ニコンD7000【第8回】

〜連写に強いサンディスクSDカードを調べてみた

Reported by 吉森信哉


 撮像素子のさらなる高画素化や、フルHD動画機能などによって、撮影データはどんどんデカくなる一方だ。しかも、D7000のようなミドルクラスのモデルだと、連写速度もけっこう速いので(D7000は最高約6コマ/秒)、それを記録するメモリーカードも「大容量&高速書き込み」の製品が欲しくなって……いや、必須になってくるだろう。撮影間隔が長くなるとか、カードへのデータ書き込み時間が長いとか、そんなカードを使っているとストレスが溜まるからねぇ。

 現在、SDタイプのメモリーカードでは、速度性能の目安に「SDスピードクラス」が定められている。読み書き時の最低保証速度を表すClass 2、Class 4、Class 6、Class 10がそれだ。だから、高画素のカメラで連写したり、フルHD動画撮影をするなら、Class 2ではなく、Class 10や6などの製品を選ぶようにするとイイ。

 ……でも、このSDスピードクラスって、最低限の読み書き速度を保証してるだけなので、同じクラスに属するカードでも、実は性能差はけっこう大きい。事実、ボクが所有する複数のClass 10のカードをチェックしても「えっ、これがClass 10!?」と、疑ってしまうような、書き込みがメチャ遅い製品もある。ええ、以前から所有してるClass 4のカードにぶっちぎりで負けるヤツがいる(笑)。

 最近では、SDスピードクラスとは別に、UHS対応機器で使用すると、さらに高速で読み書きできる「UHS-I」対応のSDXC/SDHCメモリーカードも、数多く発売されるようになってきた。そうねぇ、とりあえず今買うならコレがイイでしょうなぁ! D7000はUHS-I対応だからね。

 でも、UHS-I対応カードと、そうでないカードとでは、書き込み速度の差はどのくらいあるんだろう? あと、SDスピードクラスの違いによる差とかも、ちょっと気になるなぁ。……ということで、手持ちのSDHCメモリーカード(一部、SDメモリーカード)の中から、最も多く所有していて使用頻度も高いサンディスクブランドの製品を集めて、D7000における連続撮影時の書き込み時間をチェックしてみることにした。

 今回の選んだのは、以下のSDHCメモリーカード5枚とSDメモリーカード1枚。

  • エクストリーム・プロSDHC UHS-IカードClass 10
  • エクストリーム・プロSDHC UHS-Iカード
  • エクストリームSDHC UHS-Iカード Class 10
  • エクストリーム SDHCカードClass 10
  • エクストリームIII SDHCカードClass 6
  • ウルトラSDカードClass 4

 上の3枚は比較的最近買ったもので、ここまでがUHS-I対応の製品となる。下の3つはUHS-1に対応していない。

 テスト時のD7000ボディと装着レンズ(AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VR)の設定状態を紹介しておこう。

  • レリーズモード=CH 高速連続撮影
  • 露出モード=Aモード(絞り優先AE)
  • フォーカスモード=AF-C ※レリーズ優先
  • ホワイトバランス=AUTO1
  • ISO感度=ISO400
  • 感度自動制御=OFF
  • 自動ゆがみ補正=OFF
  • アクティブD-ライティング=N 標準
  • 高感度ノイズ低減=NORM
  • VR=OFF

 そして、連続撮影コマ数を設定したうえで連続撮影を開始。

 ……で、終了(最後のコマの撮影を終えた)直後にカウントを開始し、背面の「SDカードアクセスランプ」の点灯が消えるまでの時間を計測する(撮影直後の画像確認は「OFF しない」に設定)。で、3回計測してその平均値を出した(小数点2桁目は切り捨て)。

 一般的に、メモリーカード書き込み速度チェックでは「一定コマ数を何秒で撮り終えるか?」とか「一定時間内に何コマ撮れるか?」といったチェック方法を採ることが多い。…だけど、ボクが撮影中に気になるのは「一定コマ数を連写したあと、どのくらいでカードへの書き込みが終了するか?」なので、上記のようなチェック方法を採用した。

 なお、今回のカメラ設定に関しては、あくまでもボク自身の連写時に多用するスタイルに準じたものなので、D7000の連写性能が最大限に発揮される状態(設定)ではない。また、各メモリーカードの測定値や比較(順位)に関しても、個体差や諸々の事情によって変わる可能性がある。もちろん、D7000以外の機種でも変わってくるだろう。以上、これらの点を、チェック&比較の前におことわりしておきます、はい。

今回計測した手持ちのサンディスク製品たち。上段左からエクストリーム・プロSDHC UHS-IカードClass 10、エクストリーム・プロSDHC UHS-Iカード、エクストリームSDHC UHS-IカードClass 10。下段左からエクストリームSDHCカード Class 10、エクストリームIII SDHCカード Class 6、ウルトラSDカードClass 4

チェックその1(画質モード/FINE・30コマ連写)

 画像サイズは「L 4928×3264ピクセル」で、画質モードは「FINE」。JPEG圧縮は「サイズ優先」に設定。そして、カスタムメニューの「連続撮影コマ数」を30コマに設定。

商品名最大転送速度
(公称値)
計測結果
エクストリーム・プロSDHC UHS-IカードClass 1090MB/秒2.3秒
エクストリーム・プロSDHC UHS-Iカード45MB/秒2.9秒
エクストリームSDHC UHS-IカードClass 1030MB/秒3.5秒
エクストリームSDHCカードClass 1030MB/秒4.5秒
エクストリームIII SDHCカードClass 620MB/秒6.4秒
ウルトラSDカードClass 415MB/秒8.4秒

 まあ、予想どおり最大90MB/秒を誇るエクストリーム・プロSDHC UHS-IカードClass 10が最速だったね。でもって、僅差でClass表記のない45MB/秒のエクストリーム・プロSDHC UHS-Iカードが続く。また、30MB/秒のエクストリームSDHC UHS-IカードClass 10もけっこう速い。

 なお、エクストリーム・プロとエクストリームの4枚は問題なく30コマの高速連写ができたが、エクストリームIIIとウルトラの3枚は、25コマあたりからコマ速が落ちてきた。

カメラを三脚に据えて、同じ絵柄(写真)を連写するちなみに、これが撮影した絵柄。その1ショットのデータ量は、画質モード「FINE」で約6.2MB。「RAW+FINE」だと25MB以上になる

チェックその2(画質モード/RAW+FINE・10コマ連写)

 RAW関連の設定は、記録方式は「ロスレス圧縮RAW」に、記録ビットモードは「14ビット記録」に。JPEG(FINE)の設定は「チェック・その1」と同じ。カスタムメニューの「連続撮影コマ数」は10コマに設定。

商品名最大転送速度
(公称値)
計測結果
エクストリーム・プロSDHC UHS-IカードClass 1090MB/秒7.6秒
エクストリーム・プロSDHC UHS-Iカード45MB/秒8.1秒
エクストリームSDHC UHS-IカードClass 1030MB/秒8.9秒
エクストリームSDHCカードClass 1030MB/秒9.8秒
エクストリームIII SDHCカードClass 620MB/秒12.9秒
ウルトラSDカードClass 415MB/秒17.3秒

 コマ数は10コマに減らしたが、さすがにRAWモードになると書き込み時間は長くなる。とはいえ、結果はチェックその1と同様の順位になった。

 90MB/秒のエクストリーム・プロSDHC UHS-IカードClass 10が最速だが、これ以外の2枚のUHS-I対応カードも肉薄する好成績をあげている。まあ、D7000でRAWモード連写するなら、やっぱりUHS-I対応カードを選ぶのが得策だろうね。

 ただし、今回のチェックで何とか10秒を切ったUHS-I非対応のエクストリームSDHCカードClass 10もぎりぎりアリか!?

 今回のチェック&比較で感じたのは、たしかにUHS-I対応のカードは速かった(そして、グレードが上の製品ほど速い)。だが、非対応カードとの差、つまり、エクストリームSDHC UHS-IカードClass 10とエクストリームSDHCカードClass 10の差は、思ったほど大きくはなかった……ということ。このあたりに、サンディスク製品の信頼感の高さを垣間見ることができた。まあ、D7000の使用説明書にも、「推奨SDカード」に名を連ねてるし、「記録可能コマ数と連続撮影可能コマ数」も8GBのエクストリームSDHCカードを基準に算出してるくらいだからねー。

D7000の記録メディアスロット。SD系のダブルスロットになっている

 かつては高性能だが高価だった、サンディスク製の高性能メモリーカード。だが、最近は高性能タイプのカードも、けっこうお買い得な価格になっているのでウレシイ(CFは高めだけどね)。ちなみに、最近ボクがよく買うのはエクストリームSDHC UHS-IカードClass 10。今回は8GBを選んだが、最も多用するのは16GBである。






吉森信哉
(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”

2012/3/1 00:00