気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

PENTAX Q7【第3回】

「07 MOUNT SHIELD LENS」でトイカメテイストに

 今回はPENTAX Q7と同時に手に入れた「07 MOUNT SHIELD LENS」についてレポートしたいと思います。

07 MOUNT SHIELD LENSを装着したところ

 このレンズはQマウントのユニークレンズシリーズの第4番目の製品で、Q7に装着すると35mm判換算で約53mm相当の焦点距離の画角になります。レンズ構成は1群1枚と思い切っていて、トイカメラのような味わいのある描写を楽しめると謳われています。

 絞りはF9固定、ピントも固定で撮影距離の目安は約30cm~2mとありますが実際に使った感じではその範囲はもう少し狭く、1m前後が一番キレイにピントが合うように思います。2m近くはもう像が流れまくってしまっています。とは言ってもこのレンズはいかにピントを合わせるかよりも、いかにムードのある写真を撮るか、おもしろい写真を撮るかに気持ちのピントを合わせたほうが楽しいレンズでしょう。

 肝心の描写ですが、「思っていたよりもしっかり写るな!」と言うのが第一印象でした。もっと全体にチープなトイカメラっぽい、眠いようなまったりした写りかと思ったら中央部はかなりきっちりと描写されてシャープな印象。近距離の被写体をど真ん中に置いて日の丸構図で撮影すれば、かなりくっきりとした画に仕上がります。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
遠景では全体にゆる~っとした描写になります。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/200秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
丸めた紙から覗いているような画が仕上がりました。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/25秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
近距離の中央部はピントが合いやすいのでテーブルフォトもおもしろいかも! 07 MOUNT SHIELD LENS / 1/6秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
被写体によっては無理なく遠近感が強調されて、安価なレンズとは思えないほどです。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/125秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
ピントは赤い舌です。これもかなり近距離で撮影しています。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/100秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
どこに合わせるでもなくパチリ。このレンズはそんな使い方をしたいです。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/100秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
ちょっと変わった噴水。中央部の金属はかなりくっきり描写されています。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/160秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
右側の遠方の被写体は像が流れると言うよりも溶けて消えちゃっていますね(笑)。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/80秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
この周辺部の流れっぷりはネオンなどのナイト撮影も楽しそう! 07 MOUNT SHIELD LENS / 1/5秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
白と赤の被写体もふんわりと仕上がりました。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/5秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
レトロなイメージはやっぱりハマりますね。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/1.7秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm
文字のサイドが像流れしている画像をずーっと見ていると……酔うので気を付けて下さい(笑)。07 MOUNT SHIELD LENS / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 11.5mm

 周辺部の像の流れは、絵の具を水で溶いたようなスーっとしたキレイな流れ方をしています。今回は全体にメリハリのある色調の被写体でしたが、白っぽい被写体をハイキーで撮影すれば、一時期流行ったソフトトーンの柔らかい描写の画に仕上がりそうですね。

 レンズのサイズは全長6.9mm、重さ約8gとまさにボディキャップと間違えるほど。デザインもボディキャップに穴を開けただけのようなチープ感が逆に遊び心をくすぐってくれます。コンパクトなQ7に付けっぱなしにして気軽にスナップするには最適なレンズと言えるでしょう。でも、前述したようにピント合わせはできないので、ピントを合わせたいときはフットワーク軽く自分が前後に動きましょう!

水咲奈々

(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com