに同梱されている画像閲覧ソフトのView NX 2のRAW現像機能は貧弱なものだったから、それを置き換え、強化するものととらえるなら、むしろ大歓迎レベルである。

ただ、従来からのCapture NX 2の後継と考えた場合、どうしても物足りなさはぬぐえない。そのあたりを、今後のアップデートできっちり埋めていってもらいたいと思う。

ノイズリダクションは初期設定の「高速」のほか「高画質」「高画質 2013」の3種類から選択できる。
「高速」での画面。画像はD600のISO12800で撮影したもの。初期値は「適用量」が「34」で「シャープネス」が「5」。
「高画質」での画面。初期値は「高速」と同じ。
「高画質 2013」での画面。初期値は「輝度適用量」「カラー適用量」ともに「0」、「シャープネス」は輝度用、カラー用ともに「50」。
ノイズリダクション
「高速」。適用量:34、シャープネス:5
「高画質」。適用量:34、シャープネス:5
「高画質 2013」。輝度適用量:34、シャープネス:50、カラー適用量:34、シャープネス:50
Capture NX 2「高速」。適用量:34、シャープネス:5
Capture NX 2「高画質」。適用量:34、シャープネス:5
Capture NX 2「高画質 2013」。輝度適用量:34、シャープネス:50、カラー適用量:34、シャープネス:50
白トビ軽減が可能な「ハイライト」の設定は「トーン(ディテール)」パネルで行なう。
「白トビ表示」中の画面。
「ハイライト」を「40」に設定した状態。
「ハイライト」を「40」にした状態での「白トビ表示」。
トーン(ハイライト)
ハイライト:0
ハイライト:20
ハイライト:40
ハイライト:60
ハイライト:80
ハイライト:100
黒つぶれ軽減の「シャドウ」の設定は「トーン(ディテール)」パネルで行なう。
「シャドウ」が「0」の状態での「黒つぶれ表示」。
「シャドウ」を「40」に設定した状態。
「シャドウ」を「40」にした状態での「黒つぶれ表示」。
トーン(シャドウ)
シャドウ:0
シャドウ:20
シャドウ:40
シャドウ:60
シャドウ:80
シャドウ:100

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら