パナソニックLUMIX DMC-GH1【第3回】

ノボフレックス製マウントアダプターを試してみた

Reported by 本誌:折本幸治


DMC-GH1にノボフレックス「MFT/NIK」を装着したところ

 DMC-GH1やE-P1といったマイクロフォーサーズ機における楽しみのひとつが、マウントアダプターによるレンズ交換だろう。マイクロフォーサーズはそのフランジバックの短さから、多種多様なマウントのレンズに対応することはよく知られたところだ。今回はそのうちのひとつ、近代インターナショナルが取り扱っているノボフレックスの「MFT/NIK」(2万5,200円)を購入したので、その使用感を紹介したい。

 MFT/NIKは、ニコンFマウントレンズに対応したマウントアダプター。最大の特徴は、アダプター本体に絞り制御のための調節リングを搭載し、絞り調整までを可能としたところだ。つまり、絞りリングのないGレンズでも絞りを操作できるわけ。いままでマウントアダプターでの本格利用を諦めていたGレンズが、マイクロフォーサーズで使えるようになったのだ。

 製品は金属製で、カラーはノボフレックスの象徴ともいえるブルーのリングが印象的。このブルーのリングで絞り調整を行なう。おそるおそるGレンズをつけてみると、確かに絞りの操作が可能だ。これには少し感動した。絞り操作時に引っかかりやがたつきは感じられず、しっかりした操作感が得られている。

 測光は絞り込み測光でマニュアル露出、または絞り優先AEが使える。絞り込み測光といっても光量が少ない場合は自動的にゲインアップしてくれるので、一般的な一眼レフフォーカスのように開放であわせてから絞り込む必要はない。

 フォーカスもちろんマニュアル。DMC-GH1は4方向ボタン左を押すとすぐ拡大表示になり、シャッターボタン半押しで拡大解除となる。慣れると使いやすく、さらに内蔵EVFは輪郭のピークがわかりやすい。

NOVOFLEXのロゴの下には“Made in Germany”の文字がこの突起が青色リングにあわせて動き、レンズの絞りレバーを動かす

 


絞りを操作したところ

 なお、Dレンズまでの絞りリング付きレンズの場合は、レンズ側の絞りリングを使うことが可能。この場合は一般的なマウントアダプターと同じ使い勝手になる。また、すべてのレンズがスムーズにつくというわけではなく、やたらと装着時に力がいったり、AF-S DX NIKKOR 16-85mm F3.5-5.6 G ED VRなどつかない(私の操作が悪いのかも)レンズあった。

 さっそく、メイン機材としてニコンD200を持参する撮影旅行に、DMC-GH1とMFT/NIKを持参してみた。レンズはニコンが4本。そのうち3本が絞りリングのないGレンズだ。マウントアダプターでの使用を前提とすると、これまでは必然的に古めのレンズをチョイスしていたが、今回は1本を除いてすべて現行レンズだ。なお、DMC-GH1はキットレンズ(LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH.)をつけた状態で、基本的にはスナップと動画を担当させるが、ときにはニッコールレンズで武装することも考える。まあ結局、ほとんどの写真(と動画)をDMC-GH1とそのキットレンズで撮ってしまったのだが……

AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 G。マイクロフォーサーズにない明るい単焦点レンズ先端に行くほど太いラッパスタイル。アダプターとレンズの質感が違うのも気になる
AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 55-200mm F4-5.6 G(IF)。手ブレ補正は効かないもちろん絞りリングのあるレンズも使える。写真はAi AF Micro Nikkor 60mm F2.8 D
非Aiレンズの装着と測光も可能だった。MF操作はライブビューのないD40などより行ないやすい質感の統一感でいえば、おもしろレンズ工房の「ぎょぎょっと20」がぴったりだが……当然絞り操作は不可能

 MFT/NIKを使い始めてとまどったのは、現在の絞り値が常に不明なことだった。レンズに絞りリングが無い上に、絞っても開けてもDMC-GH1側の絞り値表示が「F0.0」から変わらない。ただし絞り優先AEだと絞りに準じてシャッター速度が上がっていくので、ある程度のF値の把握は可能。当然だが、Exifに絞り値は記録されない。また絞り調節リングの操作感だが、回転角が少なくて微調整が難しいものの、もともとアバウトな設定なので大きな問題は感じなかった。

 結果として比較的活躍したのは、AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 55-200mm F4-5.6 G(IF)とDMC-GH1の組み合わせだった。D200での望遠端300mm相当(35mm判換算)を超える400mm相当に対応できたためだ。ただしレンズ内の手ブレ補正は効かないので、ほとんどの撮影で三脚を利用した。手持ちのときはD200で利用することが多かった。

 またホテル内をぶらつくときなどは、AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 GとDMC-GH1の組み合わせを多用した。軽くて気軽に持ち歩ける上、LUMIX G VARIO HD 14-140mm F4-5.8 ASPH. MEGA O.I.S.では難しいボケも狙える。見た目が何だか変だが、使っていて楽しいコンビだと感じた。

 というわけで、それなりに使いどころがあったMFT/NIK。α用のMFT/MIN-AFやペンタックスK用のMFT/PENT用もあるので、絞りリングのないαレンズや、ペンタックスDAレンズをお持ちのマイクロフォーサーズユーザーの方にもおすすめだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
DMC-GH1 / AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 55-200mm F4-5.6 G(IF) / 約4.4MB / 4,000×3,000 / 1/2,500秒 / 0EV / ISO100 / WB:晴天DMC-GH1 / AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 G / 約6.2MB / 4,000×3,000 / 1/250秒 / 0EV / ISO400 / WB:オート
DMC-GH1 / AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 G / 約5.0MB / 4,000×3,000 / 1/2,000秒 / 0EV / ISO100 / WB:オートDMC-GH1 / AF-S DX NIKKOR 35mm F1.8 G / 約4.6MB / 4,000×3,000 / 1/80秒 / +0.3EV / ISO100 / WB:オート

【2009年8月25日】「ヘリコイド」という記述を「調整リング」に改めました。

 





本誌:折本幸治

2009/8/25 00:00