ミニレポート

進化した手ブレ補正の実力は?

(OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II)

進化した手ブレ補正の性能を、静止画と動画でチェックしてみた

オリンパスの手ブレ補正はフォーサーズ時代からとてもパワフルだったが、そのオリンパスが“世界最高の性能”と謳うぐらいなのだから、E-M5 Mark IIの手ブレ補正のすごさがどれほどなのかは気になるところである。

同社のウェブサイトには、CIPA規格準拠で「シャッター速度5段分」と記載されていて、これはE-M1の4段、E-M10やE-PL7の3.5段を上まわっている。

E-M5 Mark IIは、さらにシフトブレやロールブレにも対応しているのだから、トータルでの性能で考えれば“世界最高の性能”と胸を張って当然だ。

ついでに書いておくと、CIPAは、ヨー(左右方向の揺れ)とピッチ(前後方向の揺れ)の2軸のブレについてのみ規定していて、シフト(上下左右への平行移動)とロール(光軸に対しての回転)は対象になっていない。つまり、オリンパスの5軸補正の実力のすべてがあらわれているわけではない。

それと、撮像センサーサイズの小さなマイクロフォーサーズは、手ブレ補正時にセンサーを動かす量が少ないので有利だと思っている人が多いらしい。一面ではそれは正しいのだが、サイズが小さい分だけ高精度に制御しないといけないので、けして簡単なわけではない。なかなかにややこしい話なんである。

というのはさておき、実際のところ、E-M5 Mark IIの手ブレ補正の効き目がどれぐらいなのか、簡単なテストをやってみた。手ブレ補正のオンとオフでシャッター速度を変えて撮って、ブレなかった率をチェックしてみよう、というわけである。

使用レンズはM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8。出てすぐに買ったのでシルバーである。フルサイズ換算で90mm相当だから、昔ふうの手ブレ限界を考えると1/100秒が近い。が、フィルム時代と違って、ピクセル等倍で見るのを前提にするなら、そこから1段か2段速めのシャッターを切りたいところである。というのもあって、高速側は1/400秒、低速側は1/100秒から5段遅い1/3秒までの範囲とした。

条件は、「S-IS AUTO」「S-IS Off」、それから比較用にE-P5の「S-IS AUTO」の3パターン。室内で自然に立った状態で、2mほど離れたターゲット(ほどほどのサイズのテキストを印字したA4サイズの普通紙である)を狙った。

E-M5 Mark IIは内蔵EVFを、E-P5は外付けの電子ビューファインダーVF-4を使用した。露出モードはシャッター優先AE。S-AF(シングルAF)モードで1枚ずつ半押しし直して撮影した。ドライブモードは、どちらも「低振動撮影」(E-P5の場合は「低振動モード」である)でディレーを「0秒」にしている。これで、各シャッター速度ごとに50枚ずつ撮影する。

念のために書いておくと、「S-IS」は静止画用手ブレ補正のこと。「AUTO」は全方向のブレを補正し、カメラが動いているときは自動的に流し撮りモードに切り替わる万能モード。「低振動撮影:0秒」は電子先幕シャッターを使用する、機構ブレ防止モードである。

この画像を、50%縮小で見てもブレていると判断できる「×画像」、微妙にブレているが、ピクセル等倍で見なければ平気そうな「△画像」、ピクセル等倍で見て、これならブレてないと見なせる「○画像」に分類し、「○画像」の率と、まあまあ使えそうな「○+△画像」の率をチェックした。

グラフにしてみるとすごくわかりやすい。E-M5 Mark IIは、伝統的な手ブレ限界から3段遅い1/13秒では90%、4段遅い1/6秒でも70%の「○率」がある。手ブレ補正オフで同じパーセンテージとなるシャッター速度を見ると、1/200秒で90%、1/100秒と1/200秒の中間あたりで70%となる。

このシャッター速度の差が、手ブレ補正の効果と見ることができ、この場合、おおざっぱに4段から4段半ほどの効果があるといえる。もちろん、この条件では、という注釈付きであって、レンズを変えたり、撮影者が違ったりすれば、結果も異なってくるはずだ。

ちなみに、E-P5は、速めのシャッター速度ではE-M5 Mark IIよりも1段半ほど落ちる感じだが、遅いシャッター速度のほうが粘る感じで、1/3秒ではかなりE-M5 Mark IIに迫っている。古いからといって侮ってはいけないということである。

 ◇           ◇

動画撮影時の手ブレ補正は、E-M5 Mark IIは、センサーシフト式と電子式を併用する「M-IS 1」と、センサーシフト式のみの「M-IS 2」が選択できる。前者のほうが高い効果が期待できる。一方、E-P5はセンサーシフト式の「M-IS ON」のみとなる。

動画の画質モードは、E-M5 Mark IIはフルHD、スーパーファイン、60p、E-P5はフルHD、ファイン、30p。露出モードはプログラムAEでISO感度はオートにしている。ピント合わせはC-AF(コンティニュアスAF)を選択した。

まずはカメラを動かさずに撮りはじめ、途中からカメラを振ってフレーミングを変えるという動作を行なった。レンズは同じくM.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8を使用した。

腕を前に伸ばすようにして液晶モニターでの撮影としたため、手ブレ補正オフでは画面全体が小刻みに揺れている。それが、手ブレ補正をオンにすると、ぴたっと止まる。これはE-M5 Mark IIの両モード、E-P5も変わらない。手ブレ補正特有のゆっくりした揺らぎも見られるが、手ブレ補正の効果としてはかなりいいと思う。



E-M5 Mark II M-IS Off



E-M5 Mark II M-IS 1



E-M5 Mark II M-IS 2



E-P5 M-IS Off



E-P5 M-IS On

E-P5は、頻繁にピントを外しては合わせなおすという動作を繰り返していて、これがけっこう見苦しいのだが(なので、動かない被写体を撮るときは、MFに切り替えるのが基本だった)、E-M5 Mark IIはそれがほとんどない。たぶん、同じような動作はやっているはずなのだが、ピントを外す量が小さいのだろう、C-AFのまま撮っても平気そうだ。

もうひとパターンは、階段を下りながら撮ってみた。設定は変えずに、レンズだけM.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8に交換している。今度はひじを曲げて体にくっつけた状態でホールドしたので、体勢としてはブレは抑えやすいが、階段を降りるという動作に起因するブレはかなり大きい。手ブレ補正オフでは、画面がガクガク揺れてしまっているのに対し、オンにすると(E-M5 Mark IIの両モード、E-P5ともに)、ぐっと滑らかになる。



E-M5 Mark II M-IS Off



E-M5 Mark II M-IS 1



E-M5 Mark II M-IS 2



E-P5 M-IS Off



E-P5 M-IS On

こちらのパターンでも、「M-IS 1」と「M-IS 2」の違いはわからないし、2年近く前に発売されたE-P5と比べても、進化を実感できるほどの差は感じられなかった。もっとえげつないテスト条件を用意しないといけないのかもしれないが、これだけのブレを吸収できるというのはかなりすごいことなのではないかと思う。

北村智史

北村智史(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。2011年、東京の夏の暑さに負けて涼しい地方に移住。地味に再開したブログはこちら