ユーエヌ「プロフェッショナルブラケットDシステム」(UNX-8111)

機能が光るストロボブラケットの新星

 クリップオンストロボとカメラボディを装着する際、ポートレート撮影などでよく使われるのが「ブラケット」と呼ばれる撮影用品だ。ストロボの発光位置をレンズ上側に配置するのが主な目的で、一般的には報道カメラマン御用達のアイテムとして知られる。

 今回紹介するのは、ユーエヌが5月25日に発売した「プロフェッショナルブラケットDシステム」(UNX-8111)。カメラバー、ストロボバー、サブバーの3本のバーからなる構成で、素材はアルミだ。ブラケットそのものの重量は約360g。一体型のブラケットより分離型のブラケットは高価だが、分離するとカメラバッグ内での収まりが良い。さらに、ニッシンジャパン製のシューコード(シンクロコード)40cmが付属する。

UNX-8111の使用例。D700とSB-900を装着している。発光部の高さをなるべくレンズの高さに合わせてみた撮影者側から見たところ。内蔵ストロボのコマンダー機能を使えば、シンクロコードを省くという選択肢もある

 最大の特徴は、ストロボ配置における自由度の高さだ。カメラバー、ストロボバー、サブバーの3つの固定位置や角度を変えることによって、ボディとストロボの位置関係を何通りも試行錯誤できる仕組み。カメラバーとサブバーはネジおよびピンで接合するが、カメラバー側には取付けネジ穴が4段あり、1段につき2通りの角度でピン穴が空いている。さらにサブバーにも3通りの角度でピン穴が空いているなど、この手の製品としては至れり尽くせりのデザインとなっている。

 一般的にクリップオンストロボは、レンズの垂直上に位置するのがベストとされる。横方向への影が生じにくいためだ。とはいえ、ブラケット、カメラボディ、クリップオンストロボの大きさはまちまちなので、ブラケットを使用しても、必ずしもきれいな配置になるとは限らない。仕方なく「発光部がレンズの斜め上」というユーザーもいることだろう(それでもボディのホットシューに取り付けるよりははるかにマシ)。本製品のように自由度が高いと、よりベストなセッティングに近づけることができるはずだ。

UNX-8111の主要パーツ。カメラバー(上段)、サブバー(下段左)、ストロボバー(下段右)3つのバーを組み合わせたところ。剛性感は高い
カメラバー側の接合部。大きな穴がネジ用、小さな穴がピン用サブバー側にもピン用の穴が複数存在する

・カメラバーとサブバーの取付け位置による違い
※このほかにもサブバーでの角度調整が可能

・ストロボ位置による影の出方の違い

※使用機材はD700、AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED、SB-900など。

ストロボをカメラのホットシューに装着(レンズの右で発光)ブラケットを使ってストロボをカメラの直上に装着(レンズの上で発光)

 特徴はほかにもある。例えば付属のシンクロコードは各社のTTL調光に対応している。そのため、キヤノンとニコンの両システムで使い回す、といった利用法が考えられそうだ。

 また、ストロボバーとクリップオンストロボは、クリップオンストロボのシンクロ端子を利用して結合できる。キヤノンとニコンではシンクロ端子の位置が違うため、ストロボバーには2カ所のネジ穴を用意。固定のためのナット・ネジについても、長さの違う2種類が付属するといった芸の細かさだ。結合できるストロボは、キヤノンが「580EXII」、「580EX」、「430EX」(純正ブラケットSB-E2に装着が可能な製品)。ニコンが「SB-900」、「SB-800」、「SB-28DX」、「SB-28」(純正ブラケットSB-E2に装着が可能な製品)。結合すればハードなカメラワークにも対応できるのが魅力だ。

ニコンSB-900の結合例。付属のナット・ネジを使うこちらはキヤノンの580EX
付属のナット・ネジ。左がニコン用、右がキヤノン用

 結合をあきらめれば、上記以外の機材でも使用できる。説明書によると、EOSデジタルシリーズ、キヤノンPowerShotシリーズ(ホットシューを装備したもの)、ニコンのデジタル一眼レフカメラ、COOLPIXシリーズ(ホットシューを装備したもの)、富士フィルムFinePix Proシリーズ、ペンタックスのデジタル一眼レフカメラ、サムスン製デジタル一眼レフカメラが使用可能だ。

 最後に付属のシューコードについて。両端にシューコンタクトを備える特殊なタイプで、2つのクリップオンストロボを装着できるのが特徴だ。2つを同時に発光させることは無理だが、どちらを発光させるかはスイッチで切り替えられる。ボディ側が横位置用、ストロボバー側が縦位置用といった使い分けが考えられそうだ。ニッシンジャパンの「SC-01」(6,800円)の同等品と思われるが、SC-01はカールコード、本製品はストレートコードという違いがある。

 ブラケットでのストロボ撮影に興味を持つ人はもちろん、一体化型から分離型にランクアップしたい人、あるいはキヤノンとニコンを使い回している人などに、ぜひ試してみてほしい製品だ。

ニッシンジャパン製のシューコードが付属するマルチコンタクトシューを採用。各社のTTL調光に対応する
どちらのストロボを発光させるかは、切替スイッチで選択可能。TOPにするとカメラバー側、EXTにするとストロボバー側のストロボが発光するSB-800とSB-900を装着。同時発光は不可能だが、縦位置と横位置で発光させるストロボを切り替えられる


(本誌:折本幸治)

2009/6/3 19:43