新製品レビュー

パナソニックLUMIX DMC-LF1

ポケットサイズに28-200mmレンズとEVFを凝縮

 DMC-LF1は6月20日に発売された高級タイプのコンパクトカメラで、ライカブランドの7.1倍ズームレンズとEVFを内蔵しているのが特徴だ。また、アート系作風機能の「クリエイティブコントロール」や、スマートフォンなどと連携できるWi-Fi機能などを備えている。本稿執筆時点での大手量販店価格は3万6,800円前後となっている。

薄型ボディに28-200mmレンズとEVFを内蔵

 撮像素子には1/1.7型の高感度MOSセンサーを搭載。有効画素数は1,210万画素。画像処理を受け持つ「ヴィーナスエンジン」は新開発のものを採用している。ISO感度の範囲はISO80からISO6400。撮影メニューの「拡張ISO感度」をオンにすると、ISO12800が選択可能となる。

 搭載レンズは「ライカDCバリオ・ズミクロン6.0-42.8mm F2-5.9」の光学7.1倍ズームで、35mm判換算の焦点距離は28-200mm相当。レンズシフト式の手ブレ補正機構「パワーO.I.S.」を内蔵している。

搭載レンズは28-200mm相当のライカDCバリオ・ズミクロン。開放F値は広角端がF2と明るいが、望遠端はF5.9と平凡だ。

 開放F値は望遠端こそ平凡な数字だが、広角端はF2と明るく、夕方などの光が乏しいシーンで有利となる。最短撮影距離は通常で50cm(広角端)から80cm(望遠端)、マクロ時には3cm(広角端)まで寄れる(望遠端は変化なし)。「ズームマクロ」時は広角端固定で3倍までのデジタルズームが有効となる。多少、画質は落ちるが、かなりのクローズアップが楽しめる。

 LVF(一般にはEVF=電子ビューファインダーのほうがとおりはいいが)はフィールドシーケンシャルカラー方式で、約20.2万ドット相当と、スペックとしては低めといわざるをえない。ファインダー像も小さいし、コントラストもあまり高くなく、しゃっきり感がもっと欲しいと感じる。また、接眼レンズの性能ももうひとつで、目の位置が少しでもズレると見づらくなる。なお、液晶モニターとの自動切り替え機能はなく、接眼部右側のボタンでの手動切り替えとなる。

内蔵EVFの接眼部。サイズが小さいこともあって性能はけして高くはないが、ファインダーがあること自体のありがたみは大きい。
EVF接眼部右のボタンでEVFとモニターの切り替えを行なう。その右側のボタンはWi-Fi機能を使用するためのもの。

 記録メディアは内蔵メモリー約87MBとSDXC/SDHC/SDメモリーカード。フル画素の12メガ、ファイン画質のJPEGなら4GBのカードで約760枚撮れるが、RAWでの撮影をメインにするなら8GB以上の容量のカードを用意したい。電源は容量950mAhのリチウムイオン充電池で、CIPA基準の撮影可能枚数は約250枚。実写では内蔵ストロボを発光させなかったこともあって静止画を600枚ほど撮れたが、普通にストロボも利用するなら、予備のバッテリーは用意しておいたほうがいいだろう。

クオリティ(記録画質)は、JPEGのファイン、スタンダードのほか、RAW+ファイン、RAW+スタンダード、RAWも選べる。
メモリーカードはSDXC/SDHC/SDメモリーカードを使用。電源は容量950mAhの薄型リチウムイオン電池。CIPA基準で約250枚の撮影が可能だ。

自由度の高いボタン割り当てとWi-Fi機能

 レンズ基部にあるコントロールリングは、このクラスのコンパクトカメラには多く見られる操作部材で、使い勝手の良し悪しを大きく左右する。本機の場合、初期設定では、インテリジェントオート時はステップズーム、プログラムAE時はISO感度、絞り優先AE時は絞り調整といったふうに、撮影モードによって変化する。

 コントロールリングの機能をカスタマイズすることもできる。セットアップメニューの「コントロールリング設定」で、「ステップズーム」「露出補正」「画像横縦比」「ISO感度」「ホワイトバランス」から選択できる。筆者個人としては、「ステップズーム」か「ISO感度」あたりが便利そうに感じた。

レンズ基部にあるコントロールリング。わりとしっとり系のクリックがあって、操作感は上々だ。
コントロールリングの機能は撮影モードによって異なり、プログラムAE時にはステップズームとなる。
セットアップメニューの「コントロールリング設定」の画面。好みに合わせて選べる。筆者個人はステップズームかISO感度が便利そうだと感じた。

 背面の「Fn(ファンクション)」ボタンもカスタマイズが可能。こちらもセットアップメニュー「Fnボタン設定」で「AF/AEロック」「ワンショットAF」「測光モード」「オートフォーカスモード」「フォーカスエリア選択」「クオリティ(画質)」「構図ガイド(格子線)」「ヒストグラム表示」から選択できる。個人的には、ここにISO感度やホワイトバランスを割り当てたかったところだが、そのあたりは背面右手側下の「Q.MENU」ボタンから呼び出す「クイックメニュー」がカバーしてくれている。

「クイックメニュー」には「露出補正」「ステップズーム」「画像横縦比」「記録画素数」「ISO感度」「ホワイトバランス」「オートフォーカスモード」「動画画質設定」「モニター輝度」があって、「Q.MENU」ボタンで呼び出したらカーソルキー(十字キー)の左右で項目を選択、コントロールリングまたは背面のコントロールダイヤル(カーソルキーの外周部分のホイール)を回して設定する。撮影時の大半の操作は、カーソルキー(露出補正、フラッシュモード、ドライブモード、マクロ/MF)とクイックメニューだけだいたいこなせる。

背面の操作部。カーソルキーの外周部はホイール状のコントロールダイヤル。左上のFnボタンはカスタマイズが可能だ。
カーソルキー右下の「Q.MENU」ボタンを押したところ。左右キーで項目を選んでリングかダイヤルを回して設定変更となる。これがけっこう便利。
上面右手側。モードダイヤルには「インテリジェントオート」や「クリエイティブコントロール」「パノラマ」「シーン」などもある。
モードダイヤルの「C1」「C2」には、よく使う機能のセットを登録しておいて、素早く呼び出すことができる。
セットアップメニューの「Fnボタン設定」の画面。筆者的には「フォーカスエリア選択」の1択だと思う。
AFエリアは位置をカーソルキーで、サイズをコントロールダイヤルで変更できる。このへんは同社ミラーレスと同じ。
露出補正時の画面。通常は、カーソルキーの上キーを押して左右キーで補正値を設定する。

 Wi-FiやNFC(近距離無線通信)機能も備えている。撮影した画像をパソコンなどに転送したり、スマートフォンからリモート撮影(「Panasonic Image App」アプリが必要)したりも容易に行なえる。リモート撮影時は、ズームやシャッターレリーズだけでなく、露出補正、マクロ切り替え、カラーモードの変更など、機能も多彩で使い勝手がいい。露出補正もできないアプリしか出してくれていないメーカーには、ぜひ見習っていただきたい。

Wi-Fiメニューの「新規に接続」の画面。「スマートフォンと繋いで使う」を選んだら、
表示されたパスワードをスマートフォンに入力して接続は完了。けど、NFC機能のある端末ならもっと簡単に接続できると言うことに後で気付いた。
Wi-Fi機能を内蔵しているので、電波を出さない「機内モード」を備えている。
iPhone用の「Panasonic Image App」の画面。
ドロワーを開いたところ。タッチシャッターも備えているし、かなり細かな設定もできる。よくできたアプリだと思う。
露出補正時の画面。できて当たり前だと思うのだが、できないメーカーもあったりする。

普段使いに心強い1台

 高さも奥行きもないスリムなボディにEVFを内蔵したところは本機の特徴のひとつ。背面モニターが見づらくなりやすい晴天の野外や、手ブレを抑えたいシーンなどにファインダーがあるのはありがたい。空間的な制約がきびしいところに詰め込んだ分、性能面では我慢しなくてはならないこともあるが、EVFの性能重視で大きく重くなったら本末転倒な気もしてしまう。

 搭載レンズはズームの中間域から望遠端にかけて、画面周辺部の解像が低下するのが気になったものの、広角端の四隅の崩れが少ないし、画面中央部の画質は全域で良好だ。200mm相当の望遠撮影が楽しめて、EVF内蔵で、しかもこのスリムさ。気軽に持ち歩ける普段使いのカメラにはいい選択肢だと思う。

実写サンプル

  • ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • ・縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・感度
 感度の設定範囲は、常用でISO80からISO6400まで。撮影メニューの「拡張ISO感度」をオンにするとISO12800までとなる。ピクセル等倍で見ると、ISO400からノイズが増えはじめ、ISO800になるとノイズ低減処理の悪影響で細かい部分の描写がつぶれがちになる。が、ISO3200でもそれなりにディテールは残っているので、小さなサイズのプリントなら実用的な画質と言える。

撮影メニューの「拡張ISO感度」の画面。オンにすると、拡張ISO感度として用意されているISO12800まで選択可能となる。
ベース感度はISO80と低め。常用最高感度はISO6400で「拡張ISO感度」をオンにするとISO12800まで。

 ※各サンプルのサムネイルは下の画像の青枠部分を等倍で切り出しています。

ISO80
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800

・画角
 光学ズームの範囲は28-200mm相当だが、「I.R超解像」を「iA ZOOM」にして「デジタルズーム」をオンにすると、800mm相当までとなる。

 広角端は四隅の崩れがあまりなく、比較的良好な画質。歪曲収差はわずかにタル型だが、デジタルで補正している可能性もある。15mm(70mm相当)から周辺部がふわっとボケはじめ、望遠端の42.8mm(200mm相当)では再び改善される。

 作例は「ステップズーム」を使用して「iA ZOOM」と「デジタルズーム」をオンにした状態で撮影しているが、光学の望遠端を超えて2ステップ目ぐらいまでなら、画質劣化はあまり気にせずに使えそうだ。

 マクロ時は広角端でレンズ前3cmまで近接できる。ズームマクロ時は広角端固定で3倍までのデジタルズームが可能となる。ピクセル等倍で見ると、いかにもデジタル拡大という画質だが、これだけの接写が気軽に楽しめるのはいい。

撮影メニュー「I.R超解像」の画面。「iA ZOOM」を選ぶと、画質劣化を抑えてズーム倍率が上げられる。
デジタルズームは4倍まで。フル画素時は最大800mm相当の超望遠撮影が楽しめる。
28mm相当
35mm相当
50mm相当
70mm相当
90mm相当
135mm相当
160mm相当
200mm相当
250mm相当
300mm相当
400mm相当
500mm相当
600mm相当
800mm相当
マクロモード
ズームマクロモード

・暗部補正
 オンにすると感度を上げて白飛びを減らす露出に調整したうえで、暗部の階調を持ち上げて補正するようだ。明暗差が大きなシーンでは役立つだろう。画質面では連写合成のHDRのほうが有利だが、ワンシャッターですむので人物撮影などにも利用できる。

撮影メニューの「暗部補正」の画面。オンにするとダイナミックレンジを擬似的に拡張できる。
暗部補正:オフ
暗部補正:オン

・クリエイティブコントロール
 アート系作風機能の「クリエイティブコントロール」は15種類。完全なフルオートモードではなく、露出補正も可能だ。

通常撮影
ポップ
レトロ
オールドデイズ
ハイキー
ローキー
セピア
ダイナミックモノクローム
インプレッシブアート
ハイダイナミック
クロスプロセス
トイフォト
ジオラマ
ソフトフォーカス
クロスフィルター
ワンポイントカラー(屋根の赤色のみ残した)

・動画
 動画機能はAVCHDのフルHD。1,920×1,080ピクセル、60i記録で、音声は内蔵マイクによるステレオ仕様だ。

 ダウンロードはこちら

・作例

200mm相当の望遠端は、わりと画面の隅のほうまで解像がいい。/ DMC-LF1 / 4,000×3,000 / ISO80 / F5.9 / 1/13秒 / 42.8mm(200mm相当)
こちらは28mm相当の広角端。四隅の画質劣化があまりない。が、中間域から望遠域にかけては周辺部がアマい描写になる。/ DMC-LF1 / 3,000×4,000 / ISO80 / F2.8 / 1/640秒 / 6mm(28mm相当)
大学の構内で見つけた牛さん。散歩中らしい子どもがちぎった草をあげていたのを横から撮らせてもらった。/ DMC-LF1 / 3,000×4,000 / ISO200 / F4 / 1/160秒 / 14.2mm(66mm相当)
望遠端の最短撮影距離付近。もうちょっと寄り足りない感はあるものの、写りは思いのほかシャープだ。/ DMC-LF1 / 4,000×3,000 / ISO200 / F5.9 / 1/160秒 / 42.8mm(200mm相当)
これも望遠端の最短撮影距離付近での撮影。コンパクトカメラでも少しはボケてくれる。/ DMC-LF1 / 3,000×4,000 / ISO200 / F5.9 / 1/60秒 / 42.8mm(200mm相当)
池にいたカモの後ろ姿。こういうのが狙える望遠と気軽に持ち歩けるコンパクトさを両立している本機は散歩用カメラにはちょうどいいと思う。/ DMC-LF1 / 4,000×3,000 / ISO400 / F5.9 / 1/30秒 / 42.8mm(200mm相当)
中間域から望遠にかけての周辺部で、画質の劣化が気になるところ。平面的な被写体だと目立つので、風景を撮るときは要注意だ。/ DMC-LF1 / 4,000×3,000 / ISO80 / F5.5 / 1/15秒 / 30.5mm(143mm相当)
日暮れ近くになって、少しだけ日が射してくれた。/ DMC-LF1 / 3,000×4,000 / ISO80 / F3 / 1/250秒 / 9.5mm(44mm相当)

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら