気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

ニコンD7100【第4回】

高感度画質をD7000と比較!

 「最近のカメラの高感度性能はスゴイ!!」

 これはコンパクトにもレンズ交換式カメラにも言える事だが、数年前のモデルと撮り比べて、最もその差の大きさを実感するのが高感度性能(感度と画質)である。

 しかも、以前は「同じセンサーサイズで高画素化が進むと、ノイズが増えたりダイナミックレンジが狭くなったりする」と言われていたが、センサー自体の高性能化や(受光感度アップやノイズ対策など)、画像処理エンジンの進化などにより、数年前のカメラよりも“高感度が使えるカメラ”になっているのだ。

 では、「D7100」と前モデルの「D7000」とでは、ISO感度設定によってどの程度の画質差が生じてくるのだろうか? 今回はそのあたりを比較撮影でチェックしてみたい。ちなみに、D7100とD7000の感度設定域はどちらも「ISO100~6400。拡張設定で最高ISO25600相当」となる。

 まずは、日中の撮影で通常感度域(ISO100~6400)の画質をチェックする。使用レンズは「AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED」で、当然三脚を使用。撮影モードは絞り優先オート(ISO6400で露出オーバーにならないようにする関係で、絞り値はF11まで絞り込んだ)、ピント合わせはライブビューによるMF(拡大表示を使用)。なお、ISO感度設定以外の画質に関する設定は、JPEG圧縮:画質優先、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:スタンダード、アクティブ-Dライティング:標準、高感度ノイズ低減:標準とした。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
  • サムネイルは画像の一部分を等倍で切り出したものです。クリックでオリジナル画像を表示します。
四角で囲った部分を作例のサムネイルとして切り出しています。
D7100 / ISO100
D7000 / ISO100
D7100 / ISO200
D7000 / ISO200
D7100 / ISO400
D7000 / ISO400
D7100 / ISO800
D7000 / ISO800
D7100 / ISO1600
D7000 / ISO1600
D7100 / ISO3200
D7000 / ISO3200
D7100 / ISO6400
D7000 / ISO6400

 有効2,410万画素のD7100と有効1,620万画素のD7000とでは、同じ画角で撮影(画面上の被写体の大きさが同じ)しても、等倍表示にすると被写体の大きさは変わって、解像感やノイズの見え方も変わってくる。その点をどう捉えるかによって画質比較の結果は違ってくるが(同じような解像感やノイズなら画素数が多い方が同サイズ観賞では有利、など)、ここでは被写体の大きさの差はあまり考えずに“等倍表示での印象”をチェックするようにした。なお、経年劣化の影響だろうか、ボクのD7000は高感度になるほど赤色のホットピクセル(かな?)が何カ所かで目立つ。

 この日中の撮影では、画素数が多いぶん「D7100は粗が見えやすくなるなぁ」という印象を受けた。ISO100~800くらいまではそう気にならないが、それ以上の感度になるとフラットな部分のざらつき感が目立ってきて、ISO3200以上になると細かい部分の描写なども少々怪しくなってくる。

 ◆     ◆     ◆

 次は、夕暮れの撮影で高感度域(ISO800~25600)の画質をチェックする。こういった撮影では、被写体の細部描写よりも、フラットな空部分のノイズが気になることが多い。しかも、均一なざらつきや色ノイズならまだ許せるが、ノイズ処理の弊害(?)で発生する斑模様状の汚らしいノイズとかは勘弁して欲しいよねぇ。

 ここでの使用レンズは、D7100は「AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VR」で、D7000は「AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR」。いずれも広角端16mmに設定し、三脚使用なのでVR機構はOFFにする。撮影モードは絞り優先で絞り値はF8、ピント合わせはライブビューによるMF(拡大表示を使用)。ISO感度設定以外の画質に関する設定は、多くは日中の撮影と同じだが、ホワイトバランス:電球、長秒時ノイズ低減:する……という点が異なる。

 実は、夕暮れの撮影で異なるレンズを使用したのには理由がある。最初の撮影では、D7100もD7000も「AF-S NIKKOR 16-35mm F4 G ED VR」を使って撮影した。しかし、刻々と暮れていく状況だったので、帰宅して両カメラの画像を比較したら、先に撮影したカメラと後で撮影したカメラでは、背後の空の明るさが全然違う!(泣)……ということで、日を改めて三脚とレンズを2セット用意して“同じ感度は同時に撮影する”という方法を取った。なお、D7100とD7000ではオート時の露出レベルに差があったので(最初の同一レンズでの撮影でもそう感じた)、両者の露出補正の数値が違う点をご承知頂きたい。

四角で囲った部分を作例のサムネイルとして切り出しています。
D7100 / ISO800
D7000 / ISO800
D7100 / ISO1600
D7000 / ISO1600
D7100 / ISO3200
D7000 / ISO3200
D7100 / ISO6400
D7000 / ISO6400
D7100・Hi1(ISO12800相当)
D7000・Hi1(ISO12800相当)
D7100・Hi2(ISO25600相当)
D7000・Hi2(ISO25600相当)

 ISO800や1600あたりは、両者ともさほどノイズ感が気になる描写ではない。ISO3200や6400になると、空部分のノイズによる“ざわついた感じ”が気になってくるが、どちらも優秀な部類の描写だと思う。ただし、ここでも画素数が多いぶん「D7100の方がざらつき感が目立つな」という印象を受ける。だが、Hi1(ISO12800)以上の増感域になると、空のざらつき以外の部分が気になってくる。

 D7100はそうでもないのだが、D7000の方はシャドー部に締まりがなくなってくるのだ(青っぽくかぶる)。特に、最高感度のHi2(ISO25600)ではD7100も締まりは悪くなるが、D7000は一見して「あ~、ちょっとこれは使えんわ」と感じてしまう描写。このあたりの差は、画像処理エンジンの違い(D7100:EXPEED 3、D7000:EXPEED 2)が原因かもしれない。

 先に述べたように、有効2,410万画素のD7100と有効1,620万画素のD7000とでは、同じ画角(同じ絵柄)で撮影しても、等倍表示にすると被写体の大きさは変わってくる。パソコンのディスプレイで等倍表示の一部分をチェックするか? 同サイズにプリントしてチェックするか? だ。まあ、前者のチェック方法だと、どうしても高画素なD7100の方が粗が見えやすくなるが、その点を差し引いてもD7100の高感度画質は良好。被写体や撮影状況、またカメラの設定(高感度ノイズ低減の設定など)にもよるが、スポーツや動物、夕・夜景のスナップなどでは、ISO3200くらいまでなら安心して使えそうだ。

 そして、画質はともかく“シャッター速度の高速化”に主眼を置いた撮影なら、個人的にはHi1(ISO12800)もギリギリ許せる描写だと感じたのである。

吉森信哉