コーワPROMINARの世界 高画質マイクロフォーサーズレンズの秘密を探る

高い表現力の大口径広角レンズ「PROMINAR 12mm F1.8」

短い最短撮影距離と自慢の逆光耐性 スナップに好適なレンズ現る

PROMINAR(プロミナー)レンズの魅力を探る本連載も今回で4回目。前回の「PROMINAR 8.5mm F2.8」に続き、今回は「PROMINAR 12mm F1.8」を紹介します。高品質でかつ使って楽しい広角レンズとは?

コーワPROMINARの世界

PROMINAR 12mm F1.8は、3本あるプロミナーレンズの中で中間の焦点距離に位置する広角レンズ。画角を35mmフルサイズに換算すると24mmに相当し、PROMINAR 8.5mm F2.8(17mm相当)では画角が広すぎ使いにくいと感じる人にお勧めの焦点距離だ。

さらに開放F値も1.8と明るく、広角レンズでありながら被写界深度の浅い表現が可能。もちろん暗い場所での手持ち撮影にも威力を発揮する。

付属の花形フードを取り付けた状態

8.5mmに次ぐディストーションの少なさが魅力

ボディ側のソフトウェアに頼るのではなく、光学的補正を徹底的に行い各収差を取り除くのがコーワのポリシー。このレンズも例外ではない。8.5mmと並び広角レンズ特有のディストーションが少ないことが大きな特徴で、撮影時にEVFの像がまったく歪まず気持ちよく撮影ができる。

カタログに記載されているディストーションは0.59%。前回、説明した通り、この数値はTVディストーションなので、デジタルカメラの光学ディストーションに直すと約3倍になる。8.5mmの0.12%には数値では及ばないが、12mmの方が画角が狭いので視覚的な差はほとんど感じられず、実際には同等と考えて差し支えないだろう。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/15秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル

絞り開放から高画質を実現

他のレンズと並び、高解像度もこのレンズのセールスポイントだ。広角レンズにありがちな周辺部の画質低下が少なく、絞り開放から安心して使うことができる。

ただし絞り開放だと、画面四角の非常に狭い範囲に画質が低下が見られる傾向がある。これが目立ちやすい被写体を撮影するときは、1〜2段ほど絞ると良いだろう。このほかフローティング機構の採用で、近距離から無限遠まで均一な画質が得られる。

画面周辺部まで高解像度を維持。拡大して見るとシバザクラの小さな花の一輪一輪が見事に写し出されている。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/500秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ビビッド
上記写真の左下を等倍で切り出したもの

このような被写体の場合、絞り開放だと周辺部の画質低下が目立つことがある。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/100秒 / F1.8 / 0EV / ISO1000 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル

絞りを1段絞るとかなり改善される。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/50秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル

ゴーストやフレアを低減する独自のコーティングと丁寧な内面反射処理

レンズ構成は10群12枚で、後群にXDガラスと非球面レンズを使用。8.5mmに比べると、群数が多く空気接触面が増えているが、独自のコーティングと徹底した内面反射防止処理によりゴーストやフレアを極限まで除去。逆光時の画質低下を防いでいる。

画面右上、建物の隙間に太陽が見えているが、フレアによる画質の低下がなく、全体にコントラストの高い画が撮れた。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル

0.2mの最短撮影距離と大口径レンズらしい表現

PROMINAR 12mm F1.8の最短撮影距離は0.2m。広い画角を活かし遠近感を強調した接写ができる。また被写体まで思い切り近づき絞りを開ければ被写界深度を浅くすることが可能。さらに9枚羽根の円形絞りの採用で絞ったときのボケも汚くならならない。

最短撮影距離の0.2mで撮影。遠近感を強調するとともに、絞りを開けることで、被写界深度も浅くなった。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ビビッド
絞り開放から1段づつ絞って撮影
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/1000秒 / F1.8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ビビッド
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/400秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ビビッド
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/200秒 / F4 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ビビッド

コンパクトなボディに付ければスナップにぴったり

ディストーションの少なさと高解像度がプロミナーの広角レンズに共通した特徴だ。12mmは最初に説明した通り、8.5mmほど画角が極端に広くないので「いかにも広角レンズで撮りました」といった主張が少なく、このレンズをボディに付けっぱなしにして、気軽にスナップ撮影を楽しむのにぴったり。

さらに開放F値がF1.8と明るく、それほどISO感度を上げなくても暗い場所で手持ち撮影ができるなど、OLYMPUS PENシリーズのようなコンパクトなボディとの相性も良い。

KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/1250秒 / F8 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ビビッド
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ビビッド
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/200秒 / F1.8 / +1.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/100秒 / F1.8 / 0EV / ISO1600 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/8秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル
KOWA PROMINAR 12mm F1.8 / OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II / 1/60秒 / F4 / 0EV / ISO1600 / 絞り優先AE / 仕上がり:ナチュラル

前回のレポートでも触れたが、単焦点レンズは、自分の足で動いてカメラをアングルを探さなければならない。そのため経験を積むうちに自分の意図にあった写真が撮れるベストポジションが自然にわかるようになる。

12mmという焦点距離は、12-50mmのような標準ズームに含まれるので、単焦点レンズは不要と思われるかも知れないが、このレンズはディストーションの少なさや高解像度などズームレンズにない魅力が満載。ワンランク上の表現を目指すなら、ぜひ手に入れたいレンズと言えるだろう。

ボディがコンパクトなOLYMPUS PEN E-P5と組み合わせてみた。見た目はレンズが大きく感じるが、手に持ったときのバランスはなかなか良い。意外なことに、レンズ鏡筒のシルバー仕上げがボディと一致。まるで意図したかと思えるくらいマッチしている

 ◇           ◇

今回は3本あるプロミナーレンズのうち、広角レンズの決定版というべき12mmをレポートした。8.5mmに次いで12mmと広角レンズが続いたが、シリーズ最終回となる次回はPROMINAR 25mm F1.8をレポートする予定。スナップ写真の王道とも言われる標準レンズの使いこなしを含め、このレンズの魅力を紹介することにしたい。

次回採り上げるPROMINAR 25mm F1.8(左)

中村文夫

(なかむら ふみお)1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。