気になるデジカメ長期リアルタイムレポート
OLYMPUS PEN E-P5【第3回】
こっそりとフォーサーズレンズのAFが速くなっていた件
Reported by 北村智史(2013/8/22 12:00)
「フォーサーズアダプターMMF-3」を使うと、OLYMPUS PEN E-P5にフォーサーズレンズを装着できるのだが、その際のAFが以前よりも速くなっているらしいという情報を入手したので検証してみることにした。
と言っても、もともとが位相差検出AFで使うことを前提に設計されたレンズをコントラスト検出AFで動かすのだから、一眼レフのような速さを期待するほうが間違っている。我慢の限界を少しでも下回ってくれれば御の字だろう。
ちなみに、AFが速くなるのは、「ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD」、「ZUIKO DIGITAL ED 14-35mm F2 SWD」、「ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD」、「ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro」の4本だけ。レンズを駆動するアルゴリズムを最適化しているとのことで、E-P3などの従来モデルに比べて、だいたい15~40%ほどの高速化を実現しているらしい。ようはソフトウェアの改善なので、開発陣の頑張り次第では、今後対応するレンズが増えるかもしれない。まあ、希望的観測でしかありませんけどね。
で、今回は4本の対応レンズのうち、12-60mm、50-200mm、50mm Macroの3本をお借りできたので、OLYMPUS PEN E-P3とのスピード比較をやってみた次第。ご覧いただくのは、E-P3とE-P5とで、近距離の被写体と遠距離の被写体に交互にピントを合わせると言う、まあ、EOS Mの長期レポートでもやったテストである。12-60mmは広角端と望遠端、50-200mmは部屋の広さの関係で望遠端ではなく、焦点距離150mm程度になっている。
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12-60mmの場合、広角端ではそれほど違いはないが、望遠端ではかなり差があった。E-P3のは「ちょっとこれは勘弁してください」とお願いしたくなるぐらいに時間がかかっているのに対して、E-P5はおおむね我慢できる範囲。イラッとする前にピントが合ってくれる感じである。動かない被写体しか撮らないのであれば、それなりに実用になるのではないかと思う。
ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD(広角端)
ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4 SWD(望遠端)
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望遠ズームの50-200mmでは、E-P3とE-P5の違いはもっと顕著になる。広角側の動画を見比べると、E-P3では2、3回レンズがうろうろしてからピントが合う。遠距離の被写体にピントが合っている状態から近距離の被写体にピントを合わせるときには2回が多く、近距離から遠距離にピント位置が移動するときは3回が多い感じだった。E-P5でも、やはり2回ほどレンズがうろつくが、2回でいけるケースが多かった。また、1回目よりも2回目のほうがピントが移動する幅が狭く、その分早くピントが合ってくれる。
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD(広角端)
50-200mmの望遠側は、雲泥の差を超えている。E-P3のは、シャッターボタンを半押しすると、「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」っと端まで行って、今度は「ろーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」っと反対側まで戻って、それからさらに「うーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」ってやってから、思い出したかのようにピントが合う。違う意味で絶叫マシンのようだった。近いほうが最短撮影距離付近だったこともあるだろうが、正直、これをAFとは呼びたくない。そういうレベルの遅さだった。
E-P5にしたところで、誉められるほど速いわけではない。やはり数回うろうろっと動いてからピントが合うのは同じだが、MFに切り替えたくなるほどではない。実写で試したかぎりでは、比較的遠距離のコントラストがはっきりした被写体であれば、それほどストレスは感じなかった。心の広い方なら十分実用になる速さだと思う。
ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD(望遠側:約150mm)
ただし、AF駆動時の作動音については一考を要すると思う。超音波モーター(SWD)の2本は、ピントが動くときに「ガタガタガタガタガタガタガタガタ」みたいな、小っちゃい削岩機でも仕込んでいるかのような音を立てる(ハンチングしたときの音と言えば分かってもらえると思う。動画でも音量を上げると聞こえる)。それがちょっと耳障りなのと、振動でレンズに変な影響が出やしないかと心配になってしまうのだ。
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3本目の50mm Macroは、2機種ともに半押しから近いところまではすうっと行くのに、そこから合焦マークが出るまでがみょうに長い。ただ、超音波モーターの2本のような派手なAF駆動音ではないので、それほど気にはならない。スピード的には、E-P3は少々げんなりしそうな遅さだが、E-P5はずっと短時間でピントが合うのでストレスは少ない。実写でも遅さが気になることはなかった。
ZUIKO DIGITAL ED 50mm F2 Macro
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試してみての個人的な感想としては、それなりに実用に足りるスピード、と言ったところである。「電子ビューファインダーVF-4」付きのE-P5で、半押し中手ブレ補正機能をONにしていれば、50-200mmの手持ち撮影もけっこういける。ピントも正確だった。動かない被写体しか撮らないのであれば、ほとんど問題はないだろう。
ただ、オリンパスのサイトのMMF-3のページに、「SHGレンズ使用時は、ボディーのみで保持しないでください。防滴性能・光学性能が保てない場合があります。」なんて書かれているのを見れば、50-200mmとの組み合わせには不安を感じざるを得ない。これがMMF-3の問題なのか、それともボディの問題なのか、あるいはマイクロフォーサーズの規格自体の問題なのかは分からないが、機材の心配をしつつ撮影するというのも楽しくはない。重量バランスも良好なわけではない。何より、スーパーハイグレードやハイグレードレンズを愛用している人たちが期待しているのはもっと上のレベルだと思うが、マイクロフォーサーズのボディでフォーサーズのレンズもそこそこ快適に使えるようになったのはよろこんでいいニュースだと思う。
(参考)M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8
※マイクロフォーサーズレンズとフォーサーズレンズのAFスピードの違いを見比べるため、マイクロフォーサーズレンズ「M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8」を装着して撮影した。- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。