今回は、ハンファジャパンが7月に発売した5型ワイドの外付け液晶モニター「HM-TLB5A」を紹介する。
EOS 5D Mark IIに装着した「HM-TLB5A」 |
こういった外付け液晶モニターは、主にデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラで動画を撮影する際に便利なアクセサリーだ。いま市場にはさまざまな外付け液晶モニターが出ているが、本機は直販価格で1万9,990円と2万円を切る価格が魅力になっている。
パッケージがハンドル付きのキャリングバックになっている。フタがマグネットで留まるようになっており、保管にも便利だ | 箱にはバッテリーもちょうど収まる(バッテリーは別売) |
■映り込みにくいノングレアパネルを採用
デジタルカメラとは基本的にHDMIで接続する。なお、HDMI端子のないカメラの場合はコンポジットでも接続可能だが、HM-TLB5A側はBNC端子なので「RCA←→BNC」の変換コネクタが必要になる。
左右にも三脚穴を備える |
上面には三脚穴無し | 底面にはもちろん三脚穴が付く |
カメラのホットシューに装着する場合は、付属のアクセサリーシューマウントアダプターを使用する。自由雲台になっているので角度は自在に設定可能だ。屋外で使用する場合はサンシェードを装着すると多少見やすくなった。CLM-V55は付属シェードがポップアップ式だったので、HM-TLB5Aの固定式シェードは見劣りする。ただ、CLM-V55はグレアパネルで屋外での映り込みが比較的多かった。その点HM-TLB5Aはノングレアなので、見やすい印象だった。
付属のアクセサリーシューマウントアダプター | こちらも同梱されているスタンド。ネジ止めして使用する |
パネルの解像度は800×480ドット。視野角は左右75度、上60度、下70度となっているが、特に下側の視野角は広くない印象だ。できるだけ正面から見るようにしたい。
表面がノングレア処理のためグレアパネルよりも映り込みが少ない | 付属のサンシェード。折り畳み式だとなお良かった |
■使い勝手の良いファンクションボタン
各種の操作は、前面にある8個のボタンと2つのダイヤルで行なう。ボタンは電源と入力切り替えのほかに、F1~F4のファンクションキーがある。ファンクションキーはユーザーによる機能割り当てが可能だが、デフォルトではF1が「ターゲットマーク」、F2が「オーバースキャン」、F3が「カラーモード」、F4が「レシオ」になっており、素早く設定を変更できる。
前面のボタンは自照式で、選択していたり機能が有効になっていると光る。3.5mmのヘッドホン端子も装備 | ダイヤルは輝度や音量を調整できる(機能は変更可能)。また、メニュー調整に使用する |
入力端子。HDMI以外はBNC端子になっているので、民生機とつなぐ場合は変換コネクタが必要。HDMI出力は非搭載だ |
ターゲットマークは、中央に十字線を表示するモードで、同時に四角の枠も出る。F1ボタンを押すごとに枠の大きさが変化し3種類から選択できるようになっている。オーバースキャンは画面をほんの少しズームして表示する(周囲が僅かに欠ける)機能で、ブラウン管のテレビの表示に合わせるためのモードだ。カラーモードではカラー、モノクロ、赤成分のみ、緑成分のみ、青成分のみを順次切替えられる。レシオは、16:9と4:3を切替えるためのものだ。
さらにダイヤルを使うと、オンスクリーンメニューで輝度、再度、シャープネス、色相、色温度などを変更可能。色温度は9,300K、7,500K、6,500Kの3つがプリセットされているが、赤、緑、青成分を調整してカスタムすることもできる。
設定はオンスクリーンメニューで行なう |
ピクチャーメニューの内容 | ボタンとダイヤルはユーザーが機能を割り当て可能 |
■EOS 5D Mark IIで試用してみた
EOS 5D Mark IIはライブビューの画面は1,080iで出力されているが、録画を開始すると480pになってしまう。このため、録画をモニターする場合はレシオを4:3モードにしておく必要がある。
フルHDで録画中の画面。フルスクリーンにはならない。カメラの文字表示を消すことも可能だが、表示サイズは変らない | ターゲットマークを表示したところ。カメラの映像出力のせいで十字マークが中央には来ない |
またEOS 5D Mark IIの場合、露出インジケーターやバッテリー残量表示などのエリアも含んで出力されるため、録画のエリアはHM-TLB5Aの中央に表示されフルスクリーンにはならない。INFOボタンで文字表示を消しても表示はそのままだ。これはCLM-V55の場合と同様となる。「EOS 7D」の場合はEOS 5D Mark IIよりも録画時の画面が大きく映るが、上下の黒帯はそのまま表示されるので、やはりフルスクリーンにはならない。
表示をモノクロにすることも可能 | 再生時はフルスクリーンになる |
なお、EOS 5D Mark IIでも再生時はフルスクリーンで見ることができる。
EOS 5D Mark IIに装着したところ(サンシェード無し) | 同サンシェード有り |
■バッテリーと充電器代も見込んでおこう
HM-TLB5Aのセット内容だが、本体、サンシェード、アクセサリーシューマウントアダプター、スタンド、バッテリーバックプレート(2種)、ACアダプターとなっている。ケーブルとバッテリーは別売だ。
バッテリーは付属のバッテリーバックプレートを介して本体に装着する | ソニーのバッテリー「NP-QM71D」を装着したところ。本体充電は非対応 |
バッテリーはハンディカム用の「NP-F970」、「NP-QM91D」、「NP-QM71D」およびそれらの互換バッテリーが使用可能で、付属のバッテリーバックプレートを介して本体に装着する(本体充電は不可)。ちなみにこれらのうち最も安いNP-QM71Dの実勢価格は9,980円前後。対応充電器「BC-VM10」が同5,980円前後なので、計1万6,000円程度がかかる。ソニー製ではない互換バッテリーと互換充電器を選択すれば数分の1とかなり安く抑えられるが、ソニー製という安心感も捨てがたい。
先般レビューしたソニーの外付け液晶モニター「CLM-V55」もバッテリーと充電器は別売。ハンディカム用バッテリーのほか、一部のα(Aマウントカメラ)のバッテリー「NP-FM500H」(α900、α77などで採用)にも対応しているので、Aマウント機のユーザーはバッテリーのみを買い足すだけで利用できた。だがそれ以外のユーザーに関しては、バッテリーと充電器を別途購入しなければならなかったので、この点はHM-TLB5Aと同様だ。
本体、アクセサリーシューマウントアダプター、バッテリーバックプレートを合わせた重量 | 左に、NP-QM71Dを追加した重量 |
■まとめ
表示サイズの問題はカメラ側の仕様なのでいかんともしがたいが、それでもカメラの液晶モニターよりは大きく見えるし、フリーアングル液晶モニターのように自由な向きに設定できるのが大きなメリットだろう。三脚に取り付けてパンやチルトの撮影をする場合、やはり背面液晶モニターは場所的に見にくいものだ。
HM-TLB5Aは、これまの外部液晶モニターに比べると手ごろな価格と言える。本格的に動画撮影をしたい人は検討してみては如何だろうか。
背面にメイン電源スイッチも装備 | 付属のACアダプタで動作させることもできる |
【2011年9月7日】記事初出時「パネルの解像度は800×600ドット」と記載しておりましたが、正しくは「パネルの解像度は800×480ドット」です。
2011/9/6 00:00