さて、先日発表された新製品「EOS 7D」(10月2日発売)の存在も気になるところではあります。キヤノン的にはEOS 50Dの上位機種という位置づけ。
ではEOS 50Dはもうしばらくは続投? それとも新型にチェンジ? 憶測はさておき、EOS 50Dは今のところ2桁Dシリーズ最新モデルであることには変わりはないでしょう。
という訳でEOS 50Dの先代EOS 40Dと同一条件で撮り比べを行ないました。
それぞれ設定できる最高感度まで撮影し、高感度特性を重点的に比べるつもりでしたが、意外とISO100でも違いは出ました。画素数が異なるのはもちろんですが、EOS 40DよりもEOS 50Dの方がシャドー部の再現性に優れているようです。イチゴのシャドー部を見ていただければわかりやすいと思いますが、EOS 40Dはいわゆるスミっぽくてどす黒い感じですが、EOS 50Dの方がEOS 40Dほどはどす黒くはなく、イチゴの美味しそうな色を保っています。この傾向は高感度になるほど顕著です。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。
●EOS 50D
※共通データ:EOS 50D / EF 100mm F2.8 Macro USM / 4,752×3,168 / F25 / 0EV / WB:マニュアル
・高感度撮影時のノイズ低減:しない
ISO100 | ISO200 | ISO400 |
ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
ISO6400 | ISO12800 |
・高感度撮影時のノイズ低減:弱め
ISO100 | ISO200 | ISO400 |
ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
ISO6400 | ISO12800 |
・高感度撮影時のノイズ低減:標準
ISO100 | ISO200 | ISO400 |
ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
ISO6400 | ISO12800 |
・高感度撮影時のノイズ低減:強め
ISO100 | ISO200 | ISO400 |
ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
ISO6400 | ISO12800 |
●EOS 40D
※共通データ:EOS 40D / EF 100mm F2.8 Macro USM / 3,888×2,592 / F25 / 0EV / WB:マニュアル
・高感度撮影時のノイズ低減:しない
ISO100 | ISO200 | ISO400 |
ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
・高感度撮影時のノイズ低減:する
ISO100 | ISO200 | ISO400 |
ISO800 | ISO1600 | ISO3200 |
高感度のノイズ感については、やはりEOS 50Dに軍配が上がります。少なく見積もっても1段分のアドバンテージはあります。闇雲な画素数アップは画質低下を招くリスクがあるとよく言われていますが、EOS 50DはEOS 40Dよりも画素数がアップしてなおかつ画質も向上しています。更にEOS 7Dは50Dよりも画素数をアップさせていますが、当然画質的にも自信があるのでしょう。同じキヤノンのコンパクトデジカメ、PowerShot G10はPowerShot G11にバトンタッチした際、総合的な画質を上げるためか画素数を下げてきました。コンパクトデジカメでは画素数が下がりましたが、APS-Cはまだ余力があるのでしょうか?
EOS 50DはEOS DIGITALで初めて「高感度撮影時のノイズ低減」を「しない」、「弱め」、「標準」、「強め」の4段階から選べるようになりました。EOS 40Dは「する」、「しない」の2通りだけです。この機能は撮影後にソフトで後処理するよりも、解像感を損なわずノイズが低減される優れものです。EOS 40Dの「する」とEOS 50Dの「標準」でほぼ同じくらいのノイズ低減効果がありますが、さらに効果の高い「強め」と、効果の低い「弱め」が加わり、選択肢が増えるのは喜ばしいことです。
カスタムファンクションにある「高感度撮影時のノイズ低減」。EOS 50Dから4段階から選べるようになった |
ただ、せっかく「しない」も含めると4段階のノイズ低減を設けたのならもう一工夫欲しかったところです。この機能は常に手動で設定し、再度設定を変えない限りはそのままです。これはこれでいいのですが、さらにISOオートと連動してノイズ低減の強弱が自動設定される機能があればと思います。
筆者は現在、EOS 50Dをほとんどスナップ専用で使っています。モードはプログラムかTvにすることが多いですがISOはほとんどオートです。ノイズ低減をその都度変えるように努めてはみましたが、結局忘れることが多く、明るい屋外でISO100なのに「強い」、暗い室内でISO1600なのに「しない」のまま撮影してしまうことがしばしばありました。結局ISOオートではノイズ低減をちまちま変えるのは困難という判断で初期設定の「標準」のままにしています。もしISOと連動してノイズ低減も自動設定される機能も加わればより有効になると思います。今後の新機種に期待です。
それからもうひとつ、EOS 50Dの高感度ノイズ低減について特筆すべき点があります。それは「標準」までは連続撮影枚数が減らないことです。
例えばEOS 40DではISO1600・JPEGラージファインで、ノイズ低減「しない」の場合は連続撮影可能枚数は57枚と表示されます。これはバッファに溜められる分なので、メディアの速度に関わらず最高速連写速度で連続撮影可能な枚数です。ところがノイズ低減を「する」に設定すると、この枚数が6枚と極端に減ってしまいます。
ところが、EOS 50Dでは「しない」、「弱め」、「標準」も共通となり、ISO1600・JPEGラージファインで47枚。「強め」ではさすがに8枚に減ってはしまいますが、EOS 40Dの「する」と同等の「標準」を比べるとその差は圧倒的です。EOS 50DはEOS 40Dよりも若干連写速度が落ちてしまいましたが、高感度でノイズ感を少なくして多くの枚数を撮りたい屋内スポーツなどでは、圧倒的に快適な撮影ができるでしょう。
今回の作例ではけっこうゴミの写り込みが目立ちます。普段から電源ON・OFF時の自動センサークリーニングに任せ切りにした結果ですが、撮影距離が短くF値も大きい条件だと自動センサークリーニングでは限界なのでしょう。
ちなみに当初はもっと絞りを開けて撮っていました。でも今回照明に初めて用いた写真撮影用の蛍光ランプが、インバーターではあるものの1/500秒以上のシャッター速度ではフリッカーの影響でカット毎に色調が変わり、やむなく必要以上に絞り込んでの撮影となってしまいました。
蛍光灯による照明はまだまだ研究中ですが、機会があったらご紹介したいと思います。
2009/9/11 18:33