交換レンズ実写ギャラリー

SIGMA 120-300mm F2.8 DG OS HSM

EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約8.6MB / 3,840×5,760 / 1/200秒 / F2.8 / +1.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm(モデル:夏弥

 望遠レンズでの撮影を行なうものにとって、「サンニッパ」と呼ばれる焦点距離300mm、開放F2.8の大口径望遠レンズは憧れの1本である。かつてプロカメラマンの間では、ポートレート撮影や雑誌、広告でのモデル撮影といえばサンニッパを使うのが定番であった。

EOS 5D Mark IIIとの組み合わせ。発売は4月26日。実勢価格は34万8,000円前後

 300mmという焦点距離が持つ圧縮効果と開放F2.8の浅い被写界深度を活かすことで、人物と着ている衣装はきっちりと描写したうえで、背景を大きくボカすといった撮影ができるからだ。ただし、多くのカメラメーカー純正のサンニッパは非常に高価であり、プロといえどもおいそれと購入できるものではない。ましてやアマチュアとなると雲の上の存在よろしく、手が出せないのが現実だ。

 今回紹介する120-300mm F2.8 DG OS HSMは、サンニッパとしては格段に手にしやすい価格だ。しかも他のメーカーにはない120mmからのズームレンズとなっている。ちなみに「120-300mm F2.8 DG OS HSM」は従来モデルであった「APO 120-300mm F2.8 EX DG OS HSM」をリニューアルしたものだ。シグマの新プロダクトライン「Sports」に属する最初の1本となり、これに伴い外観デザインや細かな造形が一新された。

 また、新たにフォーカスの微調整やフォーカスエリアを制限するリミッター、手ブレ補正機構(OS)の反応の仕方などをユーザー自身が細かくカスタマイズすることができるようになっている(別売のUSB DOCKと専用ソフトが必要。今回は使用していない)。

 レンズの光学設計は旧モデルのものを継承しており、レンズ構成は18群23枚。うち2枚のFLD(“F”Low Dispersion)ガラスと、1枚のSLD(Special Low Dispersion)ガラスを採用することにより諸収差を極限まで補正しているという。そのおかげか焦点距離全域において描写はとてもクリアだ。

 サンニッパレンズの最大の利点ともいえる大きな背景ボケは、もちろんこのレンズでも有効だ。人物の全身撮影においては背景にある建物や木々などを撮影場所のシチュエーションを認識できる程度に程よくぼかすことができ、またバストアップ撮影では背景にある物の形が判らなくなるほどまで強くぼかすことで、人物を浮き上がらせた撮影ができる。

 また望遠撮影時に効果的な手ブレ補正機構(OS)は約4段分の能力を備えており、屋外での撮影はもちろんのこと、舞台撮影などといった限られた光量のなかでの撮影にも、F2.8の明るい開放絞り値とともに優位となる。もちろん本レンズのOSは、モータースポーツ撮影などでの流し撮りにも対応している。

 シグマのプロダクトラインのなかでは「Art」ラインが注目されやすいが、この「Sports」ラインにおいても画質に妥協はしないという決意が伝わってくる、そんな仕上がりのレンズだ。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約6.4MB / 3,840×5,760 / 1/80秒 / F5.6 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm(モデル:夏弥
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約6.6MB / 3,840×5,760 / 1/500秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm(モデル:夏弥
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約12.3MB / 3,840×5,760 / 1/125秒 / F5.6 / +1.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 171mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約5.8MB / 3,840×5,760 / 1/800秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約4.7MB / 5,760×3,840 / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約6.2MB / 5,760×3,840 / 1/160秒 / F2.8 / +1EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約5.4MB / 3,840×5,760 / 1/500秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約7.2MB / 3,840×5,760 / 1/500秒 / F5.6 / +1EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約5.1MB / 3,840×5,760 / 1/13秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約3.8MB / 3,840×5,760 / 1/800秒 / F4 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 171mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約5.2MB / 3,840×5,760 / 1/20秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約5.9MB / 3,840×5,760 / 1/10秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 171mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約4.5MB / 5,760×3,840 / 1/10秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 235mm
EOS 5D Mark III / 120-300mm F2.8 DG OS HSM / 約4.8MB / 3,840×5,760 / 1/640秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 300mm(モデル:あおい)

礒村浩一

(いそむらこういち)1967年福岡県生まれ。東京写真専門学校(現ビジュアルアーツ)卒。広告プロダクションを経たのちに独立。人物ポートレートから商品、建築、舞台、風景など幅広く撮影。撮影に関するセミナーやワークショップの講師としても全国に赴く。近著「マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド(玄光社)」「今すぐ使えるかんたんmini オリンパスOM-D E-M10基本&応用撮影ガイド(技術評論社)」Webサイトはisopy.jp Twitter ID:k_isopy