【新製品レビュー】ペンタックスOptio W90

~LEDライトを内蔵したタフネスデジカメ
Reported by 種清豊

Optio W90。本体色は、写真のピスタチオグリーンのほかにブラックがある

 ペンタックスから新しく発売された防水、防塵、耐衝撃性能を備えたコンパクトデジタルカメラ「Optio W90」を紹介する。各社で防水性能、耐衝撃性能を備えたコンパクトデジタルカメラはあるのだが、ペンタックスはスペック面をみると、この種のカメラにも力を入れていることが窺える。

 前モデルの「Optio W80」と比べて防水性能は5mから6mに、耐衝撃性能は1mから1.2mと進化している。そして、耐寒性能として-10度下での撮影が可能な点も引き継がれている。有効画素数約1,210万画素(1/2.3型CCD)、35mm判換算で28mm相当からの5倍ズームという撮影スペックはこれもOptio W80と同じ。背面液晶モニターは約23万ドット、2.7型ワイドと少し大型化している。ボディーデザインは本体周辺にラバーを施すことでより衝撃に強くなったことをイメージさせ、無骨な感じがする。カラーはブラックとピスタチオグリーンの2色で少し落ち着いた雰囲気だ。発売は3月。実勢価格は3万2,500円前後。

手軽に接写が楽しめる“デジタル顕微鏡モード”

 新しく備わった機能をいくつか紹介する。まず「デジタル顕微鏡モード」という機能だ。フォーカスは1cmマクロとなり、1cmから30cmまでの範囲でピントを合わせることができる。

 画質は2.1Mピクセル、16:9になり、ズーム+インテリジェントズームを使用して被写体に大きく接近可能だ。2.1Mピクセルの記録画質だが、デジタルズームより画質を劣化させないというインテリジェントズームで最大10.4倍の拡大率で撮影できるのが特徴。レンズネームプレート周囲にある3つのLEDが常時点灯しカメラで陰になった被写体を補助的に照らしてくれるので、あまり撮影場所を気にせずにいろいろな角度から手軽に接写が可能だ。

デジタル顕微鏡モードを初めて搭載した
デジタル顕微鏡モードの撮影画面(広角端)同インテリジェントズーム時
レンズの周囲には特徴あるメカ的なデザインを施している。開閉式レンズバリアーは備えていないデジタル顕微鏡モードでは、レンズ周囲の3つのLEDが被写体を照らす

 もちろん通常のマクロや1cmマクロもあり、LEDライトのON、OFF設定が可能なので、記録画質を最高画質にセットしてのマクロ撮影ができるのだが、その場合はズーム倍率が5倍までとなるので、デジタル顕微鏡モードほどの被写体の大きさは得ることができない。

 ほかに「魚拓フィルター」という、いかにも防水カメラらしい機能も備わった。その名の通り撮影した画像を魚拓風に仕上げるのだが、魚以外の被写体で処理を行なっても版画のようになり面白い仕上がりを得られる。ただ処理後の画像は最大5Mピクセルの16:9になるので注意が必要。なお、デジタルフィルターや、パンラマ合成などの機能はOptio W80から受け継いでいる。

魚拓フィルターも初搭載の機能魚拓フィルターの撮影画面。効果の強さ5段階で調節可能

 新たに搭載した「ペット検出」機能については、先般掲載した「春モデル3機種の『ペット検出機能』を試す」の中で同様の機能を搭載した「Optio I-10」の動作を見ることができる。

今後トレンドになりそうなペット検出機能も装備

コントラストが高く鮮やかな描写

 実際にOptio W90を使用した印象として、まずボタン操作の感触が挙げられる。防水性能が高いため各操作部にパッキンが施されていて、シャッターや各ボタンを押すのに少し強めの力が必要だ。ボタン配置は背面右側に集中していて、操作性は良い。十字キーも備わっているので、マクロの切り替えや、ストロボのON/OFF、セルフタイマー、撮影モードはここで変更できる。

背面ボタンは右側に集中している本体上部はシャッターボタン(右)と電源ボタン(左)のみ。電源ボタンはONにすると緑に光る

 だが、WBや感度などの撮影設定は通常、メニュー画面でセットすることになる。しかし、設定を変更する頻度の比較的高い、感度や画質、露出補正などを毎回メニューから呼び出すのでは撮影のレスポンスが悪くなってしまう。そのため、画像消去ボタンと共通のグリーンボタンに感度などの各種項目を任意で4個まで設定してワンタッチで呼び出すことも可能になっている。

 写りに関していえば、特に色のある被写体を撮影したときにやや鮮やかさを感じる仕上がりで、全体的にコントラストが若干高めである。高感度はISO400あたりで少しノイズが気になりはじめ、ISO800だとかなりノイズが目立ってくる。ただ最高感度がISO6400まであり(ISO3200以上は画素補間)、またOptio W90のコンセプトの1つとして、高感度を使用することでブレをなくして撮影、ということにもポイントが置かれているので、アウトドアでの確実な記録をメインとするユーザーをターゲットとしたカメラであることがわかる。

本体前面には指掛かりが付いているカラビナストラップが付属する。なおカラビナ部分に付いているゴムリングは、カメラがカラビナにぶつかって傷つくのを防ぐもの。本来は、カラビナの上部にセットする
本体側面にDタイプのHDMI端子を備える

まとめ

 フィルムカメラの頃から防水、耐衝撃性を持ったカメラはいくつかあった。しかし、建設現場用など限られた場所での使用が前提であり、一般的ではなかった。デジタルカメラが進化した結果、小型のボディに防水、耐衝撃性能を備え、かつさまざまな機能を搭載しアウトドアユースに適った製品を喜ぶユーザーは多いだろう。このように撮影シーンを選ばない防水コンパクトカメラには、これからどのように発展していくのか期待できる。

バッテリーおよびメモリーカードスロット付属の充電器とバッテリー

実写サンプル

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。(パノラマ作例以外)

画角

広角端
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/400秒 / F4.2 / +0.3EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm
望遠端
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F5.5 / +0.3EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 25mm

歪曲収差

広角端
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F4.2 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm
望遠端
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F5.5 / -0.3EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 25mm

ISO感度

ISO80
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/25秒 / F3.8 / -0.3EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 6mm
ISO100
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F3.8 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 6mm
ISO200
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F3.8 / -0.3EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 6mm
ISO400
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F3.8 / -0.3EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 6mm
ISO800
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/160秒 / F4.6 / -0.3EV / ISO800 / プログラム / WB:オート / 6mm
ISO1600
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/320秒 / F4.6 / -0.3EV / ISO1600 / プログラム / WB:オート / 6mm
ISO3200
Optio W90 / 2,592×1,944 / 1/640秒 / F4.6 / -0.3EV / ISO3200 / プログラム / WB:オート / 6mm
ISO6400
Optio W90 / 2,592×1,944 / 1/1250秒 / F4.6 / -0.3EV / ISO6400 / プログラム / WB:オート / 6mm

デジタル顕微鏡モード

Optio W90 / 1,920×1,080 / 1/20秒 / F3.8 / -0.7EV / ISO400 / デジタル顕微鏡 / WB:オート / 6mmOptio W90 / 1,920×1,080 / 1/60秒 / F3.8 / -0.7EV / ISO80 / デジタル顕微鏡 / WB:オート / 6mm

魚拓モード(撮影後に適用)

※魚拓モードで加工した画像は最大2,592×1,944ピクセルになります。

オリジナル画像
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/1000秒 / F4.2 / -0.7EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm
最弱
標準最強

デジタルフィルター(撮影後に適用)

・トイカメラ

※共通設定:Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/13秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 5mm

標準

・レトロ

オリジナル画像
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 5mm
ブルーアンバー

・ソフト

オリジナル画像
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F5.2 / -0.3EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 20.6mm
ソフト:ON

・色強調

オリジナル画像
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F6.6 / -0.7EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 25mm
色強調:ON

・色抽出

※共通設定:Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/125秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm

・ハイコントラスト

最弱、弱、中、強、最強

オリジナル画像
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/13秒 / F4.2 / -1EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 7.5mm
最弱
標準最強

・フィッシュアイ

オリジナル画像
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/13秒 / F5.5 / -0.7EV / ISO400 / プログラム / WB:オート / 25mm
標準

D-range設定

オリジナル画像
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F5 / -1EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 16.7mm
シャドー補正
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/80秒 / F5 / -1EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 16.7mm
ハイライト補正
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/200秒 / F5 / -1EV / ISO160 / プログラム / WB:オート / 16.7mm
シャドー補正&ハイライト補正
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/200秒 / F5 / -1EV / ISO160 / プログラム / WB:オート / 16.7mm

パノラマ合成

※サムネイルをクリックすると横3,000ピクセルにリサイズした画像を表示します

Optio W90 / 3,000×768 / 1/320秒 / F5.3 / +0.3EV / ISO200 / パノラマ / WB:オート / 9.1mm

動画

※:サムネイルをクリックすると動画のダウンロードを開始します。動画の再生についての質問はお受けいたしかねます

Optio W90 / 1,280×768 / 約74MB

そのほか

Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/400秒 / F6.6 / 0EV / ISO160 / プログラム / WB:オート / 25mmOptio W90 / 4,000×3,000 / 1/640秒 / F4.2 / 0EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 5mm
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/250秒 / F4.8 / -0.3EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 13.7mmOptio W90 / 4,000×3,000 / 1/200秒 / F5 / -0.3EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 7.5mm
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F4.4 / -0.7EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 9.1mmOptio W90 / 4,000×3,000 / 1/200秒 / F4.2 / -1EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 7.5mm
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/40秒 / F4.8 / -0.7EV / ISO80 / プログラム / WB:オート / 13.7mmOptio W90 / 4,000×3,000 / 1/500秒 / F4.6 / +0.3EV / ISO200 / プログラム / WB:オート / 6mm
Optio W90 / 4,000×3,000 / 1/40秒 / F4.8 / -0.7EV / ISO100 / プログラム / WB:オート / 13.7mm





種清豊
(たねきよ ゆたか)1982年大阪生まれ。京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、写真家竹内敏信氏のもとで約3年間のアシスタントを経て、2007年よりフリーランスに。主に日本各地に残る明治、大正、昭和初期のクラシックな素材から現代の街まで幅広く撮影中。また人物撮影や、東京の下町の祭も撮影。キヤノンEOS学園講師、NPO法人フォトカルチャークラブ講師。ブログはこちら

2010/4/22 20:18