気になるデジカメ長期リアルタイムレポート

ニコンD7100【第2回】

D7000と画質比較。思ったよりも差は少ない!?

 現在のニコンDXフォーマット(APS-Cサイズ)のトップモデルになる「D7100」には、下位モデルの「D3200」と「D5200」に続いて約2,400万画素という超高画素タイプのCMOSセンサーが採用されている(D3200は2,416万画素、D5200とD7100は2,410万画素)。そして、より高い鮮鋭感を得るために、他のDシリーズとは異なる光学ローパスフィルターレス仕様になった。

 これまで「D7000」を使ってきたボクとしては、この画素数大幅アップとローパスフィルターレス仕様によって、どの程度の“描写の差”が生じるのか、とても興味深いところである。――ということで、その違いを確かめるため、近所の公園に出かけて満開を迎えた桜などを撮影してみた。

 一輪のクローズアップ、特定の枝、木全体、桜並木……と、いろんな狙い方ができるのが“桜撮影”の魅力である。その中で、鮮鋭感や精細感が求められる(重要になってくる)のは、木全体や桜並木を狙う場合だろう。そこで、今回の描写チェックでは、主にそういう狙い方をしてみた。

 使用レンズには、手持ちの中で最も解像力が高い(と思われる)「AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8 G ED」を選択。絞り値は、開放から2段もしくは3段絞った、F5.6かF8に設定。ピント合わせはMFで、ライブビューで拡大表示機能を使用しながら厳密に行なう。当然、カメラボディは三脚に据え、レリーズ時のブレを防ぐため「セルフタイマー(2秒)+露出ディレーモード」で撮影する。

 なお、画質関連の設定は、画質モード:FINE、画像サイズ:L、JPEG圧縮:画質優先、ホワイトバランス:晴天、ピクチャーコントロール:SD(スタンダード)、アクティブD-ライティング:しない、感度:ISO100とした。

 ピント合わせ(MF)は、画面中央近くの“いちばん手前の花”で行なった。D7100とD7000の画像を原寸表示(100%)にすると、画素数の違いでD7100の像が大きく見えるわけだが、その状態でもD7000よりも微妙にシャープな描写である。まあ、その描写の差は思ったよりも小さかったが、今述べた“画素数の違いで像が大きく見える”点を考慮すると、同サイズの大型プリントで観賞する場合などは、もっと鮮鋭感や精細感の差が出てくるだろう。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
D7100
D7000

 次は桜ではなく桃の花。満開の桜(ソメイヨシノ)ほど花の密度が高くなかったので、木全体ではなく花の多い枝を中心に切り取ってみた。無風状態で枝の揺れはない。ピントを合わせたのは、画面中央近くの“赤が混ざった白い花”あたり。これも、わずかにD7100の方がシャープに思えるが、その差は最初の“引いた桜の木”よりも少なく感じる。ちなみに、これも「ライブビュー+拡大表示」によるMFピント合わせ。なお、これとは別に、ファインダーでのAF撮影(AF-S+画面中央のAFエリア)を行なったら、カットごとのピントの微妙なズレが意外と気になった。これは、どうしても高画素なD7100の方が目立ってしまう(原寸表示チェックだと)。

D7100
D7000

 最初の桜の木よりも引いた“桜並木レベル”のアプローチ。ここからはD7100のみで撮影している。ちなみに、画面の左側の桜の花(枝)は、画面中央あたりよりも手前に位置するため、必然的にフォーカスはアマめに見える。で、このシチュエーションで、ピクチャーコントロールの「SD スタンダード」をベースにしながら、レベル調整が可能な項目の中から「輪郭強調」を調整して撮影してみた。設定数値が小さいほどソフトな画像に仕上がり、大きいほどシャープ感の強い画像に仕上がってくるわけだ。最小値の「0」だと、かなりユルくてソフトな描写になる。「2」や「3」あたりだと、適度なシャープ感が得られるようだ。メリハリのある描写が好みなら「4」くらいがベストかも。だが、その上の「5」やそれ以上に設定すると、縁取りがキツくなり過ぎて自然な立体感が失われている。

輪郭強調:0
輪郭強調:1
輪郭強調:2
輪郭強調:3(SDの初期設定値)
輪郭強調:4
輪郭強調:5
輪郭強調:6
輪郭強調:7
輪郭強調:8
輪郭強調:9

 最後に、今回のテーマからは少し関係ない要素(彩度とか)も含まれるが、画像の仕上がり具合を決める「ピクチャーコントロール」による印象の違いも確認したいと思う。パッと見た第一印象で「NL ニュートラル」と「PT ポートレート」がソフト。「VI ビビッド」と「LS 風景」がシャープ。――と、感じられる。事実、NLとPTは「輪郭強調:2」で、VIとLSは「輪郭強調:4」なのだ(あとの2つの輪郭強調は3)。

SD スタンダード
NL ニュートラル
VI ビビッド
MC モノクローム
PT ポートレート
LS 風景

 光学ローパスフィルター“ナシ”のD7100と、“アリ”のD7000の画像をチェックしてみたが、思ったよりも差が少なかったのが印象的だった。そう、「D7000もけっこう健闘してるじゃないか」と、感心した次第である。とは言っても、PC画面で原寸表示で細部を厳密してみると、やはり「D7100の方がシャープさでは勝るな」という事も確認できた。ただし、桃の枝の所でも述べたが、ファインダーによるAF撮影だと、慎重にピント合わせしたつもりでも、PC画面上でシビアにチェックすると、ピント位置の微妙なズレが確認できたりする(カメラの液晶モニター再生だとよくわからないレベル)。そのあたりが、“24メガ・ローパスレスモデル”の、難しい部分であり、逆に取り組み甲斐のある部分でもある。

吉森信哉