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【新製品レビュー】ニコンCOOLPIX P300

〜広角端F1.8ズームレンズを搭載するパフォーマンスモデル
Reported by 大浦タケシ

 ニコンのコンパクトモデル、COOLPIXには3つのセグメントがある。機能とデザインを両立したStyleシリーズ、高性能を追求したPerformanceシリーズ、経済性と手軽さのLifeシリーズである。

 今回、ピックアップするCOOLPIX P300は、その中のPerformanceシリーズに属し、同社のコンパクトモデルの中ではハイエンドのひとつに位置付けされるカメラである。発売は3月18日。店頭価格は3万9,800円前後の予想となる。


広角端24mm相当F1.8の4.2倍ズームレンズを搭載

 COOLPIX P300の置かれた立場やスタイリングなどを考えると、なんとなくキヤノンPowerShot S95と重なる。実際、P300はCOOLPIXの最上位であるPerformanceシリーズのカメラであり、PowerShot S95は「コンパクトのハイエンドモデル」とカタログなどではメーカー自らが謳っている。ボディのデザイン、シェイプなども何となく影響し合ったように見受けられ、カメラや機械に疎い人が見たら見分けはつかないかも知れない。肝心のスペックについても、まったく同じと言える部分こそ少ないものの、似通ったものが多い。そのようなことから、COOLPIX P300はPowerShot S95をライバルとしていることはほぼ間違いはないだろう。

 そこで、まずはイメージセンサーやレンズなどキーデバイスをPowerShot S95との比較を交えながら見てみてみることにしよう。

 COOLPIX P300のイメージセンサーは、有効1,220万画素CMOSセンサーである。サイズは1/2.3型とコンパクトモデルのなかでも小さいほうの部類に入る。ライバルのPowerShot S95は、COOLPIX P300よりも一回り大きい1/1.7型有効1,000万画素CCDセンサーを搭載する。絶対的な描写を考えれば、イメージセンサーが大きく画素数の少ないS95のほうが有利に思えるため、ここでガッカリする読者の方もいるかも知れない。実際、私自身も手にした当初、そう思った。

 しかし、結果を見るとそれは大きく裏切られる。光を効率よく電荷に変える裏面照射型のイメージセンサーと新画像処理エンジン「EXPEED C2」の採用などで、COOLPIX P300の描写は1/1.7型と遜色ないものとなっているからだ。掲載したISO感度の比較作例などを見てもらえば一目だが、1/2.3型のイメージセンサーとしてはノイズが少なく満足いく結果が得られている。高感度になるにしたがい発生することの多い色の変化(=色のねじれ)も皆無といえるものだ。また、階調の再現性なども、1/2.3型モデルとしては上々の出来といえる。なお、COOLPIX P300の設定感度は、ISO160からISO3200までとなる。ベース感度がISO160というのは珍しい。

ベース感度はISO160、最高感度はISO3200となる。ISO400までと、ISO800までの感度制限機能付き

 レンズは35mm判換算で焦点距離24mmから100mm相当の光学4.2倍ズームを搭載。広角端の開放値は明るくF1.8を実現する。画面周辺部の像の流れなど少なく解像感もコンパクトモデルとしては良好だ。広角端での周辺光量の低下はF4くらいまで絞らないと解消しないが、こちらもコンパクトモデルのズームレンズとしてはよいほうである。また、広角端ではタル型のディストーションが見受けられるが、画面周辺部に水平線などがなければ気にならないレベルといってよい。

 ちなみにPowerShot S95のレンズは、焦点距離28mmから105mm相当の広角3.8倍ズームとなる。こちらの開放値はF2だ。両者とも手軽に撮影するには不足のない画角と明るさといってよいだろう。

 ただし、望遠側の5mmの違いを比べると、広角側の4mmの違いは思った以上に画面上では大きく、より画角の広いCOOLPIX P300のほうが使い勝手はうわて。グッと被写体に寄って遠近感を強調した描写が得やすく、表現の豊かさでも勝っているといえるだろう。

 しかしながら、COOLPIX P300の手ブレ補正機構は角度ブレのみの対応なのに対し、S95はマクロ撮影で有利なシフトブレにも対応するハイブリッドタイプの手ブレ補正機構を搭載となる。実によい勝負である。

レンズは24mmから100mm相当の光学4.2倍ズームを搭載。ワイド端開放値はF1.8。ニッコールの称号が付く

 PowerShot S95とのスペック上の違いは少なからずあるものの、結果や使う上での差はわずかといってよいものである。そうなると操作面などの違いとなってくるのだが、どちらもトップパネルにモードダイヤルを、背面にはロータリーマルチセレクター(PowerShot S95ではコントローラーホイール)を備えるなど、キーデバイス同様伯仲している部分がいくつか見受けられる。

 AFの測距スピードやボタン類のレスポンスなどCOOLPIX P300はサクサクと動くが、そのあたりについてはPowerShot S95も同様で、細かな操作の違いなどを除けば決定的といえるような差は少ないように思える。COOLPIX P300にとってPowerShot S95は正に好敵手なのである。

トップカバーにはコマンドダイヤルを備える。比較的大きく操作しやすい。奥にはコマンドダイヤルも見える ポップアップ式のストロボを採用。ガイドナンバーは不明だが、ISO感度設定オート時は最大6.5m(広角端)まで調光が可能
バッテリーはEN-EL12を使用する。フル充電で最大約240コマの撮影が可能(CIPA準拠) グリップの代わりとなる“指がかり”。個人的には、コンパクトモデルならこれでも十分に思える
いわゆる“十字キー”には、ロータリーマルチセレクターを採用。クリック感も節度あるもので使いやすい

HDRなど連写性能を活かした機能

 ここからは、COOLPIX P300のいくつかの機能を見ていきたい。P300には同社の自動連写合成技術を応用したシーンモードが備わる。ひとつが「逆光」モードの「HDR」で、もうひとつが「夜景」モードの「手持ち夜景」である。どちらもシャッターを切ると、連続撮影を行ないカメラ内で画像を重ね合わせるもので、手持ちでの撮影を可能としている。

モードダイヤル上には、SCENE/全自動/P/S/A/Mのほかに「夜景」モードと「逆光」モードも備わる

 まず「HDR」は3段階の効果から選択が可能である。撮影後の画像編集機能に「D-ライティング」が搭載されているが、それよりも暗部およびハイライト部のディテールの現れ方が大きい。最近の風景写真の傾向としてパソコンでHDR加工を行なったものが数多く見受けられるが、COOLPIX P300ではカメラ単体で手軽に楽しむことができる。さらに、HDR合成を行なっていない画像も同時に記録されるのはたいへん便利に思える。

「逆光」モードに搭載される「HDR」機能。レベル1〜3まで選択できる。ちなみに、OFFに設定するとストロボをポップアップさせる必要がある

 「手持ち夜景」も同様に連続撮影を行ない、画像を重ね合わせて1枚とするもので、手ブレやノイズを抑えた撮影を可能とする。これまで三脚を必要とするようなシーンにも気軽にカメラを向けることが可能だ。しかも、前述のとおり、COOLPIX P300のイメージセンサーは高感度でもノイズに強いタイプを採用している。他社でも似たようなモードを見受けるが、画質的にはCOOLPIX P300のほうが上回っているように感じられる。

「夜景」および「夜景ポートレート」には、「手持ち撮影」モードを搭載。手持ちでノイズの少ない夜景撮影が楽しめる

 高速連続撮影もこのカメラが得意とするところだろう。「高速連写」モードはシャッターボタンを1回全押しすると60枚撮影するもので、約1/125秒以上のシャッタースピードで撮影を行なう「120fps」と、約1/60秒以上で撮影を行なう「60fps」から選択ができる。画像サイズは1,280×960ピクセルに固定されてしまうものの、カメラと撮影距離が変わらずに動くものの撮影では使えそうだ。

 また、「マルチ連写」モードはシャッターボタンを1回全押しすると約30fpsで16カットの連続撮影を行ない、1つの画像として記録するもの。こちらもゴルフのスイングや野球の投球フォームなどのシーケンス撮影をはじめ、アイディア次第でいろいろと楽しめそうである。

「高速連写」モードは1回のシャッターで60コマ撮影を行なう。「120fps」と「60fps」から選択ができる 「マルチ連写機能」は、1回シャッターを切ると16カットの連続撮影を行ない、1枚の画像として記録する

 さまざまな仕上がり機能も備えている。なかでも「スペシャルエフェクト」は、ソフト/ノスタルジックセピア/硬調モノクローム/ハイキー/ローキーをライナップ。撮影前にあらかじめ設定をしておく必要があるが、ユーザーのイメージに合わせた仕上がりが手軽に得られるので重宝する。

「スペシャルエフェクト」では、ソフト/ノスタルジックセピア/硬調モノクローム/ハイキー/ローキーから選択が可能

 撮影後の編集機能として「フィルター機能」も搭載。こちらはクロススクリーン/ミニチュア効果/魚眼効果などを搭載する。失敗しても、オリジナル画像は残るので、何度でも試せるのが魅力である。

撮影後の楽しみとして画像編集機能も充実。いずれもオリジナルの画像が残るのは何かと便利だ

まとめ

 手にした当初、COOLPIX P300は期待のようなものはどちらかといえば少ないカメラであった。そこには、先行するライバルPowerShot S95の存在があったからである。だが、このレビューにより、操作感や描写など前述のPerformanceシリーズの名に相応しいもので、しかもPowerShot S95に真っ向から対抗できるカメラであることを知るハメとなった。私はそれまでのCOOLPIX P300に対する好奇心の無さを恥じるとともに、ハイエンドデジタル一眼レフカメラでトップを走るメーカーらしい、誇りと拘りを強く感じた。

 ニコンのコンパクトモデルは近年、どちらかといえば影が薄いといわれがちだ。しかし、COOLPIX P300の質実剛健なつくりは、カメラメーカーのつくるカメラらしいもので、撮る楽しみとともに所有する喜びも兼ね備えている。

項目の並び順や、「日陰」がないことが気になったホワイトバランスのメニュー。「晴天」と「電球」が上下にあるが、筆者のような老眼では判別しにくいこともある

実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した画像のみ、無劣化で90度回転させています。

・歪曲収差/絞りによる描写の変化

広角端 / F1.8 / COOLPIX P300 / 約3.9MB / 4,000×3,000 / 1/200秒 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 4.3mm 広角端 / F2 / COOLPIX P300 / 約3.9MB / 4,000×3,000 / 1/160秒 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 4.3mm
広角端 / F2.8 / COOLPIX P300 / 約4.0MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 4.3mm 広角端 / F4 / COOLPIX P300 / 約3.9MB / 4,000×3,000 / 1/50秒 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 4.3mm
広角端 / F5.6 / COOLPIX P300 / 約3.8MB / 4,000×3,000 / 1/25秒 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 4.3mm 広角端 / F8 / COOLPIX P300 / 約3.7MB / 4,000×3,000 / 1/13秒 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 4.3mm
望遠端 / F4.9 / COOLPIX P300 / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F4.9 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 17.9mm 望遠端 / F5.5 / COOLPIX P300 / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/25秒 / F5.5 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 17.9mm
望遠端 / F7.8 / COOLPIX P300 / 約4.6MB / 4,000×3,000 / 1/13秒 / F7.8 / 0EV / ISO160 / WB:曇天 / 17.9mm

・感度
ISO160 / COOLPIX P300 / 約4.1MB / 3,000×4,000 / 1/20秒 / F5.6 / 0EV / WB:晴天 / 4.3mm ISO200 / COOLPIX P300 / 約4.1MB / 3,000×4,000 / 1/25秒 / F5.6 / 0EV / WB:晴天 / 4.3mm
ISO400 / COOLPIX P300 / 約4.0MB / 3,000×4,000 / 1/50秒 / F5.6 / 0EV / WB:晴天 / 4.3mm ISO800 / COOLPIX P300 / 約4.0MB / 3,000×4,000 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / WB:晴天 / 4.3mm
ISO1600 / COOLPIX P300 / 約4.0MB / 3,000×4,000 / 1/200秒 / F5.6 / 0EV / WB:晴天 / 4.3mm ISO3200 / COOLPIX P300 / 約4.0MB / 3,000×4,000 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / WB:晴天 / 4.3mm

・HDR
HDR:OFF / COOLPIX P300 / 約3.8MB / 4,000×3,000 / 1/1600秒 / F3.2 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.3mm HDR:レベル1 / COOLPIX P300 / 約4.3MB / 4,000×3,000 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.3mm
HDR:レベル2 / COOLPIX P300 / 約4.8MB / 4,000×3,000 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.3mm HDR:レベル3 / COOLPIX P300 / 約5.1MB / 4,000×3,000 / 1/1,250秒 / F2.8 / 0EV / ISO160 / WB:オート / 4.3mm

・手持ち夜景
手持ち夜景 / COOLPIX P300 / 約2.5MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F2.1 / 0EV / ISO1000 / WB:オート / 5.5mm 手持ち夜景 / COOLPIX P300 / 約2.8MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F4.5 / 0EV / ISO1000 / WB:オート / 15.2mm
手持ち夜景 / COOLPIX P300 / 約2.5MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F1.8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 4.3mm

・マルチ連写
マルチ連写 / COOLPIX P300 / 約1.1MB / 2,560×1,920 / 1/200秒 / F2 / +0.7EV / ISO160 / WB:オート / 4.3mm

・作例
COOLPIX P300 / 約4.5MB / 4,000×3,000 / 1/200秒 / F4.7 / -0.7EV / ISO160 / WB:オート / 13.8mm COOLPIX P300 / 約4.1MB / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F5.5 / +0.7EV / ISO160 / WB:オート / 17.9mm
COOLPIX P300 / 約3.9MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F4.7 / +0.7EV / ISO160 / WB:オート / 13.8mm COOLPIX P300 / 約4.2MB / 4,000×3,000 / 1/50秒 / F3.3 / +0.7EV / ISO160 / WB:オート / 7.2mm
COOLPIX P300 / 約3.7MB / 3,000×4,000 / 1/30秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO180 / WB:オート / 4.3mm COOLPIX P300 / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F4.2 / +0.7EV / ISO250 / WB:オート / 11.1mm
COOLPIX P300 / 約4.3MB / 3,000×4,000 / 1/125秒 / F3.3 / -0.7EV / ISO160 / WB:オート / 7.2mm COOLPIX P300 / 約4.8MB / 3,000×4,000 / 1/50秒 / F5.5 / -1.7EV / ISO400 / WB:オート / 17.9mm
COOLPIX P300 / 約4.2MB / 4,000×3,000 / 1/1,000秒 / F3.2 / -0.7EV / ISO160 / WB:オート / 6.3mm COOLPIX P300 / 約3.9MB / 4,000×3,000 / 1/50秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO160 / WB:オート / 4.3mm
COOLPIX P300 / 約4.8MB / 3,000×4,000 / 1/100秒 / F5 / 0EV / ISO360 / WB:オート / 15.2mm COOLPIX P300 / 約4.7MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F5.5 / +0.7EV / ISO400 / WB:オート / 17.9mm




大浦タケシ
(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。

2011/3/9 00:00