シンクタンクフォト「レトロスペクティブ5」

ミラーレスカメラの収納に適した“地味”バッグ

 2010年6月に登場したレトロスペクティブシリーズは、ジャーナリストによる使用を想定し、「地味であること」を特徴とした、一風変わったカメラバッグだ。

 以前に当コーナーで紹介した「レトロスペクティブ30」をはじめとした一連のカメラバッグは、デジタル一眼レフカメラ、交換レンズ、クリップオンストロボといったシステム一式を収める大型のシリーズだった。

 今回紹介する「レトロスペクティブ5」(1万6,800円)は、ミラーレスカメラの収納にも適した小型タイプだ。用途としては、ミラーレスカメラによる動画記録を用いた取材なども考えられる。カラーは大型タイプのレトロスペクティブ30/20/10同様、パインストーンとブラックをラインナップ。今回はパインストーンを試用した。

レトロスペクティブ5

 外寸は25.5×21.5×15cm、内寸は24×20×11cm。収納容量と引き換えに機動性を向上しつつも、内部構造は大型タイプとほぼ同様。バッグとしての機能性をしっかりと維持している。外観はきわめて地味でそっけなく、ロゴの類も背面に小さくパッチが縫い付けられているのみ。実用重視のストイックなイメージは、どことなくドンケに通じるものがあるように感じた。

 目立たないことを第一に考えられている構造は従来モデルを踏襲し、面ファスナーによる着脱を伴う、すべての箇所に消音用のパッチを備える。例えばポケットを留めるテープは、ポケットの外側だけでなく、内側にも留まるようになっている。面ファスナー特有の剥離音を防止するとともに、テープがポケットの中でしっかり留まっていることで、収納物の取り出しを妨げない仕組みだ。当然、消音パッチ使用時は面ファスナーの接着がされないので、収納物の落下には気をつけたい。

テープをポケットの外側で留めたところテープをポケットの内側で留めたところ。剥離音がしない代わりに接着力が失われる
フラップの消音パッチ。右が消音状態バッグ内部

 収納は、バッグ前面に1つ、背面に1つ、内部はメイン収納部に加え、両側面に各1つ、背面側に1つ。大きなバッグではないので、メイン収納部以外のそれぞれの収納力はおまけ程度に考えておいた方がいいだろう。

 メイン収納部と前面ポケットは開口部が大きく、手探りでも探し物が見つけやすい。ミラーレスカメラを収納した方が余裕を持って使えるが、デジタル一眼レフカメラと交換レンズ1~2本程度なら、問題なく収納できる。

DA 17-70mm F4 AL [IF] SDMを装着したK-5とAF-540FGZを収納したところ。K-5に隠れて見えない部分にはD FA 50mm F2.8 Macroも収納している。空いたスペースにはUSBカードリーダーとICレコーダーを収納しているM.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 IIを装着したE-PL2と、LUMIX G 20mm F1.7 ASPH.を装着したLUMIX DMC-GF2を収納。このほか、USBカードリーダー、ICレコーダー、LEDライト、ブロワー、書籍などを詰め込んでいる

 前面ポケットはだいたい四六判の書籍が収まる程度の大きさ。初期状態では、ここにレインカバーが入っている。

 内部側面のポケットは、SDメモリーカードやCFなど記録メディアを入れておくのに丁度よい大きさ。小型の充電器も収まる。写真ではモバイルルータを入れている。

前面ポケットの収納例。充電式単3電池の充電器や携帯電話などが入る背面ポケットには文庫本が入る

 レインカバーも付属する。素材はカラーによって異なり、パインストーンはコットン、ブラックはナイロンとなっている。ブラックにはもともと多少の撥水性があるが、パインストーンには撥水性がないので、雨天時は面倒でもレインカバーの使用をお勧めする。ただし、レインカバーには切れ込みなどはないため、機材を取り出す際の即時性は低下する。

レインカバーレインカバーは取り外し可能
レインカバーを装着したところショルダーパッド

 従来モデルと同様の機能性を有すると同時に、小型化によってバッグ自体の取り回しも格段によくなっている。サイズが小さいこともあって収納物の分布が把握しやすく、使い慣れるとほとんど手探りでも完璧に機材の出し入れができるようになる。従来モデルでは大きすぎて敬遠していた人も、店頭で見かけた際は、ぜひとも一度試していただきたい一品だ。




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2011/5/11 00:00