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ニコン「ニッコールタンブラー24-70」

〜交換レンズそっくりな遊び心あふれるグッズ

 25日現在、4月のデジカメWatchの記事で最もページビューを稼いでいるのは、4月7日に公開した“交換レンズ風の「ニコン純正」タンブラーが発売”というニュース記事だ。ページビューは13万強。デジタル一眼レフカメラ「D5100」の発売を伝える記事(ニコン、3型バリアングル液晶を採用した「D5100」)のページビューが8万弱なので、いかにこの製品のインパクトが強かったかがうかがわれる。

ニッコールタンブラー24-70(カメラは付属しない)

 販売サイトのニコンダイレクトでも即日完売を告知。発売再開まで2週間以上を必要とし、さらに現在では1日あたりの台数を制限しての販売となっている。ちなみにニコンダイレクトによると、次の販売は「4月26日お昼頃」とのこと。販売数にも制限を設けるという。価格は3,000円だ。

 ご存知の方も多いと思うが、交換レンズの形を模したタンブラーは、2010年7月頃に秋葉原で出回りだした。僚誌「AKIBA PC Hotline!」が、キヤノン「EF 24-105mm F4 L IS USM」そっくりのタンブラーを発見したことから始まる。その後ニコン「AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED」の形をした製品も登場。翌月にはキヤノンおよびニコンの70-200mmクラスの望遠レンズを思わせるタンブラーも出回っていた。

 今回ニコンが投入したのは、AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G EDの形をしたタンブラーで、正式名称は「ニッコールタンブラー24-70」。

ニッコールタンブラー24-70。手に取ってまじまじと眺めてしまうクオリティだ
ニッコールタンブラー24-70(左)とAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED(右) 同背面。純正タンブラー(左)にはMADE IN JAPANの表記をしていない

 そもそも秋葉原発のタンブラーは、メーカー名、ブランド名、製品名などを無断で使用した怪しい代物だ。それが大変な人気を呼び、最近では海外のネットオークションに登場。高値で取引されている例もあるという。メーカーがタンブラーの発売元に抗議をしたなどの噂も聞いている。ニコンとしては心中穏やかではなかったのではないだろうか。そうした「模造品」に対する対抗手段として、本製品が生まれたのではないかと勘ぐりたくなる。

AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED(左)と、秋葉原で出回っていたタンブラー(右) 同背面。非純正タンブラー(右)は、キャップの部分がフィルターを重ね付けしたように分厚い

 製品の企画意図をニコンに取材してみたところ、回答を文書でもらったので、ここに引用してみる。

(前略)
 この度NIKKORタンブラーを企画したのは、お客様にNIKKORブランドをもっと身近に感じていただきたかったからです。職場でも自宅でも気軽に使えて実用的なタンブラーを、NIKKORレンズの形状とロゴのデザインを用いることによって、NIKKORブランドにさらに愛着をもって接していただけるのでは、と考えました。

 当初は、NIKKORレンズの概観を印刷した紙を入れるタイプも検討しましたが、お客様のNIKKORブランドに対するイメージ、“高級感”“本物”“高い光学技術力”を守るためにも、ニコンならではの質感を重視したタイプにいたしました。

 これまでの非純正タンブラーをはっきりと非難した記述はなく、ニッコールブランドの周知とファンサービスを主眼とした製品のようだ。商標権の侵害など眼中にないように見える。が、「NIKKORブランドに対するイメージ、……を守るためにも」という部分に、ブランドを守りぬく覚悟がそれとなく感じられるのは、筆者の考え過ぎだろうか。

 ともかく、編集部でもニッコールタンブラー24-70をさっそく入手してみた。そのインプレッションをお伝えしたい。

ニッコールタンブラー24-70のパッケージ内容

 まずは外箱。最近のニッコールレンズと同じく金色をベースにしたデザインで、フォントもそれっぽい。見た目だけでなく、「Nikon Official Product」の文字が純正であることを強調。表面の手触りも、ニッコールレンズのそれを思わせるつややかなものだ。これだけでもニコンファン同士の話のネタになるレベルだ。

外箱の比較。ニッコールタンブラー24-70(左)とAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G ED(右)

 タンブラーは内側が金属製の本格的なもの。フロントキャップを模した飲み口用のキャップはねじ込み式だ。もちろん本物の交換レンズのフロントキャップ(バヨネット式)の代わりには使えないものの、細部を含めた形状のリアルさは、ニコンユーザーなら誰しも認めるところだろう。リアキャップも取り外しが可能。これも実際のレンズでは使用不可とはいえ、凝った造りに思わずにやりとしてしまう。

フロントキャップ部。左がニッコールタンブラー24-70 タンブラーのキャップはねじ込み式。
スイッチ類のディテールもよく再現されている リアキャップ内部には「Nikon Official Product」の刻印。本物のリヤキャップと互換性はない

 表面のざらつきもリアルだ。本物と違い、金属の冷たさが感じられないのは残念だが、文字のレタリングやパーツの細部の作り込みも含め、「そこまでやるか」という驚きを禁じ得ない。本物を知っている人こそその出来に感心するだろう。これでボディに装着できれば最高だが、さすがそこまでは無理のようだ。ちなみにフードはAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8 G EDの付属品を装着可能。

純正タンブラー(左)の作り込みはかなりのもの。見ているだけでうれしくなる 秋葉原で出回っているタンブラー(右)は、本物のレンズ(左)と比べて細部の違いが目立つ
純正タンブラーにフードを付けてみた。向きこそ正しくないが、ちゃんとバヨネットで固定される

 なお、別媒体に所属する同じフロアの記者が所有している非純正タンブラーは、においがきつくて本人曰く「結局使うのをあきらめた」とのこと。飲料を収めるタンブラーとしては致命的といえないだろうか。ニコン純正タンブラーにはそのようなにおいはなく、(実際に使うかはともかく)タンブラーとして問題なく使えそうだ。

 ニコンはかつて「おもしろレンズ工房」という、交換レンズの楽しさを広く伝えるための製品をラインナップしていた。絞り機構やオートフォーカスを省略するなど、ほとんど教材としての役割に的を絞った製品だったが、それでいて造りはしっかりしており、その本気具合に「さすがニコン」と感銘を受けた方も多いと思う。

 固い企業イメージが先行する一方、こうした製品を出す伝統も、ニコンのひとつの側面なのだろう。有名なところでは「にこんようかん」があるが、今回のニッコールタンブラー24-70もその系譜になぞらえたくなる製品。実用品として撮影地にガンガン持ち出して使ってもいいし、コレクションとして口をつけず大事に所蔵するのか迷うところだが、ニコンファンならぜひ入手したい遊びごころあふれるアイテムといえる。同じく偽物が横行したC社にも、ぜひ続いてもらえればと思う。

カメラバッグへの収まりは完璧 カメラ談義に華を添えてくれそうだ


(本誌:折本幸治)

2011/4/25 19:27