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ワンロード「パノラマブラケット」

〜ソニー「NEX」のスイングパノラマがさらに綺麗に

 ソニーのデジタルカメラに搭載されている「スイングパノラマ」といえば、カメラを一振りするだけで簡単にパノラマ写真が合成できる機能だ。それまで面倒だったパノラマ撮影を一気に身近な存在にしたのは間違いなく、愛用している人も多いだろう。

パノラマブラケットに「NEX-5」をセッティングしたところ。左から「三脚取り付けタイプ」と「ハンディタイプ」

 スイングパノラマは優秀な機能だが、被写体の状況や振り方によってはうまく繋がらないシーンを経験した人もいるだろう。そんな状況をサポートするアクセサリーが登場した。ワンロードの「パノラマブラケット」だ。直販サイト「パノランド」で取り扱っている。

 パノラマ合成のための分割撮影ではカメラをパンするわけだが、このとき視差が少なくなる「ノーダルポイント」を中心に回転させると綺麗に合成できることが知られている。ノーダルポイントはレンズ鏡筒に来るため、手持ちのスイングでノーダルポイントを中心に回転させることは困難だ。

 パノラマブラケットは、この“ノーダルポイントを中心に回転させる”ことを容易に行なうアイテムだ。手持ちができる「ハンディタイプ」と「三脚取り付けタイプ」の2種類があり、直販価格はいずれも1万9,800円。6月18日までは記念セールとしてハンディタイプを1万4,850円で、三脚取り付けタイプを1万7,800円で販売している。

 対応機種はソニーの「NEX-5」と「NEX-3」。以下のレンズに対応している。

  • E 18-55mm F3.5-5.6 OSS
  • E 16mm F2.8
  • ウルトラワイドコンバーターVCL-ECU1
  • フィッシュアイコンバーターVCL-ECF1

しっかりした造りで滑らかな回転が可能

 三脚取り付けタイプは、普段使っている雲台に装着して使うブラケットだ。ブラケットにはノーダルポイントの位置が刻印してあり、レンズによって調節して使う。ノーダルポイントはレンズメーカーが公開しているわけでもなく、自分で算出するのは面倒だ。その点ワンロードでは、独自にノーダルポイントを特定しているのですぐに撮影できる。

三脚取り付けタイプは、回転する台座にブラケットが載る形 本体はアルミの削りだしで精密感が漂う。黒い部分はアルマイト処理を施してある
コルクの部分でカメラを固定する。奥のピンはカメラを正面に固定するためのものだ。ゴムが巻いてありカメラが傷つく心配がない レンズにあわせて位置を調節できようノーダルポイントが示してある。台座には角度の目盛入り。いずれもレーザー刻印だ

 カメラとレンズをセットしたら、スイングパノラマモードにしシャッターボタンを押してカメラを回転させるだけで良い。ブラケットはアルミ製でがっちりした作りの印象を受けた。回転角の目盛もあるので、ソフトでの合成を前提にした分割撮影でも活用できそうだ。

E18-55mm F3.5-5.6 OSSでのセット例 E16mm F2.8でのセット例
E16mm F2.8+ウルトラワイドコンバーターVCL-ECU1でのセット例 E16mm F2.8+フィッシュアイコンバーターVCL-ECF1でのセット例
細かい部分だが、ブラケットを付けたままでも記録メディアやバッテリーが交換できる配慮が嬉しい ブラケットをセットしたところで雲台の水平を出しておくと、傾きのないパノラマ写真が撮れる

 もう一方のハンディタイプは、グリップとパノラマブラケットから成る製品。ブラケット自体は三脚取り付けタイプと共通のものだ。グリップを持ちながら回すことで、ノーダルポイントからずれないように撮影できる。普通にスイングするのに比べると、かなり安定して撮影できるようになる。ただし、うまく回せるようになるには少し練習が必要かもしれない。三脚を持たない撮影には、こちらを選びたい。

ハンディタイプ。スポンジのグリップを持ちながらカメラを回転させて使う。ブラケット部分は三脚取り付けタイプと同じものだ
どちらも重さは290g弱。ハンディタイプは適度な重量感で、カメラを載せたときのバランスは良く感じた

パノラマブラケットの実力を見る

 実際に「手持ち」(普通のやり方)、「ハンディタイプ使用」、「三脚取り付けタイプ使用」の3つでスイングパノラマを撮り比べてみた。カメラはNEX-5を使用した。

 手持ちでは、画像の一部に段差が現れる場合がそれなりにあった。といっても水平をしっかり意識すれば大きくずれることはなく、拡大しなければ違和感は少ない。ただ、ワイドコンバーターやフィッシュアイコンバーターを使用した場合に、例えば手前に柵などが写った際に段差が生じてしまうことが確認できた。

 手持ちの結果を踏まえてハンディタイプを使用したところ、だいぶ滑らかに繋がるようになった。手持ちで不安定になるかと思ったが、意外とノーダルポイントが大きくずれずに回転できた。グリップを握る左の脇をきちんと締めて撮影するのがコツだ。ただ180度を超えるような画角になる場合、うまく自分の体を移動させながら回転させないと最後の方で自分が写ってしまったりする。

 さらに三脚取り付けタイプだが、これはかなり精度良くパノラマを生成することができた。シャッターボタンを押した後、軽い力でカメラを回すだけなので回転ムラなく一定の速度で回せる。

レンズ別実写サンプル

 同じ設定で何回も撮影して良いものを選ぶ、というやり方だと正しい判断ができなくなるので思い切って各設定で1回きりの一発撮りとした。1枚だけ撮影に失敗しているカットがあるが、敢えて載せた。操作に慣れれば、こうした失敗もなくなると思う。

※作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、長辺800ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・E 18-55mm F3.5-5.6 OSS

【手持ち】拡大しなければさほど違和感はないが、正面のコンテナタンカーに段差が発生している
【ハンディタイプ使用】正面のタンカーも綺麗に繋がった
【三脚取り付けタイプ使用】白い船からのロープが少し切れいているが、それ以外に破綻は無い

・E 16mm F2.8

【手持ち】右側の白い船に段差が出てしまった。また、その船から出ているロープが途中で切れている
【ハンディタイプ使用】白い船のロープはここでも切れてしまった。ただ、手持ちの時に白い船に発生していたズレは無くなった
【三脚取り付けタイプ使用】ほぼパーフェクトな写り。正面タンカーの吃水線が若干うねっているかな、という程度

・E 16mm F2.8+ウルトラワイドコンバーターVCL-ECU1

【手持ち】注目して欲しいのは手前の柵だ。自分に近いところほど段差が大きくなっている。ごく近距離の被写体に段差が発生するのは、手持ち撮影時の弱点のようだ。そのほか“羊蹄丸”の文字と船体および正面のタンカーに少し段差(ダブり)が見られるが、さほど目立つものではない。白い船から出ているロープはここでも切れてしまった
【ハンディタイプ使用】先ほど問題だった“柵”を見て驚いた。画面下端の一部を除いて段差が消えている。効果絶大だ。一方、“羊蹄丸”の文字や白い船のロープに問題はなかったが、羊蹄丸の船体に少し段差が出てしまった。トータルでは、大幅に良くなったと言えそう
【三脚取り付けタイプ使用】これはちょっと失敗例となってしまった。言い訳がましいが、どうやらカメラを回転させる速度が遅すぎたようで、右端の絵が足りずグレーになってしまった。これに関連してか、白い船の一部がダブってしまった。適切な速度で回転させていればこうはならなかったのだろう。回転速度には気をつけたいところだ

・E 16mm F2.8+フィッシュアイコンバーターVCL-ECF1

【手持ち】遠景は問題なく綺麗に繋がっており、白い船からのロープも繋がった。やはり手前の柵に大きな段差が出てしまった
【ハンディタイプ使用】上の作例で盛大に発生していた柵の段差は、こちらでも概ね改善された。また右下に白いものが写っているが、筆者のミスだ。このコンバーターは画角が広いのでおもしろいが、自分の写り込みに注意したい
【三脚取り付けタイプ使用】ほとんど完璧な写り。手前の柵も右側のほんの少しを除いてズレは発生していない。船やロープにも問題は無い

 今回いろいろなシーンで撮影したが、ほとんどの場合いずれかのパノラマブラケットを使った方が成功率が格段に高かった。ただパノラマブラケットを使っても、どうしても微妙にズレが発生する場合もたまにあったので万能とは言えない点は了承しておいて欲しい。

 それからソニーの名誉のために触れておくが、手持ちで撮影したスイングパノラマにいつでもズレが生じるわけではない。振り方や被写体によっては「段差が発生するときもある」ということだ。一度失敗しても撮り直すとうまくいく場合もある。スイングパノラマは、特に仰角(俯角)を付けて振ってしまうと失敗しやすいとされる。ハンディタイプも含めて、ブラケットを使用すると水平を維持しやすいのも成功率が高くなる要因のように思った。

これは手持ちで撮影したものだが、このようにほぼ問題なく繋がる場合も多い。E 16mm F2.8+フィッシュアイコンバーターVCL-ECF1で撮影

スイングパノラマの実力を引き出せるアイテム

 今回改めて、スイングパノラマのすばらしさを実感したというのが正直なところだ。NEXをお持ちであれば、ぜひウルトラワイドコンバーターかフィッシュアイコンバーターを使ったスイングパノラマに挑戦して欲しいと思う。180度を超えるようなパノラマ写真はとても迫力があるし、旅行のよい思い出にもなるだろう。

 そうした場合にこのパノラマブラケットがあると、撮影もしやすいし仕上りもずっと良くなる。スイングパノラマの実力を存分に発揮させるためのアイテムだと考えられる。気軽な撮影ならハンディタイプをバッグに忍ばせておくと便利だと思うし、本格的にパノラマ作品を撮るのであれば、三脚取り付けタイプを一考してみてはいかがだろうか?




(本誌:武石修)

2011/5/19 00:00